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PMPとは?PMPについての知識 ダイジェスト版

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PMPの概要

PMP(Project Management Professional)とは:
米国のPMIというプロジェクトマネジメント協会が認定するプロジェクトマネジメントの専門家であることを証明する資格。

受験資格・費用

受験資格:

条件1
・大学卒業またはそれに相当する資格保有者。直近8年間に3年以上かつ4,500時間以上のプロジェクトマネジメント経験があること。
・高校卒業またはそれに相当する資格保有者。直近8年間に5年以上かつ7,500時間以上のプロジェクトマネジメント経験があること。

条件2
35時間以上の公式なプロジェクトマネジメントの研修の受講
こちらはオンライン(Udemyなど)で受講可能です。

受験するにあたっては、まず所定のフォームに上記条件を満たしていることを記載します。プロジェクトマネジメント経験については業務内容、実績などを英文で作文する必要があります。
※職位が「マネージャー」である必要はなく、プロジェクトに参画し何かしらの貢献をした経験があればOK

申請書に記入した学歴やマネジメント経験の内容について、申請後、抜き打ちで「証明しろ」と通達が来て大学の証明書、上司や同僚のサインをもらった証明書を協会に提出必要があります。

費用:

PMI会員 非会員
初年度会費 $139 $0
受験料 $405 $555

PMPを勉強する意義

プロジェクトを進めるにあたってはKKD(勘・経験・度胸)だけではなく、体系的な知識が必要になると思われます。顧客からの急な要求、スケジュールやコストのズレ、チーム内でのコンフリクト、利害関係の対立、そもそもそのプロジェクトに価値・ベネフィットがあるのかなど多くの問題、リスク、課題が生じます。それらをその場しのぎで対応するのではなく、適切な手段によってスマートに解決していく必要があります。これらプロジェクトを進めるにあたる「ベストプラクティス」を学べるのがPMPです。

PMPでは様々なことを学べますが、今回は概要とキーワードをいくつか取り上げて紹介します。
※PMPで学ぶ内容はボリュームが多いため、今回すべての内容は網羅されていません。気になる方はぜひ書籍など手に取ってみてください。

プロジェクト5つの段階

プロジェクトには5つの段階があります。
1、立ち上げ
2、計画
3、実行
4、監視・コントロール
5、終結

大まかに言うと、
・まずスポンサーがプロジェクト・マネージャーを任命し、プロジェクトが立ち上がります。
・プロジェクト・マネージャーは「計画」を策定します。
・その計画に沿って作業を「実行」します。
・「実行」の状態を「監視・コントロール」します。
・コントロールの結果、計画が更新されることがあり、更新された計画に沿って作業が続けられます。
・成果物が完成したら「終結」となり。成果物を納品します。併せてプロジェクトの「記録」が保管され。「組織のプロセス資産」となります。

10の知識領域

プロジェクトを進めるにあたり10の知識エリアがあります。
すでに紹介した5つの各段階で、10の知識領域をうまく取り入れながらプロジェクトを進めていくことになります。

統合・マネジメント
スコープ・マネジメント
スケジュール・マネジメント
コスト・マネジメント
品質・マネジメント
資源・マネジメント
コミュニケーション・マネジメント
リスク・マネジメント
調達・マネジメント
ステークホルダー・マネジメント

以下、それぞれの知識に関する概略と「厳選」したキーワードを紹介していきます。

1、統合・マネジメント

プロジェクトを遂行するための各知識(スコープ、スケジュール、コストなど)のバランスを取るためのマネジメント。

例えば、スケジュールが遅れているので、追加の要員を確保する場合、コストが増えます。もしくは同時並行で作業を計画する場合、リスクが増えます。このように、何かの変更・アクションを起こす場合は「こちらを立てれば、あちらが立たず」のようなことを防ぐべく、各知識エリアの影響を加味しコントロールする必要があります。

