こんにちは。Supershipでプロダクト周りでいろいろやっております中村と申します。
この記事は、Supershipグループ Advent Calendar 2023の11日目の記事になります。
はじめに
昨今の世界情勢による円安、資材高騰などの煽りを受けて、プロダクトの原価でもあるインフラコストに頭を悩ましている方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか?
私もその一人です。
クラウド化により、オンプレ時代よりははるかにコスト最適がしやすくなってきており、FinOpsなど様々な方法論も提唱されてきておりますが、ここでは、そもそもプロダクトにおける最適なインフラコストとはどの程度であるべきなのか。という点について考えていきたいと思います。
調査対象
- 前提
- 東証上場SaaS企業
- ARR100億円以上
SanSan
引用資料:決算説明資料
サーバー費用の明細は見つけられませんでした。。
一方で、売上高に対する売上原価は12-15%を推移しております。
一般的にはインフラサーバー費は原価扱いになっているかと思いますので、そう考えると少なくともこの割合より下回るのでしょう。
また、R&Dは20%前後でそこまで変化はありません。
freee
引用資料:決算説明資料
同じようにサーバー費として明確な記載はありませんでしたが、売上原価は売上高-売上総利益と考えると、20%前後を推移してそうです。
また販管費のR&D比率は25%から35%へ徐々に増加傾向です。
マネーフォワード
引用資料:決算説明資料
こちらもやはりサーバー費は売上原価に含まれていそうです。
右側のSaaS事業のみをとらえた場合には14%-17%程度でしょうか。
また下記の注釈が気になりますが、プロダクト開発に関わる人件費はグローバルでは原価ではなく、国内の会計基準だと売上原価に含まれるとのこと。各企業の売上原価に開発人件費が含まれているのかいないのかは今後要注意ですね。
*2 Businessドメイン(バックオフィスSaaS)に限定し、一般的なグローバルSaaS企業における定義に基づいて計算。原価部分には、プロダクトの開発に関わる通信費やシステム利用料、AWSなどのサーバー費用、API接続費用、カスタマーサポートに関わる人件費、サービス基盤に関わる人件費、
『STREAMED』のオペレーターの人件費などを含む。なお、プロダクト開発にかかるエンジニア・デザイナー人件費は国内会計基準上・当社損益計算書上は売上原価に含まれる。
販管費の割合についての記載は見つけられませんでしたので、今後要調査としたいと思います。
おわりに
プロダクトに関わるサーバー費の適正値だけを知りたかったのですが、なかなか明確に公開している企業はないものですね。
総論としては売上原価が20%未満であることを考慮すると、10%-15%程度が一般的なのでしょうか。
一方で、そもそもSaaS企業における計上のルールや考え方は理解が進んだので整理しておきます。
-
売上原価(売上高の15%-20%)
- プロダクトの開発に関わる通信費やシステム利用料、サーバー費
- カスタマーサクセスに関わる人件費
- プロダクト開発にかかるエンジニア・デザイナー人件費(※グローバルと国内会計基準で異なりそう)
-
販管費
- R&D(Research & Development)(売上高の20%-30%)
- 研究開発に関するエンジニアの人件費
- 研究開発に関するサーバー費
- S&M(Sales & Marketing)(売上高の40%-60%)
- 営業・マーケティング担当者の人件費
- 広告宣伝費
- G&A(General & Administrative)(売上高の15%-25%)
- 総務などバックオフィス人件費や税金・企業の保険等
- R&D(Research & Development)(売上高の20%-30%)
あくまでも目安であり、プロダクトの性質によっても状況は異なるとは思うのですが、お金の使い道を考える上でざっくりとした指標として理解したいと思います。
また外資のSaaSKPIについての記載は下記がとても参考になるので引用しておきます。
SaaS企業で大切なS&M比率とは|R&DやG&Aとの違いも解説
最後に宣伝です。
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是非ともよろしくお願いします。