※ Retty Advent Calendar 2018 4日目の記事です。
昨日は @saku さんの記事で、 docker networkとAWSのIP帯がかぶったときの話 でした。
はじめに
こんにちは。プロダクト部門アドテク&アライアンスチームの進藤です。
アドテク&アライアンスチームって何してるの?
エンジニアリングの観点から、Rettyのビジネスを支援・成長させるチームです。
具体的な業務内容は、『広告商品開発』や『広告運用』 になります。
今回は『広告商品開発』の2018年を振り返り、記事にまとめました。
( ※『広告運用』の振り返りも、アドベントカレンダーの記事として投稿する予定 )
前半では、Rettyが広告商品の販売・開発をする意義や、メディアに期待されてることを、
後半では、2018年に広告商品開発で取り組んだ内容と、今後の商品開発の方向性をまとめていきます。
Rettyの広告について
Rettyでは大きく2つの広告を展開しています。
- 純広告・タイアップ広告 ( ※ 飲食店・飲料メーカーといった広告主向けに直接販売を行う )
- プログラマティック広告 ( ※ 広告配信事業社を経由して、自動的に広告の買い付け・配信を行う )
アドテク&アライアンスチームの『広告商品開発』は、
前者の「広告主向けの純広告・タイアップ広告」を実現するために、基盤開発・データ整備をしています。
Rettyの純広告・タイアップ広告には、下記のようなものがあります。
<商材の認知・理解・体験を目的としたタイアップ記事制作と記事への誘導>
<Retty独自データを活用したターゲティング配信>
Rettyの純広告・タイアップ広告はこんな感じです。雰囲気をつかんでくれれば^^
Rettyが純広告・タイアップ広告をやる意義
まず、インターネット広告市場の流れをお話すると、
インターネット広告費の約8割をプログラマティック広告にしめており、年々プログラマティック広告の割合が増え続けている状況にあります。
参考) 電通のニュースリリース『2017年 日本の広告費』
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0222-009476.html
Rettyに出稿いただいている広告主から、
既存の取り組みをプログラマティック広告で実現できないか、という話を受けることもあります。
このように、タイアップ広告の市場が縮小しているなかで、
Rettyが、営業・開発リソースを確保して、純広告・タイアップ広告に取り組んでいる意義を話します。
意義① 純広告・タイアップ広告が、Rettyマネタイズに貢献していること
現状、プログラマティック広告より単価が高く、いまのRettyのフェーズで十分にマネタイズに貢献できていること。
マネタイズに貢献できているので続けましょう、って感じです。
意義② Rettyサービスのブランド毀損リスク改善に繋がること
昨今『ブランドセーフティ』『アドフラウド』『ビューアビリティ』が大きくクローズアップされ、広告主を中心に、ブランド毀損リスク改善の動きが高まりました。
広告主視点でブランド毀損を語られることが多いですが、広告枠を提供するメディア側にも同じことがいえます。
具体的にいうと、
Rettyに訪れるユーザーは、「美味しいものを食べたい」という共通の欲求を持っています。
したがって、ユーザーの外食機会を損ねるような、食欲をそぐ広告を配信することは避けたいです。
例えば、サプリの商材で、ミドリムシが生々しくうつっているような広告は最悪ですね。。
そういった背景もあり、自社営業チームが直接広告主と契約し、純広告・タイアップ広告を配信することで、
クリエイティブ配信可否基準や運用のレバーをRetty側で持つことができるので、ブランド毀損リスク改善に繋がります。
この辺りは、2017年のRetty広告運用のインタビュー記事でも触れていますので、是非読んでみてください。
「アドテクの理想と現実」にパブリッシャーはどう向き合うべきか?-大手グルメサービス担当者が語る課題と未来 [インタビュー]
広告商品でメディアが期待されてること
『変わることを恐れない。新しいものを出し続けることが大事。』
この1年、広告商品開発をしてみて強く感じたことです。
去年あれほど売れていた広告商品が、今年になって全く売れなくなったり、、を目の当たりにしました。
広告主が抱える課題感・タイアップ広告に対する期待・追いかける指標は変わり続けます。
メディアとして価値を提供できなければ、広告主に見向きもされなくなります。
変化を恐れず、新しいもの・価値を出し続けることが大事ということに気付きました。
そういった状況のなかで、今年のホットワードは 『データ活用』 だったと思っています。
とくにここ半年は、広告主・広告代理店からデータを活用した広告案件の話をうける機会が増えました。
Rettyとしてもデータを活用した広告商品開発に、積極的に取り組み、一定の成果を残すことができました。
具体的になにをやってきたのか、後半はここを掘り下げます。
データ活用した広告商品開発の1年間を振り返る
データを活用した広告商品開発について、2018年に取り組んだ内容です。
- 1月 : DMPの導入。データ蓄積を開始
- 2月 : パーソナライズターゲティング配信を開始
- 3月 : レポート指標の充実化
- 5月 : Retty独自セグメントのターゲティング配信を開始
- 11月 : 広告主が保有するオーディエンスデータと3rdPartyDataと組み合わせた分析・配信を開始
ひとつひとつ掘り下げてみます。
DMPの導入。データ蓄積を開始
DMPとしては、『TREASURE CDP』を採用しました。
