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Arduino CloudでガーデニングIoT -土壌水分センサーの比較-

Last updated at Posted at 2024-05-06

目的

自動灌水には土壌の水分量をセンシングすることが必要で、土壌水分センサーにはTDRや静電容量式、抵抗式などがある。最適なセンサーの選択のために、ネットで簡単に手に入る4種類のセンサーを比較してみた。

土壌水分センサーの仕様

DiyStudio 土壌湿度計

Amazonで購入できて調べた中では最安。

  • ¥200/個
  • 静電容量式
  • 端子:PH型(2mmピッチ)×3(ケーブル付属)
  • DC 3.3-5.5 V(ArduinoでもESP-WROOM-02でも使える)
  • アナログ出力0-3.0 V(土壌水分量で電圧値が変化する)

実物で空気中に置いた状態(乾燥)と水に浸けた状態(湿潤)で電圧を測定した。仕様では出力電圧3Vのレンジがあるが、実際には0.9-2.1Vの範囲で1.2Vのレンジを使って土壌の水分を測ることになる。

出力電圧[V] 乾燥 湿潤
1 2.10 0.94
2 2.11 0.92
3 2.05 0.91
4 2.06 0.90
5 2.12 0.91
平均 2.086 0.916

SEN0193

DiyStudioとほぼ同じ仕様のセンサーだが、単価は高い。

  • ¥960/個
  • 静電容量式
  • 端子:PH型(2mmピッチ)×3(ケーブル付属)
  • DC 3.3-5.5 V
  • アナログ出力0-3.0 V(DFRduino UNOというこのセンサーのメーカーのボードに繋ぐと以下のディジタル出力を示す)

Dry: (520 430]
Wet: (430 350]
Water: (350 260]

https://akizukidenshi.com/catalog/g/g113550/
https://wiki.dfrobot.com/Capacitive_Soil_Moisture_Sensor_SKU_SEN0193

単価が高い分、DiyStudioよりも出力の個体差が小さそう。

出力電圧[V] 乾燥 湿潤
1 2.45 1.21
2 2.45 1.22
平均 2.45 1.215

SEN0114

抵抗式のシンプルな作りで、端子は金メッキで錆びづらく加工されている。

  • ¥500/個
  • 抵抗式
  • 端子:PH型(2mmピッチ)×3(ケーブル付属)
  • DC 3.3-5 V
  • アナログ出力0-4.2 V (VCC 5.0V)

乾燥/湿潤の出力の大小が静電容量式とは逆になっている。

出力電圧[V] 乾燥 湿潤
1 0 3.7
2 0 3.4
平均 0 3.55

Adafruit STEMMA Soil Sensor - I2C CapacitiveMoisture Sensor

今回の4種類では唯一のディジタル出力で、I2Cで繋がる。温度センサーも内蔵しているが、精度は±2℃と精度は高くない。

  • ¥1,150/個
  • 静電容量式
  • 端子:PH型(2mmピッチ)×4(ケーブル別売り)
  • DC 3-5 V
  • ディジタル出力:200 (乾燥) - 2000 (湿潤) (ATSAMD10に繋いだ場合)

水分値に関しては、およそ300のレンジがある。

出力ディジタル値 乾燥 湿潤 温度
1 315 607 26
2 318 621 23
平均 316.5 614 24.5

センサーの使い方

アナログ出力の前者3種類は同じような接続で使えるが、ディジタル出力のAdafruit STEMMA Soil Sensorでは使い方が異なる。

アナログ出力センサー

センサーが動作するための電源を繋ぐVCC、センサー値を電圧として出力する端子、グラウンドの3ピンをArduinoなどのマイコンに繋ぐ。出力はプログラムで指定したピンに繋げば良い。ただし、ESPr Developerのアナログ入力は0-1Vしか入れることができないので、上記のセンサーはそのまま使用することができない。対処法の一つとしては、抵抗分圧で0-1Vの範囲に収めることができる。例えば、22kΩと10kΩの抵抗を使って10/32に抵抗分圧。Arduino UNO R4 Wifiなどはレンジが広いのでそのまま繋いで使用することができる。

analog_soil_sensor_ブレッドボード.png

#include "thingProperties.h"

void setup() {
  Serial.begin(115200);
  delay(1500); 
  initProperties();
  ArduinoCloud.begin(ArduinoIoTPreferredConnection);
  setDebugMessageLevel(2);
  ArduinoCloud.printDebugInfo();
}

void loop() {
  ArduinoCloud.update();
  
  moisture = analogRead(TOUT);
}

ディジタル出力センサー (Adafruit STEMMA Soil Sensor)

VCC, GND, SCL, SDAの4ピンを繋ぐ。

adafruit_soil_sensor_ブレッドボード.png

加えて、以下のライブラリが必要。

  • Adafruit_seesaw.h
  • Adafruit_seesaw.cpp

#include "thingProperties.h"
#include "Adafruit_seesaw.h"

Adafruit_seesaw ss;

void setup() {
  Serial.begin(115200);
  delay(1500); 
  initProperties();
  ArduinoCloud.begin(ArduinoIoTPreferredConnection);
  setDebugMessageLevel(2);
  ArduinoCloud.printDebugInfo();
}

void loop() {
  ArduinoCloud.update();
  
  tempC = ss.getTemp();
  capread = ss.touchRead(0);
}

センサーの値の安定性

ノイズがなければセンサーは一定の値を出力する状態で丸一日間放置して、センサーごとの値の安定性を確認した。具体的には、アナログセンサーの3つについて、静電容量型は発泡スチロールの上のなるべく空気と接するように置き、抵抗型は水中に置いた。各種2つずつ検証し、同時にデータを得るためにArduino UNO R4 Wifiを用いた。

S__15458350.jpg

DHT22を用いて、気温と湿度へのセンサー値の依存性も検証したが、今回のような±1℃の条件下では依存性は見られなかった。

スクリーンショット 2024-05-06 10.51.50.png
スクリーンショット 2024-05-06 10.52.09.png
スクリーンショット 2024-05-06 10.52.00.png

Arduino Cloudからデータを吐き出して統計処理すると、ばらつきが見えてきた。抵抗型のSEN0114は±100も値が変化してしまっている。それに対し静電容量型は±40に収まっており、標準偏差も小さい。

DiyStudio_1 DiyStudio_2 SEN0114_1 SEN0114_2 SEN0194_1 sen0194_2
平均 503.91 509.86 653.25 659.17 578.95 578.09
最大値 26.09 41.14 109.75 90.83 21.05 20.91
最小値 -14.91 -31.86 -103.25 -88.17 -9.95 -10.09
標準偏差 7.00 19.06 63.52 54.59 3.98 3.58

まとめ

値の安定性の観点では静電容量型が良く、単価¥200のDiyStudioはコスパが良い。SEN0194は個体差も少なそうで、何十個と使うのでなければ選択肢としてはありだろう。

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