プロジェクト憲章 

プロジェクトの目的や進め方などが記載されます。
具体的には、「プロジェクトの目的や成功基準」、「要求事項の概要」、「主要な成果物」、「プロジェクトの終了基準」、「PMの責任権限レベル」などなどです。

プロジェクト・ベースライン

スコープ・ベースライン、スケジュール・ベースライン、コスト・ベースラインを設定します。これは、後で計画位変更があった時に計画と実績との差を比較することができます。

統合変更管理

ベースラインが決まり承認された後に顧客から変更依頼があった場合、変更依頼を変更管理委員会に提出し承認されたら変更を実施します。この際、プロジェクトを通して変更をマネジメントする必要があります。変更を受け入れた場合、コスト、スケジュール、リスクなど各領域でどのような影響が生じるかを把握しコントロールします。

教訓リポジトリ

プロジェクトの最後に、プロジェクトを進める途中で起こった問題に対する対応などを教訓リポジトリにまとめ、将来のプロジェクトに活かします。

2、スコープ・マネジメント

プロジェクトの目標達成のために必要なすべての作業が過不足なく、確実に実行されるようにするためのマネジメント。

要求事項の収集

スコープを定める前に要求事項を収集し、プロジェクトのスコープを定めるために必要な要求事項を文書化します。なお、アジャイル型ではスコープを事前に確定せず、状況に応じて調整します。

スコープの定義

プロジェクトスコープ記述書を作成しますが、下記の事項が含まれます。
・プロダクト・スコープ記述書
・成果物
・成果物の受け入れ基準
・プロジェクトからの除外事項

WBS(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)の作成

プロジェクトの成果物および作業を、マネジメントしやすい構成要素へとより
詳細に分解します。
WBSについての詳細はこちら

スコープのコントロール(スコープクリープ)

スコープ・クリープとは、コントロールされずに要求が変更されることです。「いつのまにか変更されていた」というもので、コストやスケジュールに影響を与えるので、避けなければなりません。

3、スケジュール・マネジメント

目標とする期日に確実に完了させるためのマネジメント

クリティカルパス

クリティカルパスとは、プロジェクトにおいて最も時間がかかり、遅延するとプロジェクト全体に影響するような工程のことでありますが、こちらの記事で詳細に説明されて、分かりやすい内容にまとまっています。

見積方法

見積にはいくつかの種類があります。
類推見積:
過去の類似例などを参考にざっくりで見積もります。時間をかけずに取り急ぎだいたいで知りたいと言う時に使えます。トップダウン見積もりとも呼ばれます。
パラメトリック見積:
作業量と生産性を掛け算するなど、統計量などをパラメーター(係数)として見積もります。
3点見積:
最可能値、楽観値、悲観値の3点で見積もります。
ボトムアップ見積:
WBSを基に、各作業を積み上げて見積もります。

4、コスト・マネジメント

予算内で確実に完了させるためのマネジメント

EVN

EVM(Earned Value Management)とは、プロジェクト全体の進捗を予算や出来高、実際にかかったコストなどの金銭価値で分析する手法です。

ケーススタディ:
例えば、プロジェクトが下記のような状況であるとします。

成果物 10棟のビル
完成時総予算(BAC) 500万ドル
完成予定 2年間

1年経過時点
現在 4棟完成
掛かったコスト 220万ドル

この場合、下記のようにEVMを算出できます。

EV(Earned Value):予算×実績
(予算500万ドルに対し40%が完成しているので、現時点で200万ドル分の成果物がある)

PV(Planned Value):予算×本来の進捗
(現時点で250万ドル分の成果物が出来上がっている予定であった)

AC(Actual Cost):現時点の実コスト
(現時点でコストが220万ドル掛かった)

コスト差異:EV - AC
(現時点で進捗40%のため200万ドル分の価値を産んでいるはずだが、実際に220万ドル掛かった)

スケジュール差異:EV - PV
(現時点で進捗40%のため200万ドル分の価値を産んだが、本来は進捗50%で250万円分の価値を産んでいるはずだった)