決め手は、下記2つになります。
- フルマネージドなクラウドサービスで、システム開発・運用コストを抑え、利用料金も安価であったこと
- 共通ID (TD Global ID) で、クライアント・広告事業者が保有するデータとの連携が可能なこと
とくに2の部分で、ユーザーの興味・関心事がより細かく分析でき、広告主がRettyに出稿する価値を見出してくれることを期待して、導入しました。
下記のようなイメージです。
最初はこんなことができれば、と考えて TREASURE CDP の導入を決めました。
まずは、下記ログを TREASURE CDP で蓄積するところから始めました。
- アクセスログ
- 広告配信結果ログ
パーソナライズターゲティング配信を開始
次に行ったのが、パーソナライズターゲティングの開発です。
実績例を出すと、
ある商材のキャンペーンで広告接触したユーザーに対して、広告接触・広告非接触のセグメントに分けて、アンケートを配信するといったブランドリフト調査に利用しました。
上記を実現するため、
Rettyでは、配信サーバーとして利用している AdManager の『Key-Value ターゲティング』機能と、TREASURE CDP の『Personalization API』を使って、実現しています。
実装というかシーケンス図は下記になります。
レポート指標の充実化
広告主により詳細なフィードバックを行うため、レポート指標の充実化を行いました。
具体的には、キャンペーン全体の広告imp,Clickのみではなく、下記のレポートを提供できるようにしました。
・料理ジャンル別レポート
・エリア別レポート
・利用目的別レポート
・流入別レポート
・ユーザー属性別レポート
上記を実現するために、広告配信結果ログの設計を行い、下記の情報を蓄積するようにしています。
・ユーザー識別子
・広告案件ID
・広告枠ID
・広告クリエイティブID
・イベント (広告imp, 広告Click, 動画再生開始, 動画○秒視聴, 動画再生完了, アンケート回答内容等)
・広告配信ページURL
・流入元情報 (SNS・検索エンジン等)
・Retty関連データ (エリア・料理ジャンル・利用目的)
Retty独自セグメントのターゲティング配信を開始
『Retty独自のRettyらしいデータ』 を活用した広告配信を開始しました。
まずRetty訪問ユーザーのアクセスログをもとに、料理ジャンル関与度セグメントを作成し、そのセグメントでの広告配信実績を作りました。
[TREASURE CDP で料理ジャンル関与度セグメント作成]
今後、広告配信結果ログや3rdPartyDataと組み合わせながら、特定の料理ジャンルをよく見るユーザーの性質を分析して、商材との相性を分析していく予定です。
広告主データ・3rdPartyDataと組み合わせた分析・配信を開始
Rettyが持つ独自データ (料理ジャンル・料理目的シーン・利用エリア等) と組み合わせて、
広告主の商材を利用しているユーザーのインサイトを分析し、商材プロモーション戦略を提案することができるようになりました。
▼▼ Rettyが保有する独自データ・広告主が保有するオーディエンスデータの組み合わせ ▼▼
(※下記図はサンプルデータになります)
次に、3rdPartyDataとの連携もサポートして、
下記のようなユーザー属性レポートを提供することで、より詳細なユーザーのインサイトを把握することが可能になりました。
▼▼ Rettyが保有する独自データ・広告主が保有するオーディエンスデータ・3rdPartyDataの組み合わせ ▼▼
(※下記図はサンプルデータになります)
このように、様々なデータを組み合わせて分析することで、商材を利用するユーザーのインサイトを深掘り、
Rettyを利用するユーザーに対して、広告主の商材理解度に応じたセグメントを作成し、セグメント毎にプロモーション設計・広告配信することができます。
今後の方針
この1年間を通して、データを活用した広告商品を提供できる土台は整ったかと思います。
今後やっていきたいことは2つあります。
1つ目は、Rettyならではの広告商品を提供すること
まだ、Rettyならではの広告商品を提供できていないことを感じます。
旅行系サービスだと、ユーザーがいつどこに行くのかが分かります。
インバウンドに商材をあてたい広告主に対して、広告商品を提供することができます。
これは旅行系サービスならではの広告商品だとおもいます。
では、グルメ系サービスならではの広告商品ってなんだろうか。
『料理の好き嫌い』『ネット予約』『来店情報』... これらのデータを組み合わせることで、Rettyらしい広告商品をつくれないだろうか。
2019年はこの課題に対する解を探っていく年になりそうです。
2つ目は、広告主の課題に向き合い、商材プロモーションの戦略を提案すること
広告主から 『まずはRettyでテストマーケティング』 といってもらえるようにしたいです。
そのためには、ただRettyに広告を配信して、ありきたりのレポートを作成するだけではダメですね。
さらに一歩進んで、広告主の課題に向き合い、商材プロモーションの戦略となるものを提案すべきだと考えています。
そのためには、ありきたりの性別・年代ではなく、 「Retty独自のRettyらしいデータ」 を設計し、商材を利用するユーザーのインサイトを深掘りすること。そのうえで、商材プロモーション設計をして、より深い考察・分析に繋げられるレポートを作成することが大事になります。
どちらもハードルが高いですが、Rettyとしてしっかり向き合っていきたいところです。