概要
Twitter で話題になっていたやつ。たぶんみんな (左辺) = ... (変形していく) ... = (右辺)
の形で証明したいのだと思うので、その一例。オリジナルであるとは主張しないです。検索すると、どこかにたぶんあります。
前提など
ここでは、自然数が環であることを前提とする。すると 0 は加法単位元、1 は乗法単位元である。
加法および乗法の結合則と交換則が成り立つことは暗黙的に使っている。括弧も適当に省略している。
なお、「a=b ならば a+c=b+c
」 などの等号に関する公理と推論も暗黙に使っている。
なお、(-x) は x の加法逆元とする、つまり任意の x に対して x + (-x) = 0
を公理であるとする。
証明
(左辺)
= (-1) * (-1)
= (-1) * (-1) + 0
= (-1) * (-1) + (-1) + 1
= (-1) * (-1) + (-1) * 1 + 1
= (-1) * { (-1) + 1 } + 1
= (-1) * 0 + 1
= (-1) * 0 + 0 + 1
= (-1) * 0 + (-1) * 0 + {- (-1) * 0} + 1
= (-1) * ( 0 + 0 ) + {- (-1) * 0} + 1
= (-1) * 0 + {- (-1) * 0} + 1
= 0 + 1
= 1
= (右辺)
解説
本体 (前半部分)
基本的には
(左辺) - (右辺) = 0
の証明はシンプルであることを使う。なお、この命題は、より正確には
(左辺) + {-(右辺)} = 0
つまり、(左辺) と (右辺)の加法逆元 との和が0であることを意味している。
これに対して、(右辺) を移項し戻した命題、つまり、
(左辺) + (右辺) + {-(右辺)} = (右辺)
の証明を作ってやればいい。これが前半にあたる。
a * 0 = 0 (後半部分)
証明の途中である値 a に対して a * 0 = 0
の証明が必要になる。0 はあくまでも加法の単位元であって、乗法の零元ではないので、これは明示的に証明する必要がある。これは a * 0 = a * (0 + 0) = a * 0 + a * 0
から a * 0
が加法単位元つまり 0 であることがわかるので、この証明を適切に変形して上記本体の証明に埋め込めばいい。これが後半部分で行っている証明である。
有用な気がするので、この部分だけ書き下しておく (乗法記号省略):
a0
= a0 + 0 // 0 は加法単位元
= a0 + { a0 + (-a0) } // 逆元の存在
= { a0 + a0 } + (-a0) // 加法の結合則
= a(0+0) + (-a0) // 分配法則の逆
= a0 + (-a0) // 0 は加法単位元
= 0 (Q.E.D.) // 逆元との和