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スクラム体験ゲーム ~チーム開発の光と闇~ を開催してみた

目次

  1. はじめに
  2. ねらい
  3. ゲーム概要説明
  4. 基本ルール
  5. ルール詳細
  6. 実施した所感
  7. 改善点

1. はじめに

本ゲームはトランプを使ってスクラム開発、及びチーム開発の改善サイクルを体験できるゲームとなっております。

エンジニアでない方でも学びになるところはあるかと存じますので、是非とも皆さん開催していただきたいです。

本ゲームは、安井力様が御考案されていた『スクラム・トランプ ワークショップ』を改変したものとなっております。「アジャイル開発基本のキ」セミナーで上記ワークショップを実施されている西村様、安井様御二方の許可を得て実施/紹介しております。

改めて、快諾してくださった安井様、西村様、有難うございます。

2. ねらい

本ゲームはチーム開発/チームビルディングにおける

  • コミュニケーション
  • ミッション浸透
  • 継続的改善サイクル

上記三点の重要性を体験し、

自走式組織になるためにはどうしたらいいのか?

という問いと気づきを参加者に与えることを目的としています。

3. ゲーム概要説明

ゲーム構成

本ゲームは二部構成となっております。

  1. 闇のゲーム
  2. 光のゲーム

必要なもの

  1. トランプ(ジョーカーは二枚とも抜きます)
  2. プロダクト評価表(後述)
  3. ポーカーの役一覧表(後述)

人数

  • 6名程度が良いと思います。

所用時間

  • 30~50分程度

4. 基本ルール

基本ルールはスクラム・トランプ ワークショップと同様です。

ゲーム準備

  1. プロダクトオーナーを選定する(1名)
  2. プロダクトオーナーにのみ資料を与える(資料については後述)
  3. プロダクトオーナーの責務はプロダクト価値の最大化とする
  4. プロダクトオーナー以外の人間は開発チームとする
  5. 開発チームはまず3枚の手札を引く

※注意:プロダクトオーナーに渡す資料は開発メンバーには見せないようにしてください。

ゲームルール

  1. プロダクトオーナーは欲しいカードを1枚指定し発言する(ex. ハートの3)
  2. 開発チームは1枚手札を引く
  3. 開発チームはそれぞれ手札から1枚カードを出す
  4. プロダクトオーナーは出てきたカードから1枚を手札に加える
  5. 1~4を1スプリントとし、5スプリント繰り返す

※注意:プロダクトオーナーのカード指定ははっきりと一枚に特定できるよう、マークと数字の組み合わせを指定させてください。マークだけでも数字だけでもダメです。

最終的にプロダクトオーナーが持っている手札がプロダクトとなります。


プロダクトオーナーに渡す資料

  • プロダクト評価表
役名(完成プロダクト) 評価 想定利益 コメント
ロイヤルストレートフラッシュ 業界席巻プロジェクト 3億円 大成功。おめでとうございます。全社員にボーナスがたくさん出るでしょう。
ストレートフラッシュ メガヒット 8,000万円 成功。おめでとうございます。子会社化も視野に入ります。
フォーカード スマッシュヒット 3,000万円 成功。おめでとうございます。チームメンバは全員昇進。
フルハウス 昔、そんなのあったねプロジェクト 500万円 評価はされませんが黒字です。
フラッシュ 忘れられるプロジェクト 100万 可もなく不可もなく。
ストレート なんの評価も得られないプロジェクト 0円 どうにか投資は取り戻しました。損益分岐点です。
スリーカード なんであれやったの?プロジェクト -1,000万円 小さくない失敗。赤字です。
ツーペア だからやめろって言ったのにプロジェクト -3,000万円 大きく株価下落。株主が怒る失敗です。
ワンペア 誰に責任を取らせようかプロジェクト -5,000万円 責任者の首が飛ぶ大赤字です。
ノーハンド 倒産の始まりプロジェクト -1億円 社員、取締はダンボールハウスへ移住します。
  • ポーカーの役一覧

私はカジノルール攻略ガイド|テキサスホールデムポーカー様から以下の画像をお借りし、印刷して利用致しました。

5. ルール詳細

先述した通り、本ゲームは

  1. 闇のゲーム
  2. 光のゲーム

上記二部構成でゲームを進めていきます。


5-1. 闇のゲーム

開始時説明

闇のゲームを始める前に、以下のルールを提示します。

  1. 基本的に口を開いてはならない
  2. 基本的に質問はしてはならない
  3. コミュニケーションをとってはならない
  4. 各々が最善の行動を考えなければならない
  5. 各々が"やりづらさ"の原因を認識しなければならない

このルールから読み取れるように、

闇のゲームは「コミュニケーションロス」状態のチームがいかにストレスフルなものであるか、

またそのようなチームの状態がプロダクトにどのような影響を与えるのか、

所謂「やりづらいチーム」を体験してもらうタームとなっております。

振り返り準備

  • 5スプリントが終了したら、以下の手順で振り返り準備を行います。
  1. プロダクトオーナーが手札(完成したプロダクト)と評価を発表
  2. プロダクトオーナーの持つ資料の開示
  3. プロダクトオーナーが当初の狙い、どこでそれがうまくいかなくなったかを解説
  4. カード/人/スプリント(時間)が会社における資産のメタであることを説明(主催者による解説)

振り返り

  • 二分間で以下のことを話し合ってもらいます。
  1. 何が失敗の原因であったか?
  2. 次はもっとうまくやるために何が必要か?
  3. どのルールが”やりづらさ”の原因だったか?
  4. そのやりづらさはどうしたら解消するか?

