エンジニア夏休み企画に便乗し、積読を1冊消化した感想文です。
読んだ本
『UIデザインの教科書[新版] マルチデバイス時代のインターフェース設計』
- 「UIUX 勉強 本」とかで検索するとまず間違いなくお勧めされる本。
- 日ごろから「この画面微妙...でも何がいけないのか言語化できない..」と悩むエンジニアには、以下説明文は魅力的に映るはず
使いやすい理由とは何か
本書はUIにおけるデザインの定義から、
ハードおよびソフトによる制約、人間の心理による影響、
そして具体的にデザインを形にする方法までを、
図や画像を使いながら、わかりやすく体系的に解説していきます。
感想
概念・具体的内容のどちらに対しても、「こういうのが知りたかったんだ!!」が詰まった本だった。
「そもそも使いやすい・使いづらいって何?」というモヤモヤを言語化してくれ、かつ実際のデザインで使える知識や例を豊富に提供してくれる。
全くの画面デザイン/フロント初心者にはわかりづらい部分もあるかもしれないが、
多少画面デザインに携わったことのある or フロントエンドの実装に携わったことのあるエンジニアであれば、日ごろ何となく感じている違和感の言語化に役立つ本だと思う。
特に印象深い学び
カッコ内には本書の章番号と見出しを記載している。
デザインの必要性 (1-2:デザインの目的)
- デザインの目的は、その機能や働きによって何らかの課題を解決すること であり、新しい価値を創造すること
- 必要とされる機能が世の中でそこにしか存在しないならば、インターフェースや使い勝手は二の次となる
(代替手段がなければそれを使うしかなく、何よりもその機能に価値があるため)
UIとUXの関係 (1-3:UIとUX)
-
UIは「ユーザー」と「システムやサービス」との接点
UIをデザインするということは、システムやサービスのIFをより使いやすく設計するということ -
UXは対象を知った瞬間からのすべての体験
UIを使った時にユーザーの内面に起こる反応がUXとなる。 - しかしUIの改善=UXの改善とは限らない(そもそもそのUIで実現しようとしていることは、UXの向上につながるのかを検討することが必要)
どうして「使いづらい」のか (4-2:インタラクションコスト)
- インタラクションコスト = ユーザーが受ける負担(精神的負荷 + 身体的負荷)
- 精神的負荷の例
- 読む
- 理解する
- 覚える
例)文字の詰まったテキスト、ボタンに見えないボタン
- 身体的負荷の例
- スクロールする
- クリック / タップする
→デバイスによって負荷のかかり具合が大きく異なることが特徴
- 精神的負荷の例
- ユーザーにとって、負荷は低いほうが「使いやすい」
- インタラクションコストを下げる3つのアプローチ
1. 一貫性
デザインの意味や操作を予測できるようにすることで、認知負荷を下げる
2. シンプルさ
状況を明快にすることで、認知負荷を下げる
3. 共通概念
既知のルールやサインを利用し、認知負荷を下げる
WEBならではのわかりづらさ:前後関係 (5-1:縦、横、前後)
- WEBサイト・アプリと本の違いは「リンクがあること」であり、縦+横+前後の関係による3次元的な構造であること
→それゆえに、「わからない」「使いづらい」といったWEB固有の問題が発生する - 前後関係の表現としては以下2つがありうる
- ビジュアル
ex) ヘッダーにナビゲーションを表示させる - インタラクション:
ex) ページ遷移時に新規画面をスライドして画面に表示させる
- ビジュアル
WEBならではのわかりづらさ:階層関係 (5-2:階層の深さと広さ)
- 階層には「深さ」(=階層深度)と「広さ」(=カテゴリ数)があり、「深さ」と「広さ」は反比例する
- 階層は「浅く広く」の方が、探しやすく使いやすい
- 階層の上下移動は負荷が高い
- ラベル(=階層の名称)がより分かりやすい
- ラベリングは排他的に名付けることで、ユーザーが目的のものを見つける手助けとなる(認知負荷を下げる)
- スマホ対応等でみられる「…」に種々の機能を詰め込むのは、排他的でないので使いづらい
「わからない」とは何か (5-6:わからないとは何か)
-
「わからない」は以下2つに集約される
- 「場所がわからない」
- 「操作がわからない」
- 構造と操作における、一貫性のあるIFデザインがあれば2つとも解決できる
終わりに
ここで触れた内容は一部であり、実際の本には豊富な図解付きで多くの内容が記載されている。
本記事では「わからないとは何か」までしか記載していないが、本にはその続きがあり、「わからない」に対応するための方法のストックも提供してくれる。
「画面デザインに興味がある、でもいまいち何をしてよいかわからない...」、
「画面作ってるけど、なんかわからんが使いづらい...」
そんな悩みのあるエンジニアにはぜひ本書を読んでもらいたい。