コスト効率指数(CPI):EV ÷ AC
(200万ドル÷220万ドル=0.909)
スケジュール効率指数(SPI):EV ÷ PV
(200万ドル÷250万ドル=0.8)
いずれも1を上回っていれば順調、1を下回っていれば予想以上にコスト(スケジュール)が掛かっている。1が予定通り。

EAC:予算 ÷ CPI
(この調子で行った場合、500万ドル÷0.909=550万ドル掛かる)
ETC:EAC - AC
(現時点で220万ドル掛かっているので、このまま行くと残り330万ドル掛かる)

5、品質・マネジメント

ニーズを確実に満足させるためのマネジメント

品質とは

品質は「本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」と定義されています。つまり、高級かどうかではなく、顧客の要求通りかどうかを見る必要があります。高級かどうかは品質ではなく「グレード」で表されます。

また、品質は検査によってではなく、計画によって達成するべきと強調されています。これは、「検査で不良品をしっかり取り除く」のではなく、「そもそも不良品を出さないための」予防が重要になります。

金メッキ

品質は顧客の要求事項を満たす必要がありますが、不必要な機能を追加することは推奨されません。良かれと思って言われてもいない機能を追加した、と言うのは金メッキであり、コストやスケジュールに影響を及ぼすため避けなければなりません。

6、資源・マネジメント

チーム資源と物的資源のマネジメント

テーム資源(人的資源)は動機づけ、育成が含まれます。ここでは人的資源をメインに取り上げます。

モチベーション理論

モチベーション理論には様々なものがあります。
・マクレガーのX理論、Y理論
これは、砕けて言うと「生活ができればOK」(X理論)、「仕事で成果を出し成長したい」(Y理論)といった性善説。性悪説にスポットを当てた理論になります。
その他にも、マズローの欲求5大理論(生理的欲求、安全と保証の欲求、社会的欲求、自我自尊の欲求、自己実現の欲求)や、ハーズバーグの衛生理論などがあります。興味のある方はぜひ調べてみてください。

コンフリクト・マネジメント

チーム内でコンフリクトが起きた際の対処の仕方は様々あります。
・撤退や回避:100%の解決を諦め議論を放棄。
・鎮静や適応:意見の同じところを強調
・妥協や和解:双方が完全な解決を諦め、ある程度の満足で我慢
・強制や指示:他方に押し付ける対立解消法(最後の手段)
・協力や問題解決:両者が納得できるような合意を得るように努める。(ベスト)

タックマン・モデル

チームが編成された後のチームの発展段階を表します。
・成立期:初期段階
・動乱機:まだ最適な業務遂行方法を確立できておらず、対立が発生
・安定期:人間関係が出来上がり、共同で意思決定が行われる
・遂行期:成熟した段階
・解散期:プロジェクトが終わり解散へ

7、コミュニケーション

適切なタイミング、適切な方法により、適切な情報を必要な人に届けるマネジメント
また、チームを成功に導くためにリーダーシップを発揮します。

サーバントリーダーシップ

後述するアジャイル開発で特に重視されているリーダーシップとして、サーバントリーダーシップがあります。
これはリーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考えがもととなった支援型リーダーシップのことです。先頭に立ち、指示を出すというよりかは、背後から支援します。そして、活動の阻害要因となるような作業(他部署との事務的調整など)は取り除き、メンバーが成果を出すための業務に集中できる環境を作ります。

8、リスク・マネジメント

プロジェクトのリスクを特定し、特定したリスクを分析して、適切な対応をとるマネジメント

事象リスク・非事象リスク

事象リスクは「何かが起こったことによるリスク」、非事象リスクは「何かが起こったわけではないが、リスクと思われること」です。事象リスクは「台風による被害」などが挙げられ、一方非事象リスクは例えば、「不良品率が計画より多い」といった事象で、「何かが起こった訳ではないが計画通りではない」といった解釈ができます。

リスクの定性的分析と定量的分析

定性的リスク分析は特性や性質で測ります。これは人が判断し点数などをつけます。定量的分析は金額やバグの発生など量で表すことができるものを測ります。訂正的なリスク分析を用いて、定量的なリスク分析のためのリスクを評価し、優先順位をつけます。

