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Oracle Cloud InfrastructureAdvent Calendar 2021

Day 6

Helidon 2.4.0 で導入された OpenID Connect のログアウト機能(RP-Initiated Logout)について

Last updated at Posted at 2021-12-05

はじめに

こちらの記事は、Oracle Cloud Infrastructure Advent Calendar 2021 Day 6 の記事として書かれています。
11 月の上旬ごろ、Helidon のバージョン 2.4.0 がリリースされました。今回の記事はアップデートされた内容の中から(個人的に待望していた) OpenID Connect 1.0 のログアウト機能(RP-Initiated Logout)について解説したいと思います。

Helidon が提供していた OIDC の機能

一般的な OpenID Connect 1.0 の認可コードフローは以下のようになっています。ここで、下図の赤線・文字で表現されている箇所が Helidon の Security Provider(OIDCProvider) が提供している箇所となります。

image01.png

いわゆる Relying Party の実装を提供する機能なので、

  • OpenID Provider(以下、OP) の認可エンドポイントに対して、認証リクエストを投げる
  • OP が発行した認可コードと ID・アクセストークンを引き換えるために、トークンエンドポイントにリクエストを投げる
  • OP から発行された ID トークンの検証を行う

といったことを設定 + ちょっとした実装で可能にしてくれるものです。尚、認証後の API 実行に使用するアクセストークンはデフォルトでは Cookie に保存するような実装となっているので、ログアウトを実現したい場合は Cookie を削除する & OP のログアウト API を実行するということを別途自分で実装する必要がありました。

Helidon 2.4.0 でのアップデート

Helidon 2.4.0 では、上記の Relying Party の実装に加えて、ログアウト用の機能が追加されています。(PR はこちら)これによって、新しく追加されたエンドポイント(/oidc/logout)を叩くと、裏側では Cookie の削除 & OP のログアウト API を叩くということが自動的に行われます。OpenID Connect でいうところの RP-Initiated Logout を実現するための実装です。典型的には、以下のパラメータ群を RP から OP へ送ることでログアウトを実現します。(IDCS1 では id_token_hint, post_logout_redirect_uri, state をサポートしています。)

パラメータ 必須 説明
id_token_hint 必須 OP から RP へ発行された ID トークン
post_logout_redirect_uri 任意 OP でのログアウト処理完了後のリダイレクト先を指定する
state 任意 ログアウトの要求、post_logout_redirect_uri で指定したエンドポイントへのコールバック間の状態を維持するためのパラメータ
ui_locales 任意 ロケールを指定する

ちなみに、今回のアップデートからログアウトの機能を有効化した場合は、デフォルトでは Cookie に ID トークンを保存するような動きとなるため Encrypted JWT もフレームワークとしてサポートされるようになりました。

一通り実装してみる

それでは、実際にログイン ~ ログアウトまでを一通り実装していきたいと思います。今回は、以下のような構成で作っています。

  • OP: IDCS
    • Keycloak や、Auth0 でもおそらく代用可能(未確認)なので、普段使い慣れているもので是非お試しください
  • Relying Party: Helidon MP

エンドポイント

今回登場するエンドポイントは以下のようになっています。

エンドポイント 実装 概要
/auth/login 自分 JAX-RS で実装する OIDC ログインのエントリーポイント
/oidc/redirect Helidon Helidon Security Provider が提供する OIDC のリダイレクト URL
/oidc/logout Helidon Helidon Security Provider が提供するログアウトのエントリーポイント
/auth/logout 自分 JAX-RS で実装する OIDC ログアウト後のリダイレクト先(post_logout_redirect_uri)

これをログインとログアウトのフローに当てはめると以下のようになります。

ログイン:

image02.png

ログアウト:

image03.png

OP(IDCS) の準備

アプリケーションを新規に作成します。ログイン後のダッシュボード画面左上のハンバーガーメニューを押し、アプリケーションを選択します。

image04.png

追加を押します。

image05.png

機密アプリケーションを選択します。(OAuth, OpenID Connect でいうところの Confidential Client に相当します)

image06.png

以下のように入力し、をクリックします。

  • 名前: Helidon OIDC OP

image07.png

OP としての振舞いを設定するために、以下のように入力し、をクリックします。

  • このアプリケーションをクライアントとして今すぐ構成しますにチェック
  • 許可される権限付与タイプ: クライアント資格証明、JWT アサーション、認可コード
  • HTTPS 以外の URL を許可にチェック
  • リダイレクト URL: http://localhost:8080/oidc/redirect
  • ログアウト後のリダイレクト URL: http://localhost:8080/auth/logout

image08.png

デフォルトのままをクリックする。

image09.png

デフォルトのままをクリックする。

image10.png

デフォルトのままをクリックする。

image11.png

これで、アプリケーションが作成できたのでアクティブ化します。

image12.png

次に、認証対象であるエンドユーザーを登録します。ユーザータブからユーザーの割当てを選択し、現在操作しているユーザーを選択します。(これ用に新しく作成しても結構です)

image13.png

RP の実装で使用するため、クライアント ID とクライアント・シークレットはどこかに控えておきます。

image14.png

これで、OP の設定は完了です!

