Application Container Cloud Service のキャッシュ機能をローカル環境で開発してみた #Docker

Oracle Application Container Cloud Service はキャッシュ機能を提供しています。

Application Container Cloud Service のキャッシュ機能を使ってみた

このキャッシュ機能の開発を簡単に行えるように ローカルキャッシュ 機能が利用できます。

説明

Oracle Application Container Cloud Service が提供している Application Cache は稼働しているホスト名を環境変数から取得して、キャッシュの宛先として利用します。
そのため、キャッシュ機能を利用するには Application Container Cloud Service 上に Application Cache インスタンスが作成され起動している事が前提となります。

参考: キャッシュ初期化

開発時にリモートに接続し、テストやデバッグを行うのは不便です。そこで、Application Cache Client が提供している LocalCache API を利用します。

LocalCache

LocalCache は実際の Application Container Cloud Service 上の Cache を利用する場合の API と同様の API が提供されています。

上記クラス図を見ると分かるように、Cache インターフェース を実装した AbstractCache 抽象クラスを継承して REST 処理用、gRPC 処理用、ローカル 処理用の各クラスが作られています。

RestCache / GrpcCahe

「Application Container Cloud Service のキャッシュ機能を使ってみた」で作成したキャッシュは、Transport クラスで REST タイプを指定していました。それにより RestCache として定義されています。

cacheSession = sessionProvider.createSession(Transport.rest());

また、指定する Transport タイプを gRPC にすると GrpcCache として定義されます。

機能

LocalCache、 RestCache、GrpcCache ともに基本的な機能に違いはありません。

キャッシュの取得
- get(String key)
キャッシュの登録
- put(String key, V value, PutOption... options)
キャッシュの更新
- replace(String key, V value, ReplaceOption... options)
キャッシュの削除
- remove(String key, RemoveOption... options)

前提

キャッシュ・サービスのクライアント・アプリケーションに Java API を利用する場合は、以下のライブラリが必要になります。

cache-client-api-1.0.0.jar

Maven により以下の依存関係を記述することで取得可能:

Artifact ID: cache-client-api
- Group ID: com.oracle.cloud.caching

<dependency>
    <groupId>com.oracle.cloud.caching</groupId>
    <artifactId>cache-client-api</artifactId>
    <version>1.0.0</version>
</dependency>

使用方法 / 実装例

Application Container Cloud Service 上で稼働させる場合と、ローカル環境で稼働させる場合で使用する Cache を切り替えると便利です。
そこで、Application Container Cloud Service 上かローカル環境かという識別情報として環境変数を利用してみます。

Application Container Cloud Servive では、デプロイしたアプリケーションファイルが配置される場所の情報として APP_HOME という環境変数でディレクトリ名が登録されています。そこで、この環境変数の有無を利用して環境差異を判別することにします。

環境判別処理を入れる前

Session cacheSession = new RemoteSessionProvider(CACHE_URL).createSession(Transport.rest());
Cache cache = cacheSession.getCache(CACHE_NAME, ValueType.of(String.class));

環境判別処理をいれた後

SessionProvider sessionProvider = System.getenv(APP_HOME_DIR) == null ? new LocalSessionProvider() : new RemoteSessionProvider(CACHE_URL);
Session cacheSession = new RemoteSessionProvider(CACHE_URL).createSession(Transport.rest());
Cache cache = cacheSession.getCache(CACHE_NAME, ValueType.of(String.class));

SessionProvider を環境変数の有無で切り替えています。

ローカル環境での Application Cache の実行例

RestCache を使用した場合のローカルアクセス

LocalCache を使用した場合のローカルアクセス

まとめ

LocalCache の存在に気づくまでは、Application Cache が稼働しているホスト名を環境から引き抜いてきて、リモート接続しながら開発するのかと考えていました。LocalCache を使えば、開発時にはわざわざリモート接続を意識しなくていいので助かります。