とあるネット配信サービスでは、1契約で2台まで同時視聴が可能ですが、同一のIPアドレスからの接続に限るという条件があります。
離れた2拠点からアクセスしても、VPN経由でアクセスすれば、この条件を満たせそうです。
2拠点は、インターネット常時接続をNATルータで接続しています。
拠点Aには視聴端末としてFire TV StickとWindows PC-Aがあり、拠点BではWindows PC-Bで視聴するというシナリオを考えます。
このシナリオでは、Tailscaleを使用して2拠点を安全なVPNネットワークで接続し、拠点Aと拠点Bの両方の視聴端末を同じIPアドレスを通じて接続できるようにする構成を作成します。
以下は、手順を段階的に説明したガイドです。
要件
- Tailscaleのアカウント
-
必要な端末:
-
拠点A:
- Fire TV Stick(アプリのインストールは不要)
- Windows PC-A(出口ノードとして使用)
-
拠点B:
- Windows PC-B
-
拠点A:
- 管理者権限が必要
概要
- Tailscaleをインストールし、各拠点のWindows PCをTailscaleネットワークに追加
- 拠点AのWindows PC-Aをインターネットの出口として設定(サブネットルーティングまたは出口ノードを使用)
- 拠点BのPC-Bを拠点Aの出口ノード経由で接続し、配信サービスにアクセス
- Fire TV Stickは拠点A内のローカルネットワークで動作するためVPN設定は不要
具体的な手順
1. Tailscaleのアカウント作成
公式サイト Tailscale よりアカウントを作成します。
GoogleアカウントやGitHubアカウントでのサインアップも可能です。
2. 各デバイスへのTailscaleのインストール
拠点A(自宅)
-
Windows PC-A(出口として使用)
- Tailscale公式ダウンロードページ からWindows用のクライアントをダウンロードしてインストール
- インストール後、コマンドプロンプトを開き、以下を実行:
tailscale up
- Fire TV StickはTailscaleを直接サポートしていないため、ローカルネットワーク内でWindows PC-Aを経由して配信サービスへアクセス
拠点B
-
Windows PC-B(リモートから接続)
- 同様にTailscaleをインストールしてログイン
-
tailscale up
実行後、Tailscaleネットワーク上で拠点AのWindows PC-Aに接続可能か確認
3. 拠点AのWindows PC-Aをインターネット「出口」にする
Tailscaleを利用して、拠点AのWindows PCを拠点B(リモート側)のトラフィック出口(ルーター代わり)として設定します。
-
「出口ノード」の有効化(拠点Aで設定)
- 拠点AのWindows PC-Aで管理者権限で以下のコマンドを実行:
tailscale up --advertise-exit-node
- これにより、PC-Aが「出口ノード」として機能
- 拠点AのWindows PC-Aで管理者権限で以下のコマンドを実行:
-
出口ノードの選択(拠点Bで設定)
- 拠点BのWindows PC-Bで以下のコマンドを実行:
tailscale up --exit-node=<出口ノードのIP>
- 出口ノードのIPアドレスは、Tailscaleダッシュボード上で確認可能
- これにより、PC-Bの通信が拠点A経由でインターネットに接続される
- 拠点BのWindows PC-Bで以下のコマンドを実行:
4. Fire TV Stickの設定(基本不要)
Fire TV Stickは同じローカルネットワーク内のWindows PC-Aを経由して通信するため、追加の設定は不要です。
ただし、うまく動作しない場合は以下を確認してください。
- Fire TV StickとPC-Aが同じLAN内にあること
- Windows PCのインターネット共有設定を有効化
5. 動作確認
- 拠点AのFire TV Stickが配信サービスにアクセス可能か確認。
-
拠点BのPC-Bで、PC-Aを経由して拠点AのIPアドレスを使用していることを確認。
- WhatIsMyIPAddress でIPアドレスをチェックし、拠点AのIPになっているか確認
注意点
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配信サービスの利用規約に違反する可能性があります。
設定を試す前に、合法性や影響について十分に理解してください - Tailscaleの出口ノードやサブネットルーティングのパフォーマンスは、出口として使用するPCの速度やネットワークの安定性に依存します