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ゲームを開発するチームをプロダクトオーナーとして運営する上で気をつけたこと

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いつもの「業務外で作ったゲームの話」です。
業務内での話は地味だったり外に出せなかったりするのでこういう話ばかりで申し訳ないです。

ゲームを開発するチームをプロダクトオーナーとして運営する上で気をつけたことをつらつらと書きます。
概ね原則的には3つです。「仲間への信頼」「自分への監視」「金銭的な問題」

仲間を信頼せよ

権限の委任

基本的に「明確なビジョンの提示」の「担当者、現場リーダーへの大きな裁量」の組み合わせによるゆるく手綱を握って馬に任せる方式にしました。
野中郁次郎先生の著作にある形式で、開発スピードが上がっても上は判断量の多さでパンクせず、下は待ちが少なく市場に対して主導権を握りながら機動的に高速で製品をリリースすることができます。
当然人事や育成の手間はかかりますが、途中離脱がない限りコストはペイできます。

仲間への信頼を声に出す

「あなたは間違っていない」
「あなたのおかげです」
「あなたならできます」
日本人は褒めないので褒められ慣れていませんが、上記の言葉を仲間にかけ続けます。すると開発効率はあがり、作業時間は増え、忠誠心と帰属心を持つようになる、積極的に行動を起こすようになるのでおすすめです。
これは宗教が信者を勧誘する手段でもありますが、合理的な理由があります(ひどい話だ)。これをチームメンバーの活用方向にいかしました。

自分を信頼するな

画餅は裏切る、数字が監視する

「アイディア」「計画」は画餅です。それも現実歪曲フィールドの中で作られた画餅です。
正しいかもわからない情報をもとに不確実な仮説の上に乗った、うまくいくかわからないアクションの計画です。
ですので、どこに「未知の情報」があるか、情報は誤っていないか、仮説は狂っていないか、アプローチは間違っていないか、そういった疑念が常に付きまといます。
会議室で懸念を潰していては市場に乗り遅れます。しかし多額のコストをつぎ込んで、致命傷になった後で気づいては手遅れです。
ですので、懸念はKPIなど指標監視で対応します。
自分が考えたアイディアだからこそ、長い時間かけて練りこんだ計画だからこそ自分に甘くなり、正常バイアスがかかります。
しかし、現実にはこれらは裏切ります。ですので、そういうときこそ客観的な数値での監視が必要になります。

外注管理、費用管理の原則

企業ではなく個人で頼んだゆえの苦労です。
企業の看板を使えず、企業の資本体力を頼れず、相手の裏切りへの抑止力を使えません。
そこで行った各種防止策です。

外注は最高の仕事をしてくれる人間を選んだ

自分がよく知っていて、著作のファンなどの理由でイラストやシナリオの外注相手を選びました。
依頼書の前半には自分が相手のファンであること、相手を自分の作品に選抜した理由、あなたしかいないと恃む理由を書き連ねました。
すると相手もOne of Themではない指名ですので、概ね高確率で依頼を受けてくれます。
また、納品物の質も上がりがちです。
「クリエイター」を自称する人間には、リスペクトを前面に押し出すとお互いにとって良い結果が生まれやすいです。

「固定費」を低く抑えること

固定費といっても家賃などではありません。
たとえば、あるゲームで豪華な音楽とキャラのフルボイスがあったとして次回作でそれが付いていなかったらどう思うでしょう?
プレイヤーは「ショボくなった」と思うでしょう。最初からなければそうは思わないのに、です。
つまりユーザーの高くなった期待値に合わせるために「音楽」「ボイス」の確保が必須になり、制作費が高騰しはじめます。
音楽の他にも美麗なイラスト、美少女を描けるイラストレーター、多彩なバリエーションのグラフィック。
これらは、競合作品に対して差別化を図る上で安易に使いやすいカードです
ところが切ったが最後、開発/運営費はサービスをクローズするその日まで一気に跳ね上がります。

ですので、ゲームでは制作費高騰につながるアクションは常に慎重に考え、システムによるゲーム性向上などでプロダクト価値をあげようとしました。

代替案

外注の方は逃げます。
もっと言うなら「仲間」と信じた人間も倒れますし、自分ですら倒れたり事故にあったりすれば戦力に計上できなくなります。
そういうときの「こいつが倒れたら新作リリースは諦める」というリストを用意し、それを最小化します。
さらに外注については「もしこの人が何一つ使える納品物を残さず逃げた場合、どうするか?」というプランは常に念頭にありました。
プロダクト価値はあった場合より低下するものの、リリースそのものは不可能にならない「代替案」の用意は常に用意されていました。
また、代替案の用意が困難な場合は多額の報酬やスケジュール上の余裕などでリスク対策しました。
このあたりの考え方はリスク処理の専門知識を持ったメンバーがチーム内にいたことも大きかったです。

以上です。
参考になりましたでしょうか。

基本的にはゴーイングコンサーン、つまり開発を続けるために、途中でゲームオーバーにならないようにしながらレベルを上げ続けることを意識し続けました。
また、一番大事なのはヒットを出すこと、そして1つのアクションとヒットの距離を縮めることです。
ヒットは全てをカバーしてくれるので、あとはヒットをどう掴みやすくするかが大事になります。

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