記事の目的
AWS主催のAmazon Pinpointセミナーを受講。結果、既存のMAツールを終わらせる可能性があるなと実感。
そのため、本記事では以下について述べてみる。
1. Martechの目指す場所
2. マーケティングの課題と未来
3. Amazon Pinpointとは?
4. Amazon Pinpointの概念
5. 活用事例、他サービスとの連携
6. Pinpoint & Personalizeの可能性
Martechの目指す場所
Martechとはmarketing x technologyを組み合わせた略語。
ただ、目指すべきゴールは昔と変わらずOne To Oneマーケティングの実現で、
一人一人に最適なマーケティングだと思っている。
マーケティングの課題と未来
One To Oneマーケティングを人手で実行すると工数・人件費がえぐいため、
実行してる企業は少ないはず。この課題を解消するために、Martechがブームに
なりつつあるのかなと。
Martechがどこに向かうか、以下の2つが予測として挙げられる。
エンドポイント同士の連結:
ユーザのタッチポイント(GoogleやFacebook、Lineなど)は750億にのぼる。
今後の動きとして、2025年までのタッチポイント同士の相互接続マーケティングが
実現されると予測されている。
例えば、Twitterで新商品の認知を行ったユーザが、Facebookで承認に
興味・関心を持つような広告が配信されるパターンである。
つまり、マーケティングチャネル同士が連結されユーザに
最適なチャネルが構築されていく。
そのため、媒体や広告メニューごとに担当者がアサインされることが
非効率であり、カスタマージャーニーが俯瞰できる担当者と、
効果を可視化できる分析基盤が必要となっていくだろう。
パーソナライズの推進:
ある調査によると、84%のユーザは自分自身を個人としてのコミュニケーションを
望んでいたが、実現できていると考えているマーケットリーダーは51%に
とどまるらしい。
これは、ユーザ毎にチャネルやメッセージのパーソナライズが不足していると
考えていることがうかがえる。ユーザ毎に最適なメッセージを送ることはもちろん、
ユーザが欲しいタイミングでコミュニケーションしてほしいと考えているのだ。
最終的には、ユーザ毎に最適なページ・UIも変えていくことが求められる
かもしれない。ユーザ毎にパーソナライズが進むことは止められない流れだろう。
Amazon Pinpointとは?
マーケティングの成功に不可欠な要素は以下と考えられている。
・ユーザ毎に最適化されたメッセージ
・チャネルをまたいだ自然で連続した顧客体験
これには膨大な実験が必要だろう。すなわち、「いつ」「誰に」
「どんなメッセージ」を送り、「結果」を知ることが必要だ。
この課題を解決するのがAmazon Pinpointだ。
Amazon Pinpointのサービスで以下のことが可能となる。
・モバイルプッシュ、SMS、Eメールなど複数チャネルを
経由したコミュニケーション
・ユーザのターゲティング、セグメンテーション
・通知を行った後の行動解析やダッシュボードによる可視化
公式ドキュメントは以下にある。
https://aws.amazon.com/jp/pinpoint/
Amazon Pinpointの概念
Amazon Pinpointには3つの概念が存在する。
1.チャンネル:
配信プラットフォームのことを指し、以下の4つが用意されている。
・プッシュ通知
・SMS
・メール
・ボイス(現在、日本対象外)
上記に加え、カスタムチャネルを構築することができる。
これは、Lambda Fucntionと連携することで、Pinpointで配信リクエストが
あると、配信先などの情報がLambda Functionに渡され、自由な配信が可能となる。
例えば、実行対話的なチャットボットも構築可能なのだ。
2.セグメント
チャネルを配信するターゲットのこと。
Pinpointで事前に定義された基本セグメントが用意されており、
すぐに配信が可能となっている。
また、ユーザとカスタム属性を組み合わせたインポート機能も
存在する。セグメントファイル(CSV、json)を作成したのちに、
S3へアップロードすれば、任意のターゲティングが可能だ。
※ セグメントファイルで指定可能な属性は以下を参照してほしい。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/pinpoint/latest/userguide/segments-importing.html#segments-importing-available-attributes
3.キャンペーン:
ターゲットとチャンネルに対して、「いつ」どんな「メッセージ」を
送るかを決定する。Amazon Pinpointは顧客アプローチの実験場所として扱うため、
以下の機能が備わっている。
A/Bテスト
A/Bテストではメッセージまたはスケジュールの2つ以上の処理が含まれる。
複数のメッセージやタイミングを設定し、どちらの設定が効果的かを検証できる。
例えば、あるメッセージを定期的に送るのがよいのか、顧客があるアクションを
行った場合にのみ送るのが良いかを検証することができる。
また、キャンペーン内でメッセージ配信量のコントロールも可能だ。
分析と可視化
Amazon Pinpointにはダッシュボードが用意されており、キャンペーンに
対するメールのオープン率やアプリプッシュオープン率、最終的な収益が
いくらになったかを可視化することができる。
また、Amazon PinpointをKinesisと連携しストリーミングすることが可能だ。
これにより、S3やRedShiftにデータを出力させて、独自の分析を行うことも可能だ。
Pinpoint & Personalizeの可能性:
アプリプッシュやメールの結果をAmazon Personalizeに組み込むことができる。
Amazon Personalizeはクラウド環境で構築できるレコメンドエンジンで、
ユーザが商品に対するアクションを送付することで、ユーザが購入しやすい
商品を返してくれるサービスだ。
個人的には、これらのサービスの掛け合わせがOne To Oneマーケティングの
近道と考えている。ユーザが反応しやすい商品を機械学習に推論させ、
限られたユーザにプッシュ通知することが可能となる。
これにより、無駄なユーザへの配信を防ぎ、有望なユーザにのみ配信が可能だ。
個人的にはアップリフトモデルを搭載したSageMakerと連携して配信最適化が
進むのではないかと考えている。
最後に
マーケティングがITと連携し、高度にデジタル化していくことは避けられない。
また、AIと組み合わせたパーソナライズも今後は起こっていく流れであると
考えられる。
マーケターとエンジニアが、仲良く手を取り最適な顧客体験を作っていくことに
なるだろう。