5-2. 光のゲーム

開始時

  • 以下のルールを提示します。
  1. 基本ルールは先ほどと同様
  2. コミュニケーションを解禁
  3. ルールの一部改変もOK

どこまでルールを改変させるか等は難しいポイントですが、敢えてここでは主催者から説明しないでも良いでしょう。

その辺りは数回開催した結果と合わせて所感の方に詳しく記載いたします。

このタームは闇のゲームで感じていた"やりづらさ"を実際に改善し、その効果を実感してもらう狙いがあります。

振り返り

  • 自由に振り返りをして頂いて構いませんが、私は以下の振り返りテーマを提示しました。例としてお使いください。
  1. 闇のゲーム時と何が変わったか?
  2. 開発メンバーとしてやるべきことが出来たか?
  3. プロダクトオーナーとしてやるべきことが出来たか?
  4. チームは”改善”され"成長"したか?

6. 実施した所感

以上でゲームの解説は終わりです。

ここからは数回実施した所感をまとめておきます。

全体的な所感

私は、このゲームをお昼休みのアクティビティとして開催しました。

6~7人の希望者を募って開催したのですが、参加者の方々が全社チャットで「面白いゲームがある」と宣伝してくれたおかげで今では会社のほぼ半数以上の方がこのゲームに参加して下さいました。

実際にこのゲームを体験された方から「このゲームは開発者だけでなく、チームを組む全ての職種が学べるゲームだね」という感想を頂戴しました。

開催を重ねていくごとに、営業やディレクター、バックオフィスの方々まで様々な職種の方が参加してくださるようになりました。

皆さん「勉強になった」とおっしゃってくださり、まさしく全職種の人が楽しめるゲームとなっていることに私自身後から気づきました。


闇のゲームの所感

この段階では、プロダクトオーナー(以下PO)役をやられた方が特に苦しそうでした。

開発メンバーはPOが何を作っているのか分からず、とりあえず指定されたカードに近いカードを出してしまいます。

POは開発メンバーが出したカードから1枚しか手札に加えられない為、当初狙っていたロイヤルストレートフラッシュが1スプリントで到達不可能になることもありました。

勘のいいメンバーがいると「大きい数字が集まればいいのかな?」「ポーカーかな?」と2~3スプリント目で出すべきカードに目星をつけ始めます。

しかしその頃にはPOは既に狙いを変えていて、ストレートやフラッシュ、フルハウスあたりに移行しようとしていたりします。

この構図は「何故これを作っているのか」「何をすべきなのか」ミッションの浸透していない、何もかも不透明な開発現場に似ています。

残念ながら、このような現場はよくあります。開発だけでなく、様々な業種の人がこのような経験をしていることかと思います。

コミュニケーション/目的の明示を封じることによって、かなりリアルな「やりづらいチーム」を作り出せたと感じました。


光のゲームの所感

光のゲームでは、参加者の特色がよく出ます。

主催者として注意すべきポイントは、どこまでのルールを改変を許容するかという点です。

カード/人/スプリントは会社の資産の比喩としているので、開発メンバーは最低一枚のカードを引いて、最低一枚のカードを出す、という開発サイクルは守らせなければなりません。

私の場合、引くカードの枚数、出すカードの枚数は変更を許容しました。開発リソースに対する投資を増やすということもまた手段の一つであるとの考えからです。

この辺りは主催者側のジャッジによりますが、実際の事業/経営としてこのゲームを捉えると判断がしやすくなるかと思います。


特に印象に残っている回

そのチームは光のゲームにおいて、開発メンバーが最初に引くカードの枚数を5枚にし、毎スプリント3枚ずつカードを引くようにしました。

当然トランプには限りがありますので、3か4スプリント目に山札が尽きてしまいました。これは実際の経営で言えば資金ショートということになります。

しかしそのチームのPOは"後1スプリントでロイヤルストレートフラッシュができるのだから、借金をしてもう1スプリント回せば良い"と言いました。1スプリントを一ヶ月として、人を一ヶ月雇うのに100万円、チームメンバーが6人なので600万、あと600万あれば3億の利益を生むプロダクトが作れる、と瞬時に計算したそうです。

私はチーム開発についてのゲームを作ったつもりでしたが、チームによっては経営判断のゲームとなったわけです。

そのPOは経営陣の一人でしたので、やはり視点が違うものだなあとこちらも非常に勉強になりました。

7. 改善点

  • スクラムらしく「スプリント毎の改善」という要素をうまく入れられなかった
    • スプリント毎に1つずつルール改変を解放していくというやり方を考えていたが、時間的制約により挫折
  • 主催者はしっかりとフィードバックをするべき
    • 私もなるべくフィードバックをしていましたが、社内の人に中々強く言えない立場ということもあって、遠慮気味になってしまいました。
    • フィードバック専門の人を立てても良いかもしれないです
  • もっと振り返りに時間を使ってもいい気がする
    • ここで学んだことを実務に活かすには?という話し合いの場を作ってもいいような気がします。

終わりに

長くなってしまいましたが、是非とも本ゲームをお試しいただいて、感想や改善点等を頂戴できると嬉しいです。

そして、そもそもこのゲームの元である安井様の『スクラム・トランプ ワークショップ』は非常に勉強になり、スクラムをわかりやすく体験できる素晴らしいワークショップです。非常にわかりやすくまとめて下さっているので、もし本ゲームが煩雑でわかりにくい、という場合は安井様のワークショップを参考にされるのがいいかと存じます。

以上、誤字脱字等御座いましたらご指摘宜しくお願い致します。