Scrum Fest Niigata 2023の参加レポート
5月19日、20日にScrum Fest Niigata 2023に参加してきました。
Scrum Fest Niigataは去年も参加させてもらったのですが、私のコミュニティ活動における最初のカンファレンスでたくさんの学びを持ち帰ることができた経験があったため、今回も参加を楽しみにしていました。
期待通りたくさんの学びがあるセッションばかりでしたが、その中でも何点かピックアップして以下にレポートを残していきます。
PO,SMに送るテスト自動化の8原則に5箇条を添えて
私はこの発表を通して初めてテスト自動化の8原則と言うものの存在を知りました。
以下項目だけを抜き出して記載してます。
- 手動テストはなくならない
- 手動でおこなって効果のないテストを自動化しても無駄である
- 自動テストは書いたことしかテストしない
- テスト自動化の効用はコスト削減だけではない
- 自動テストシステムの開発は継続的におこなうものである
- 自動化検討はプロジェクト初期から
- 自動テストで新種のバグが見つかることは稀である
- テスト結果分析という新たなタスクが生まれる
この8原則はテスト自動化に関わるエンジニアは必読であるとおっしゃってて「確かに目を通しておいた方が良さそう」と言う感想を持ったのですが、同時にSMやPOには表現として刺さるのだろうかとおっしゃっていました。
例えば5番の「自動テストシステムの開発は継続的におこなうものである」はエンジニアからすると「そりゃそうだよな」としか思わないのですが、組織を横断的に見ている方からすると「じゃあそれはいつ終わるの?」となって双方の認識のズレが起きてうまくコミュニケーションが取れないかもしれません。
それを表現を変えて「運用を始めてからが本番なんです。」のような伝え方の工夫を入れることで、双方で腹落ちが出来て良い落とし所を見つけられるのかもしれないと思いました。
独自で提案されていた「システム自動化の5箇条」は以下です。
- ツールを考えつつ、何がしたいかも整理しよう
- トライアル中は将来を考えよう
- 初回リリースはあえて手動化しよう
- 価値の下がったテストケースは捨てよう
- 失敗も経験してチームをレベルアップしよう
今まで自動化テストは個人的にはどんどん手動化をなくして行く武器だと考えていた所があったのですが、このセッションを通してなくして行くことを考えるのではなくて手動テストと上手くコラボレートして価値を最大化して行くための手段の一つでしかないという考えに至りました。
なぜ「聴く」ということは難しいのか
組織支援コンサルタントとして外部メンター1on1をされたり、産業カウンセラーをされてる尾澤さんの発表でした。
相手の話を聴くと言う事に関して個人的にはとても課題感を感じているので、とても興味深いセッションでした。
Discord上でも尾澤さんのお話に共感の嵐で、悩まれてる方が本当に多いんだなという印象です。
途中お話しされていたポイントで「自分の声を聴く」と言う点が、大きな学びでした。
普段から「人は自分を写す鏡である」と思っていまして、相手に何か行動を求めてしまっている時は基本的に大体自分にその行動が不足しているからだという考えでいます。
例えば「なんかいつもあの人に雑に扱われてとても不愉快だな」って思う時、振り返ってみると私自身も相手を雑に扱っていることに気づきます。
気づくまでは「雑に扱わないでくれ!」と言う意思表示をして相手に変わってもらおうと思っていましたが、自分の行動に気づいて自分が丁寧に接する事を心がけてみると「雑に扱われる」と言う事が減った経験があります。
この事から結局は相手は私を見て態度を変えているのは当たり前だと思っていて、私が相手に求める心地よいと感じるコミュニケーションがあれば、私からするように心がけています。
セッションの話に戻るのですが、「相手の話を聴く」と言う事も同じことだなと尾澤さんの話を聞いて感じました。
多分尾澤さんが言いたい意図はちょっと違うのかもしれませんが、相手とのコミュニケーションにおいて大事なポイントで「相手の反応を観察する」事以上に「自分の反応を観察して適応する」事が大事という学びと気づきをこのセッションで得ることが出来ました。
慶長三年創業の老舗建材商社でスクラムチームを立ち上げたい!
野原ホールディングスさんのIto Nozomiさんの発表でした。
建設業界に関して私は全く無知なのですが、ScrumやAgileを取り入れることはとてもハードルが高い事なのだろうと想像していました。
実際に工程かんの断絶や、主流のコミュニケーションツールがアナログ(電話やFAX)である事の言った言わないなどが原因で透明性を確保できないという問題を抱えていらっしゃったとの事です。
そしてPJ化されてる事のシステム化について、担当者でも目的を把握していないという事があり、結果の検査も行えない状況だったようです。
ただその中で登壇者の方は関係者の「不」を洗い出しを行なったり、ユーザーストーリマッピングを作成するなどを通してアプローチしていったとの事でした。
どんな大きな業界で変化が難しいと思われるようなものでも、Itoさんのように前向きで一歩一歩現状を把握して改善の波を進めている姿は、偉大なスクラムマスターとしての理想像であると感じました。
登壇を通してItoさんの熱い思いが伝わってきて、とてもエンパワーメントされました。
不確実性に打ち勝つOKR戦略
OKRのKRはあくまで目標を達成するための仮説であるという側面があるため、必要であれば転換も図れる指標であるという事です。
そしてステイシーマトリクスを引用されていて、2軸の不確実性が高いものは、それは混沌としていくから経験主義のアプローチになるよねと言う話をされていました。
そして不確実性が高いものは近づいていく中でKRの設定が正しいか、KRの仮説をクリアすることでOに近づいているのかがわかっていくという事です。
であればいっその事「KRは更新する前提で考える」と言う考えです。
なぜ我々がここにいるのかという問いを深ぼる事で、自分のOが見えてきて、そこに結びつくKRを設定して仮説検証を繰り返して行くことは、ワクワクしていけるのだろうと想像ができました。
なので私がここから学んだことは「なぜ」がとても重要であって、そこに至る道筋で仮説検証を回していく事の重要性を感じました。
そして要求と技術のどちらも不確実性が高くてアプローチのが難しかった時、同時に戦って行くことは前提だが要求側を先に倒していけると良い結果が得られそうだという事も学びました。
まとめ
Scrum Fest Niigataはテストに関する話題が多い印象だったんですが、メンタリングだったりソフトスキルに関する話も豊富でしてリアルタイムで参加した時はほぼソフトスキルの話を聞いていました。
後から動画で他のセッションも見させてもらったんですが、どれも学びが多く改めてカンファレンス参加は自分が3人欲しくなるなと思わせられました。
またコミュニティから色々学ばせてもらってるからこそ、私も恩送りをしたいとここ最近で強く感じていました。
その思いが産まれてきたことと、チームでたまたま私たちの学びを共有したいというタイミングが重なってScrum Fest Osakaにて自チームでProposalを出しました。
ありがたいことに採択されたので、登壇させていただくことになりました。
これからは学び続けると共に、「恩送り」をどんどんしていきたいと思います。