9、調達・マネジメント

プロジェクトのスコープに必要な資源を外部から調達するためのマネジメント

調達に関わるキーワードをいくつかピックアップして紹介します。

契約タイプ

大きく分けて下記の2タイプがあります。
定額契約:あらかじめ金額を決めておく
実費償還:掛かったコスト分支払われる

定額契約にはさらに下記のようなタイプがあります。
完全定額契約
文字通りすべての金額をあらかじめ決めておく
定額インセンティブ・フィー
:定額に加えて、あらかじめ合意した評価尺度の達成によって金銭的インセンティブが追加される
経済価格調整付き定額
インフレによる変化やコスト高騰や下落など、市場環境の変化に応じて事前に定義した調整を契約価格へ反映できるようにしておく

実費契約にはさらに下記のようなタイプがあります。
コスト・プラス定額フィー
作業にかかったコスト+当初見積もりコストに一定比率をかけた定額フィー
コスト・プラス・インセンティブ・フィー
作業にかかったコスト+あらかじめ取り決めたインセンティブ・フィー(パフォーマンス目標を達成した場合)

発注者側は定額契約、納入者側は実費償還契約がそれぞれリスクが少なく済む。

10、ステークホルダー・マネジメント

様々なステークホルダーの要求、立場を理解し、適切な関与をマネジメント

プロジェクト型

プロジェクトを進めるにあたり、様々な進め方のタイプがあります。

予測型(ウォーターフォール)

予測型はウォーターフォール型または従来型とも呼ばれますが、特徴は「プロジェクトの始めにすべての計画を立て、その計画に沿って順次プロセスを進めていく」ものです。
システム開発でいえば、要件定義→設計→開発→テスト→導入というように順に進めていきます。途中で変更がある場合は然るべき手続きによってしっかり管理します。

例:橋建設プロジェクト
途中で場所を変更するなどは非現実的なのでウォーターフロー型が適切

漸進型

漸進型は個別の機能ごとに順次納入するものです。例えば、システム開発において、すべての機能を一括で納入するのではなく、「とりあえず在庫管理機能だけ納入」するなど順次「出来上がった」成果物を納入します。必要最低限の機能のことをMVP(Minimam Valiable Product)と呼び、新しい製品の開発では、出来ている機能から市場に投入し、ユーザーからの早期フィードバックを得ることができます。

反復型

反復型は。何度も検証→実行といったサイクルを回し、最後に一括で納入します。計画の変更に強いという点では漸進型と同様ですが、違いは都度納入ではなく、最後に一括で納入することです。

アジャイル

漸進型と反復型を組み合わせたものです。変化に非常に強いスタイルです。

ハイブリッド

予測型+アジャイルなどタイプを組み合わせることも可能です。
例:システム開発はアジャイルで進めて、導入後の顧客トレーニングは予測型で進めるなど。

アプローチ 要求事項 アクティビティ デリバリー  目標 
予測型 固定 プロジェクト全体で1回実行 1回のデリバリー コストのマネジメント
漸進型 動的 増分毎に1回実行 頻繁で小さなデリバリー スピード
反復型 動的 適切になるまで反復 1回のデリバリー ソリューションの適切さ
アジャイル型 動的 適切になるまで反復 頻繁で小さなデリバリー 頻繁なデリバリーとフィードバックを通した顧客価値

各プロジェクト型は、詳細な知識まで紹介するとそれだけでかなりの文量になるので、また別の機会に。

参考文献:

PM教科書 PMP完全攻略テキスト PMBOKガイド第7版対応 改訂版
PMP®試験合格虎の巻 新試験対応
アジャイル実務ガイド
スクラムガイド
PMI倫理・職務規定
【PMP受験者用】スクラム3つの役割/アジャイル基礎/PMP勉強方法/プロジェクトマネジメント
現役シリコンバレーエンジニアが教えるアジャイル開発

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