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正規表現の先読みを使ってテキストを文区切りで改行する

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前提

文章を句点 (。) で改行して、1行に1文だけ保持されているような文字列を得たいです。

たとえば以下の文章があるとき、

 叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。
ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

以下の出力を得たいです。

 叢の中からは、暫く返辞が無かった。
しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。
ややあって、低い声が答えた。
「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

方法

正規表現の先読みアサーション (Lookahead assertion, たんに先読みとも) を使います。
先読みアサーションとは、「後ろに x という表現が続くような(または続かないような) exp」にマッチさせる表現のことです。

種類 記述例 マッチ例
ポジティブアサーション /exp(?=ress)/g 'express explosion experiment'
ではじめの exp だけマッチ
ネガティブアサーション /exp(?!ress)/g 'express explosion experiment'
で後ろ2つの exp だけマッチ

当然後読みアサーション (Lookbehind assertion) というものもありますが、今回は使わないので割愛します。

環境

Bun 1.1.3
今回はJSでコードを書きますが、正規表現なのでたいていどこでも同じように実装可能です。

コード例

失敗例

index.ts
const text = ' 叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。\nややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。';

console.log(text.replace(/。/g, '\n'));

実行結果

 叢の中からは、暫く返辞が無かった。
しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。

ややあって、低い声が答えた。
「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

余計な改行が入ってしまいます。

先読みアサーションを使わないコード

index.ts
const text = ' 叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。\nややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。';

console.log(text.replace(/。([^\n$])/g, '\n$1'));

実行結果

 叢の中からは、暫く返辞が無かった。
しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。
ややあって、低い声が答えた。
「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

句点のあとが改行 \n ないし終端 $ ではない場合だけ次の文字を含めてマッチし、その句点の次の文字を $1 で後方参照することで、文のあとに適切に改行を挿入しています。
期待した結果が得られましたが、読みづらいしなんだか冗長な感じがしてしまいます1

先読みアサーションを使うコード

index.ts
const text = ' 叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。\nややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。';

console.log(text.replace(/。(?!\n|$)/g, '\n'));

実行結果

 叢の中からは、暫く返辞が無かった。
しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。
ややあって、低い声が答えた。
「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

(?!...) を使うことで、改行 \n ないし終端 $ に続かない句点だけをマッチし、改行を挿入することができました。
コードもスッキリと記述できています。

雑感

基本的な正規表現は一通り勉強したつもりでしたが、やはり具体的なケースに適用することで、使いどころ込みで理解できるなあと実感しました。

  1. ちなみにMDNには、「キャプチャグループはパフォーマンス上の損失があります。」と書かれています。JavaScript 以外の場合がどうなのかはわかりません。

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