関東圏でインターネットを利用したサービスを提供(利用)していて、首都圏直下型地震が起こった場合のリスクを考えてみます。
対処(リスクマネジメント/危機管理)については後回しで。
BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)の下地として。
大まかな要素としてはこんなものでしょうか。
- 電気(電力)
- 回線
- ISP・iDC
- サーバー(中のデータとか)
#1. 電気(電力)※一番大事
2015年6月現在、全ての原子力発電所が停止してるので、日本の電力源はほぼ火力発電。
東京湾に集中してる火力発電所が被災した場合、最悪、5割程度の供給が1週間以上継続するとの事。
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発電所は震度6弱以上で運転停止するみたいなので、大地震直後に一斉に停電は確定っぽい。
種類 | 発電量(千kWh) | 割合 |
---|---|---|
水力 | 60,606,597 | 8.51% |
火力 | 649,227,902 | 91.14% |
原子力 | 0 | 0.00% |
新エネルギー等 | 2,513,248 | 0.35% |
3.ライフライン
(1)電力
湾岸の大部分の火力発電所が被災した場合、最悪、5割程度の供給が1週間以上継続することも想定される。
4.電力供給の不安定化
・ 概ね震度6弱以上の地域においては火力発電所が運転を停止する。この結果、夏場のピーク時の需要に対して電力の供給能力は5割程度に低下し、発災直後は、需給バランスを起因として広域で停電が発生する。
#2. 回線
主に回線経路の物理的破損と、収容局の電源設備の問題。
回線を収容している局舎は、停電しても10時間は非常用電源で持つよう設計。
宅内側の回線設備の電源をUPS等で確保すれば、10時間程度は通信可能に。
【現行モデル】
対象局の保守特性に係らず蓄電値の保持時間は10時間で固定
その他、関東主要キャリアの光回線等の主な敷設経路(使ってるキャリアの幹線が切れたら迂回経路で遅延する可能性大)
・NTT(独自網?)
・KDDI(高速道路)
・ソフトバンクテレコム(鉄道)
・東京電力(電柱?)※サービス終了 KDDIに移管
#3. ISP・iDC
プロバイダーもDCに収容されているだろうから、ガスタービンエンジン発電機等で18~24時間連続運転はされるであろう。ビルなら耐震バッチリで倒壊しないだろうし。
連続18時間運転可能なガスタービン発電機を完備。
連続24時間運転可能なGTG(ガスタービン発電機)を完備。
#4. サーバー(中のデータとか)
被災地外(西日本とか国外とか)なら、とりあえず動いてるので問題無い。(被災地からはアクセス不能だけど)
被災地で回線経路に破損が無いなら、操作端末を含む設備一式にUPSを付けた上で、10時間以内(局舎の非常用電源設備の保持時間)でバックアップしたり移設なりの対応が可能。
#(現時点でのまとめ)
- 首都圏直下型地震があった場合は、確実に計画停電。
(都内23区の例外はあるかも。ただし回線経路の物理的破損も有り得るので、どこまで使えるのか不明) - 全体の通信回線の復旧は1週間以上はかかる見込み
- 首都圏のみでサービス展開している場合は、顧客もサービスを利用できない可能性(大)
- 関西、国外のリージョン等で冗長化しといたほうが良い。
※日銀では発災当日中に機能を回復する体制とのこと。良いお手本。
首都直下地震の被害想定と対策について (最終報告)
首都直下地震対策検討ワーキンググループ
2.経済中枢機能等
(1)資金決済機能
・ 発災時におけるシステムの継続性を確保するため、日本銀行ではシステムセンターの耐震化、十分な時間稼働させることが可能な非常用発電設備の確保、夜間・休日の発災にも対応できる初動対応職員の確保、都内のシステムに不測の事態が発生した場合の大阪のシステムへの切り換えと重要データの同期等、高い堅牢性が確保されており、仮にシステムが一旦停止した場合にあっても、発災当日中に機能を回復し、当日中の資金決済を終えられる体制が整えられている。
継続したサービスを提供できるように備えるべし。