やりたいこと
Azure Application Gatewayでの単一サイト構成では以下の図のような形になります。
これをApplication Gatewayマルチサイト機能を使って、通常ルートとメンテナンス用ルートに分けることができないか検証してみたので書き残します。メンテナンスモードを作り出すイメージです。
図で表すと以下のような構成です。
通常時
- ユーザーもメンテナンスユーザーもBackendPoolにアクセス可能
メンテナンス時
- メンテナンスユーザーはBackendPoolにアクセスできるが、ユーザーはSorryPageにアクセスされる
カスタムエラーページ作成
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まずはSorryPage配置用のBlobを作成します。ストレージアカウント作成方法は割愛します。
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ストレージアカウント画面より、[Blob service]→[コンテナー]を選択します。
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[+ コンテナー]を選択します。
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このときパブリックアクセスレベルを[Blob]もしくは[コンテナー]に設定します。SorryPage配置先はパブリックなBlobを指定する必要があります。
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コンテナーが作成されたらその配下にSorryPageをアップロードします。
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アップロードファイルを選択するとURLが表示されるためコピーします。
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ブラウザーを開いてアクセス可能であることを確認しておきます。
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これでカスタムエラーページの準備は完了です。URLは後ほど使います。
マルチサイトリスナー作成
通常ルート
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単一サイトの場合、1つのApplication Gatewayの中では1つのプロトコルのリスナーしか作れませんが、マルチサイトの場合は複数のリスナーを作成できます。今回はhttpリスナーを2つ用意します。
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Application Gatewayの画面より[リスナーの追加]を選択します
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以下のように入力します
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リスナーの種類を[マルチサイト]に設定し、このリスナーにアクセスするときのホスト名を入力します。今回はuserにしました。本来であればちゃんとしたドメインを設定します。
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エラーページのURLを[はい]に設定し、無効なゲートウェイにカスタムエラーページのURLを入力します。
メンテナンスルート
- 同じようにメンテナンス用のリスナーを作成します。今回はホスト名をmaintenanceにしています。エラーページの設定はしません。
バックエンドプール作成
HTTP設定
通常ルート
メンテナンスルート
- 同じようにもう1つHTTP設定を追加します。
ルール設定
通常ルート
メンテナンスルート
- 同じようにメンテナンス用のルールを作成します。リスナー、HTTP設定はメンテナンス用に作成したものを指定します。
正常性プローブ作成
バックエンドにヘルスチェック用HTMLファイル準備
- Windows Serverにログインし以下のようにヘルスチェック用のHTMLファイルを準備します。通常ルート用、メンテナンスルート用で2つ準備しておきます。中身は空でよいです。
通常ルート用正常性プローブ作成
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Application Gateway画面より[ルール]を選択します。
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[追加]を選択します。
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ホスト名はリスナーで設定したときと同じものを入力します。
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パスには先ほど配置したヘルスチェック用HTMLファイルを指定します。
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HTTP設定は通常ルート用のものを指定します。
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バックエンド正常性テストが通ればOKです。
メンテナンスルート
- 同じようにメンテナンス用の正常性プローブを作成します。今回はホスト名をmaintenanceに、パス/HTTP設定をメンテナンス用のものにしています。
自PCへのhosts設定
- 今回はテスト用なので名前解決にhostsを使ってます。以下のように設定してます。(実際はApplication GatewayのパブリックIPを記載します)
テスト
メンテナンスモードにしてみる
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本題の以下構成が動作するか試してみます。通常ユーザーはSorryPageが表示されて、メンテナンスユーザーはアクセス可能ならOKです。
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Windows Server上でヘルスチェックファイル(通常ルート用)をリネームします。
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しばらくして http://user/
にアクセスし、SorryPageに飛べばOKです。
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http://maintenance/
へのアクセスは問題ありません。
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バックエンド正常性も想定通りの動きをしています。
以上