みなさん、DCDCコンバータを設計したいと思ったことはありますか?
今回は、回路初心者の方でもできるDCDCコンバータ回路設計ということで、TPS5430を使用したDCDCコンバータを作ってみたいと思います。
DCDCコンバータとは
直流電源の電圧を変える装置です。昇圧型、降圧型、昇降圧型などがあります。
電圧を変換する部品として三端子レギュレータもありますが、これは電圧を下げる分を熱として放出するため、あまり大きな電流は流せません。
それに対してDCDCコンバータは比較的大きな電流を流すことができます。
その一方で回路設計が大変という欠点があります。
今回作るもの
今回は電圧7.2V、電流3AのDCDCコンバータを作ります。
使用部品
今回はTexas InstrumentsのTPS5430という降圧DCDCコンバータを使用します。
製品情報・データシートは↓こちらにあります。
回路設計しよう
データシートの7.2に回路図の例が示されています。基本的にはデータシートに回路図が載っていればそれを利用しましょう。そして、それぞれの部品の値は作りたいものによって変わるので計算しましょう。
(TPS5430データシート 「図 7-1. アプリケーション回路、12V 入力から 5.0V 出力」より)
VINが電源入力、VOUTが電源出力、ENがDCDCコンバータのON/OFFです。
5V・3Aのものでよければこの図の通りでよいです。しかしそれではつまらないので今回は7.2V・3Aのものを作ってみたいと思います。
まず、直接出力電圧に関わるのはVSNSにつながっているR1とR2だけです。
多くのDCDCではこのように電圧を測るピンがあり、そのピンに抵抗で分圧して出力電圧とつなげることで、出力電圧を調整します。
この部品の場合は、VSNSの値が1.221Vになるように出力電圧を調整するので、欲しい電圧の時にVSNSが1.221VになるようにR1とR2の値を決めます。
R1は10kΩにしてR2の値を変えるのが推奨されているようです。
オームの方式からこのような式で計算することができます。
今回は7.2Vに設定したいので、R2は2.04kΩとなります。2kΩでもよいですし、可変抵抗を使ってもいいかもしれませんね。(可変抵抗を使うと自由に電圧が変えられるようになります。)
他の部品の値は回路図の例そのままでも基本的には大丈夫です。データシートにそれぞれの値と特性の計算式がのっていますので、サンプルと大きく違う電圧・電流にするという場合には確認するとよいかもしれません。
これはTPS5430を使ってDCDCモジュールを作ったものです。電源入出力やENピンをピンヘッダに出しています。
また、出力電圧は可変抵抗で調整できるようにしました。インジケータとしてLEDもつけています。
最後に
恐れずにデータシートを読みましょう!少しずつ読み進めながら設計すれば回路は完成します!たぶん