Relying Party の実装

まずは、Helidon CLI を用いて、アプリケーションのひな形を生成します。groupid, package等は、好きなように設定してください。

heldion init \
--flavor MP \
--build MAVEN \
--version 2.4.0 \
--archtype bare \
--groupid me.shukawam \
--artifactid helidon-oidc-sample \
--package me.shukawam.helidon \
--name helidon-oidc-sample

OIDC 関連の Security Provider を依存関係に含めるために以下の記述を pom.xml に追記します。

pom.xml
<dependencies>
  <!-- ... -->
  <dependency>
      <groupId>io.helidon.microprofile</groupId>
      <artifactId>helidon-microprofile-oidc</artifactId>
  </dependency>
  <dependency>
      <groupId>io.helidon.security.providers</groupId>
      <artifactId>helidon-security-providers-idcs-mapper</artifactId>
  </dependency>
  <!-- ... -->
</dependencies>

次に、OP の認可エンドポイントを叩く際やトークンリクエスト時の Basic 認証に使用する Client ID/Secret 等を設定ファイル(MicroProfile Config)に定義するために、resource 直下に application.yaml を新規に作成します。(※resources/META-INF/microprofile-config.properties に追記しても良いです。アプリケーション中に両方含まれている場合は、application.yaml が優先されます。)

application.yaml
# Microprofile server properties
server:
  port: 8080
  host: 0.0.0.0

# Security config
security:
  # Set to true for production - if set to true, clear text passwords will cause failure
  config:
    require-encryption: false
  properties:
    # Identity Provider - IDCS
    idcs-uri: <your-idcs-tenant-uri>
    idcs-client-id: <your-idcs-client-id>
    idcs-client-secret: <your-idcs-client-secret>
    frontend-uri: <your-front-end>
    audience: <your-audience>
  providers:
    - abac:
      # Adds ABAC Provider - it does not require any configuration
    - oidc:
        client-id: ${security.properties.idcs-client-id}
        client-secret: ${security.properties.idcs-client-secret}
        identity-uri: ${security.properties.idcs-uri}
        proxy-host: ${security.properties.proxy-host}
        frontend-uri: ${security.properties.frontend-uri}
        audience: ${security.properties.audience}
        server-type: idcs
        idcs-roles: true
        # OIDC Logout support
        logout-enabled: true
        post-logout-uri: auth/logout

変数として定義している箇所(idcs-uri, idcs-client-id, idcs-client-secret, frontend-uri, audience)を自分の設定に合わせて変更します。もちろん、環境変数から取得したり、システムプロパティとして設定しても良いです。(本来はそちらの方が望ましい)

次に、ログインの入り口、ログアウトのリダイレクト先となるエンドポイントを以下のように実装します。

AuthResource.java
import io.helidon.security.SecurityContext;
import io.helidon.security.annotations.Authenticated;

import javax.json.Json;
import javax.json.JsonBuilderFactory;
import javax.json.JsonObject;
import javax.ws.rs.GET;
import javax.ws.rs.Path;
import javax.ws.rs.Produces;
import javax.ws.rs.core.Context;
import java.util.Collections;

@Path("auth")
public class AuthResource {
    private static final JsonBuilderFactory JSON = Json.createBuilderFactory(Collections.emptyMap());

    @GET
    @Path("login")
    @Produces("application/json")
    @Authenticated // ... 1
    public JsonObject login(@Context SecurityContext securityContext) { // ... 2
        return JSON.createObjectBuilder()
                .add("message", "Login Success!")
                .add("user", securityContext.userName()) // ... 3
                .build();
    }

    @GET
    @Path("logout") // ... 4
    @Produces("application/json")
    public JsonObject logout() {
        return JSON.createObjectBuilder()
                .add("message", "Logout Success!")
                .build();
    }
}

簡単に補足しておきます。

  1. ログインのエントリーポイントとなるメソッドに、@Authenticated を付けると、Config で設定した Security Provider(今回の例だと、io.helidon.security.providers.oidc.OidcProvider)によって、エンドユーザーの認証処理が実行される
  2. SecurityContext(ユーザーに関するセキュリティ情報が格納されているコンテキスト)を受け取る
  3. SecurityContext からユーザー名を取得し、クライアントへ返却する
  4. /oidc/logout 実行後、OP からリダイレクトされるエンドポイント(post_logout_redirect_uri)の定義

実装は、以上で完了です。簡単!

簡易的に動作確認

OP の設定、Relying Party の実装が完了したので簡易的に動作確認をします。アプリケーションを起動後、ブラウザでhttp://localhost:8080/auth/loginにアクセスすると、IDCS から提供されているログイン画面にリダイレクトされるので、資格情報を入力し、ログインします。

image15.png

ログインが完了すると、以下のような JSON が返却されます。

{
  "message": "Login Success!",
  "user": "<your-username>"
}

この状態で、再度ログイン用のエンドポイント(http://localhost:8080/auth/login)を叩いてみると、認証画面を介さずに以下のような結果が返ってくることが確認できます。

{
  "message": "Login Success!",
  "user": "<your-username>"
}

続いて、ログアウトをしてみます。ブラウザでhttp://localhost:8080/oidc/logoutにアクセスし、ログアウトが完了すると以下のような JSON が返却されます。

{
  "message": "Logout Success!"
}

この状態で再度、ログイン用のエンドポイントエンドポイント(http://localhost:8080/auth/login)を叩いてみると、きちんと認証画面へリダイレクトされることが確認できます。

終わりに

ログアウトに関してもフレームワークとして機能が提供されるようになったのは個人的に非常に嬉しいです。
実装したサンプルコードの全量は、こちらのリポジトリを参照ください。

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実は、Helidon には日本語ドキュメントも存在します。英語だから取っつき辛かったという方もこの機会に是非触ってみてください!

参考

  1. Oracle Identity Cloud Service

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