DXでスーパーの業務の改善をすべく、
まだまだ初心者のわたくしですが日々奮闘中です!
今回はGoogleのAppSheetを使って、備品の貸出管理簿を作ってみました。
なぜ作ろうと思ったの?
わたくしたちの会社では、いまだに店舗の備品の貸出管理簿が手書きなんです。
タブレットやHHT(バーコードからデータを読み取るモバイル端末)、モバイルプリンター(値引きシールの発行に使う)など、どれもかなり高価なものですので利用する時には貸出管理簿に記載することになっています。
ただ、手書きですのでちょっとめんどくさい・・・
めんどくさいから書かない人もちらほら・・・
紙もどんどん増えてく・・・
なので、もっと簡単に管理できないかと思い、AppSheetで管理簿を作ってみました。
追記(6/11)
完成品(スマホから操作)!
スマホから操作してみました。
セキュリティー上の課題もありますが個人のスマホからでも操作できるのはラクですね!
作成の手順
1.Googleスプレッドシートに基本となるデータを入力
シートを3つ作成しました。
1.貸出簿
2.備品
3.従業員名簿
行1は、この後column
の名前となりますのでとても重要です。
分かりやすくしておくといいです。
列1も各シートを代表するデータにしておくと、これもあとあとシートを参照するときに便利です。
2.AppSheetを作る
拡張機能
からAppSheet
を選択してアプリを作成
します
アプリの大枠を自動的に作ってくれます。
これでほぼ半分くらいはできあがりです。
細かいアレンジはできませんが、その分シンプルで簡単です。
アプリができあがるとスプレッドシートの横に新しいタブが作られます。
以降はこちらのタブ、AppSheet
を使って作業をしていきます。
3.データにテーブルを追加する
まだAppSheetを作ったばかりだと、スプレッドシートの最初のシートしかデータを参照できないので、まず最初に他のシートもデータに加えます。
一番左にあるアイコンからData
を選択し、+
マークからAdd New Data
を選択します。
同じスプレッドシートにあるシートなら、すぐ分かるように大きく出てきますので、
今回は備品
シートと従業員名簿
シートを追加します。
4.View
を変更
このままだと貸出簿
としては見にくいため、表となるようにアプリのフォーマットを変更します。
一番左のアイコンからView
を選択し、貸出簿
のView type
をtable
にします。
おおまかな流れはできたので、簡単な動作テストしてみます。
ただ、このままだと手入力なのでせっかくアプリを作ったのに逆にいろいろ大変です。
もっと操作を簡潔にしていきます。
5.データを作り込む
ここから細かい設定を修正していきます。
5-①備品番号
をドロップダウンリストにします
備品の数も多くないので(今回は3種類がそれぞれ4つ、計12個)ドロップダウンで表記してクリックだけで選択できるようにします。
Type
をRef
にします。
Ref
とは、参照するテーブル(シート)の1列目と結びつけることができます。
Source table
を備品
にすることで、
備品
シートの1列目の項目がリストとして表記されます。
5-②所属部署
もドロップダウンリストにします
Type
をEnum
にすると、以下のValues
の値をドロップダウンから選択できるようになります。
必要な分だけ所属部署を追加します。
5-③名前
もドロップダウンリストにします。
これも備品番号
と同じくType
をRef
に設定してSource table
を従業員名簿
にすれば、従業員名簿
のテーブル(シート)の1列目のデータをリストにしてくれます。
従業員が増えた時にもシートに名前を追加して更新すれば、リストに自動で追加されます。
5-④横にスクロールさせ、他の項目の修正をします。
REQUIRE?
(必ず入力が必要か?)のチェックを変更します。
備品番号
は何を貸し出すのか最も大事ですのでチェックを入れます。
返却日
、返却時間
にチェックが入っていたら外します。
当たり前ですが返却はまだ先ですので必須ではありません。
5-⑤貸出番号
のINITIAL VALUE
にコードを入れます。
新規で貸し出す度に貸出番号
が1ずつ増えていくようにします
=MAX(貸出簿[貸出番号])+1
5-⑥⑦返却日
、返却時間
は空白にします
当たり前ですが返却するときに入力なので、今は空白でOKです。
ここまででかなり操作も簡単になりました。
6.返却ボタンを作る
「返却」は備品を返した日時が分かればいいだけですので、アクションボタンで対応できるようにします。
6-①②一番左のアイコンからActions
を選択し+
マークのAdd Action
をクリックします
6-③Actoin name
は何でもいいのですが「返却」としておきます
6-④Do this
は今回は変更しなくていいです
そのままData:set the values of some columns in this row
でOKです
6-⑤Set these columns
に返却日
と返却時間
のコードを入れます
返却した時の日時ですので、「今」の日付、時間とします。
6-⑥条件を追加します
返却するのは貸出中の備品だけですので、
返却ボタンが表示されるのも貸出中の時だけにします。
Behavir
のOnly if this condition is true
に
以下の式を入力します
=ISBLANK([返却日])
以上で返却ボタンが完成です。
ついでなので、「貸出」も分かりやすくしておきます。
もともとあるAdd
ボタンをそのまま「貸出」に変更するだけです。
6-⑦もともとあったAdd
アクションを選択
6-⑧Display
のDisplay name
を「貸出」にします
7.所属部署をAutomationで自動入力にする
名前を入力したら所属部署も分かるので、自動入力にして手間を省きます。
7-①②Automation
からCreate a new Bot
を選択します
7-③Configure event
になんでもいいのでわかりやすい名前を入力
7-④Event Type
のData Change
はそのまま
7-⑤Table
は貸出簿
にします
7-⑥Condition
に以下の式を入力します
AND(
ISNOTBLANK([名前]),
ISBLANK([所属部署])
)
7-⑦Add a step
をクリックして自動化する内容を設定
7-⑧Run a data action
を選択
7-⑨Custom action
を選択
7-⑩Set row values
を選択
7-⑪Set these column(s)
を変更
所属部署=ANY(SELECT(従業員名簿[所属部署], [名前] = [_THISROW].[名前]))
とすることで、名前に連動して所属部署が自動で入力されます。
完成です(PC,タブレット操作)!
