はじめに
Amazon Bedrock Flows は、AWS の生成 AI ワークフローを構築・管理するための強力なツールです。2025年1月には、エージェントノードに マルチターン会話対応 の機能が追加され、ユーザーとの対話型インタラクションがよりスムーズになりました。Amazon Bedrock Flows announces preview of multi-turn conversation support
本記事では、マルチターン会話対応の概要、日本語での利用可否、設定方法、および AWS CLI を用いた実装方法 について解説します。
1. マルチターン会話とは?
マルチターン会話とは、AI がユーザーと複数回のやり取りを行いながら、適切な情報を取得し、最適な処理を実行する対話型の仕組みです。
例えば、ホテル予約のワークフローを考えてみましょう。
従来の課題:
- ユーザーが「ホテルを予約したい」と入力
- 必要な情報(宿泊日数、部屋タイプなど)が不足していると、処理が失敗する
マルチターン会話対応後の動作:
- ユーザーが「ホテルを予約したい」と入力
- AI エージェントが「何泊しますか?」と質問
- ユーザーが「3泊」と回答
- AI エージェントが「シングルルームとダブルルームのどちらをご希望ですか?」と質問
- ユーザーが「ダブルルーム」と回答
- AI エージェントが予約を確定
このように、足りない情報を動的に取得することで、よりスムーズなインタラクションが可能になります。
2. 日本語での利用可否
Amazon Bedrock Flows のマルチターン会話機能は、日本語を含む 複数の言語に対応 しています。ただし、
- 選択する 基盤モデル(Foundation Model, FM) によって、日本語の応答精度が異なる
- 一部のモデルは、日本語の文脈理解が英語ほど高くない
例えば、Amazon Bedrock で利用可能な Anthropic Claude や Meta Llama などのモデル は、日本語にも対応していますが、
より高精度な対話を行うためには、日本語対応が強いモデルを選ぶ必要があります。
3. マルチターン会話の設定方法
(1) AWS マネジメントコンソールでの設定
- Amazon Bedrock コンソール にアクセス
- Flows(フロー) の作成
- エージェントノード を追加
- 「マルチターン会話を有効化」 をオンにする
- フローのデプロイ を実行
(2) AWS CLI を用いた設定
AWS CLI を使用して、マルチターン会話を有効化することも可能です。
Step 1: Bedrock Flows の作成
aws bedrock create-flow --name "hotel_booking_flow" --description "ホテル予約フロー"
Step 2: エージェントノードの作成
aws bedrock create-agent-node \
--flow-name "hotel_booking_flow" \
--node-name "HotelBookingAgent" \
--enable-multi-turn true
Step 3: フローのデプロイ
aws bedrock deploy-flow --flow-name "hotel_booking_flow"
これにより、日本語でもマルチターン会話が有効なフロー を AWS 上にデプロイできます。
4. まとめ
Amazon Bedrock Flows の マルチターン会話対応 により、AI エージェントは動的にユーザーとやり取りしながら、より高度なインタラクションを実現できるようになりました。
ポイントまとめ:
- マルチターン会話対応で、AI が足りない情報を補完可能に
- 日本語でも利用可能(ただし、基盤モデルに依存)
- AWS CLI を用いて簡単に設定・デプロイ可能
AWS Bedrock を活用し、より高度な対話型 AI フローを構築しましょう!