職場のみんなからの評価は?
せっかくですので、実際に職場の方に使ってもらいました!
使ってもらった人
〇管理マネージャーTさん(社歴15年くらい)
〇ステープル担当Uさん(社歴7年くらい)
〇デイリー担当Yさん(社歴4年くらい)
感想
これは便利!100倍早い!(Uさん)
ありがとうございますっ!
100倍はおおげさですけれど、名前(フルネーム)や所属部署、日時などを書く時間と比べると、確かにかなりの時短になりました。
書くより簡単になればみんなやるかも?(Tさん)
アプリの使い方に慣れれば、書くより簡単です!
誰かが書いてると順番待ちになるが、それも解消できる(Yさん)
すぐ借りたいのに、先に書いてる人がいると待ち時間が発生してしまって、忙しい時は書かないで持って行ったりもあるので、複数のPCなどから入力できれば待ち時間なくスマートです。
返却がめちゃくちゃ楽!ワンクリックで完了できるのは便利!(Uさん)
ありがとうございます!
返却はワンクリックなのでとてもラクです!
入口をどうするか(Uさん)
「入口」と言うのは「アプリの始動の仕方」の意味です。
常時アプリを開きっぱなしにしているのか、デスクトップにショートカットキーなどを作るのか、専用のパソコンやタブレットなどを用意するのか、完成品が採用になるようでしたらどうやって運用していくかも決めないとです。
高齢者でもわかるように(Tさん)
そうですね。
今回はAppSheetで作ったので英語表記も多めで、高齢者には優しくないです・・・
もっとわかりやすい表現にする必要があります。
中国人でもわかるように(Yさん)
これはわたくしの所属する店舗には中華料理のテナントさんが入っていて、中国人がたくさんいらっしゃるので、彼らにも分かるようにって意味です。
中国語表記とかできるのかな・・・
ボタンとかなら言語を2つ表記できるかもです
5時間経ったら警告が表示されるように(Yさん)
会社のルールとして、貸出時間はMAX5時間までとなっています。
5時間を超えての貸出はNGで、その前に返却しなければなりません。
そのため、5時間を超えて借りている人がいたら、アラームでお知らせするように設定したいとのことでした。
なるほど、できそうなら実装したいですね。
アラートマークみたいなのでしたらアクションボタンでできそうです。
ただ、ボタンをどこに出すかの設定はAppSheetだとできないかもしれません。
それでもそもそもやらない人がいるよね(Uさん)
ええ、それは・・・
できるだけ簡単にして、だれでもすぐできるようなアプリにすることと、
あとは必ずアプリで入力するように指導、教育していくことかなと思います。
やらないとロックがかかって持ち出しできないようにできないか?(Yさん)
できたらいいのですけれど、装置の開発が必要になりそうです。
全店導入だとコストかかりますので、難しいかなぁ・・・
返却ボタンを忘れちゃった場合どうなるのか?(Tさん)
返却したけど、アプリの「返却」の操作を忘れてしまうとアプリ上はずっと貸出中になってしまいますね。
いろいろ細かい設定が必要になりそうです。
今後の課題とさせてください。
偽装できないよね(ある意味不便)(Tさん))
はい、日時などは原則偽装できなくなります。
ただ、操作を知ってる人でしたら編集できますし、
スプレッドシートに直接入力もできます。
余計なところを押しちゃった時に分からなくなったり壊しちゃったりしそう・・・(Yさん)
変更できないようにロックをかけたり、管理者以外は編集できないように保護できると思います。
最後に
みなさんからの評価は思ったより好評で、これは実装する価値あるのかなと感じました。
いつもは当たり前になっている業務も「これって他に何かいい方法ないかな?」って考えることで、改善につながることはたくさんあるはずです。
まだまだデジタル初心者のわたくしですが、これからも身近な業務に「?」を見つけ出して改善できたらなと思います。