流行っているワードとしてグロースハックという言葉を聞いていましたが、実際にどういうものなのか全くわかっていませんでした。むしろちょっとアヤシイ系かなとも。
しかしこの本を読んでそれが色々勘違いだったのだなとわかりました。本書の中でも何度も言われていますが、グロースハックは銀の弾丸でもないし、魔法の粉でもないし、驚きのアイデアでPVが爆裂するものでもありません。どちらかと言うと地味な作業の積み重ねで、じっくりと成長させていく手法です。
自分としてのグロースハックは端的に言うと「マーケティングにアジャイルの手法を取り入れたもの」です。データ駆動で科学的に分析しながら一週間ごとに成果を確認して進んでいくところが新鮮でした。
マーケターが顧客志向で企画して、デザイナーが体験を作り出し、エンジニアが実際に作り、データアナリストが顧客と成果を特定して、グロースリードがみんなを鼓舞してまとめる。五人のヒーローがチームとして結集する感じも興味深かったですね。面白い本でした。
グロースハックとは
- データ駆動で作る
- 従来のマーケティングへのこだわりを取り除くもの
- ユニコーン企業でよく取り上げられる
- ただの画期的な思いつきではない
- 泥臭いデータ駆動によって可能になる成長戦略
- アジャイル、リーンスタートアップをマーケティングに適用したもの
グロースハックのチーム
- 組織横断チーム
- 定性定量調査としてユーザーと出会う
- 定性定量データ駆動で回す
グロースリードとは
- オーナーであり
- マネジャーでもある
- 脱線しないようにするファシリテーター的部分もある
- ユーザー行動を退出経路とする
- データ分析
- PM知識も必要
- 実験の設計運用
- その分野のビジネスモデル知識
- メンバーの鼓舞、安心感を与える
- セーフティネットを作る
チーム構成
- グロースリード
- PM
- エンジニア
- マーケター
- データアナリスト
- デザイナー
業務サイクル
- 観測
- アイデア
- 優先順位付け
- 実施
- 週次のミーティング
回し方
- エンジニアがプログラム
- デザイナーが見えづら
- アナリストが対象ユーザー選定
- マーケターがキャンペーン実験
- UXで定性確認
- アイデアをみんなで出しまくる
グロースチームの責任権限
- 組織体系のどこか
- 幹部の特命組織であるべき
- 部門間をまたぐから
最適な企業規模
- 固まったスタートアップ
- マストハブが確定している
- アーリーアダプターやファンがいる
- プロダクト主導型
どこを狙うか
- 獲得
- 活性化
- 維持
障害となるもの
それぞれの立場
- エンジニア
- 技術偏向、顧客志向を失う
- PM
- 開発ローンチが至上命題、変更を嫌う
- マーケター
- 新規顧客獲得数値を重視しすぎる
- UXデザイナー
- 体験阻害する実験を嫌う
内部の反対勢力
- 社内の「言い伝え」
- データ駆動で打ち破る
- まずはひとつ実績を作る
- 登録ページの改善
- 焦らないこと
グロースハックをする前に
マストハブ、なくてはならないものであること
- 愛されている
- ファンがいること
- エンタメの売り方が参考になる
- マイクロソフトのズーン
- ワオ・ファクターがなかった
グロースハックはバイラルなのか?
- バイラル必須ではない
- ファンができたあとにする
- Facebook ブランチアウトの失敗
- ネズミ講と呼ばれた
- 使い捨ての道具でなくてコミュニティになること
- 愛が成長を生み、その逆はあり得ない
何が必要か
- アハ・モーメント
- 使い方からわかる
どうやって知るのか
- マストハブサーベイ
- 「もし明日このプロダクトがなくなったら、どれくらいがっかりしますか?」
- すごく
- 少し
- しない
- 該当なし
- (ファンかどうか)
- 「このプロダクトが使えなくなったら、代わりに何をつかいますか?」
- 代わりに何か使うことはない
- 以下のものを使う
- (競合)
- 「このプロダクトから得ている最大の恩恵は何ですか?」
- (強み)
- 「このプロダクトを誰かにすすめたことがありますか?」
- ない
- ある、どういうプロダクトだと説明しましたか?
- (使い方、セールスメッセージ)
- 「このプロダクトから最も恩恵を得られのはどんな人だと思いますか?」
- (顧客)
- 「このプロダクトのどこが改善されればニーズを満たせますか?」
- 「ご回答について追加質問のメールを送らせていただいてよろしいですか?」
どれくらいの規模か
- 200〜300人
- あるいは聞き込み調査
- コアバリュー確定後はやらない
まずやること
- 追加機能は抑える
- まずはユーザー調査
- 成功を阻むものを理解する
- フィーチャークリープ
- 改善は足し算でなく引き算
- 推測でなく分析する
調査の手法
- ユーザー調査
- 面接
- 実地調査
- プロダクト変更や文言への実験
- ユーザーデータ分析
- オフィスを出る
- 実際使ってもらう
- 地域手芸コミュニティ
- オンラインフォーラムをつくる
- エッツィの事例
- 学生友愛会
- ティンダーの事例
- ツイッター
- 再度使ったユーザーへ
- 「最初に登録した理由は何か」
- 「何が気に入らなくて使わなくなったのか」
- 「もう一度使ってみようと思ったきっかけは何か」
- 「今回はなにがきにいっているか」
- 200ほどの回答で良い
テストのやり方
- 2種類のテスト
- 簡単なテスト
- A/Bテスト
- 多変量テスト
- 多腕バンディット
- 複雑なテスト
- データレイク、データウェアハウス
- 原子レベルで
- 自分が何を探しているのか
- 発見して初めてわかる
- 逆説的
- アハ体験は予期していないからアハになる
- インスタグラム
- 最初はバーブンという名前
- 写真機能以外使われていない
- ヒプスタマティックとの間を埋める体験
- ピンタレスト
- もとはトート
- ほしい物リストか予想以上に長く伸びた
- ユーチューブ
- デートサイト
- ハブスポット
- 有償トレーニングを必須に
- お金を払って喜ぶ顧客
- 定性定量データを分析
- フェイスブック
- 10日以内に7人以上とつながる
- NUX
- たくさんの友達とつながる体験
- 徹底的につながりやすく
狙いを決める
- グロースハックとは
- 「施策が効果をあげるまで実験を繰り返すプロセス」
- エバーピックスの失敗
- 有償版へのアップグレード率向上へ舵を向けなかった
- 活性化のタイミングではない
- 十分評価されながら沈没
- グロースハックのステージ
- アハ体験で引きつける
- 成長にはどのレバーをひくか
- 必要な成長の種類を理解する
- 徹底して科学的に
- 統制を取る
- 焦点を絞る
- 次の実験は強い根拠に
- 劇的なくらいがちょうどいい
指標
- コア指標を決める
- ウーバー
- ドライバー数と乗客数
- イェルプ
- ビジネス数とレビューの数
- フェイスブック
- 共有コンテンツ数とフィード閲覧時間
- PVではない
- 特有の具体的指標
- 極端まで単純化
- エアビー
- 日次アクティブは意味なし
- 毎日予約しない
- アナリティクスだけを頼らない
北極星の重要性
- ブレないための指標
- 北極星、退出経路、ひとつまとめる
- アハ体験が如実に現れる変数
- 北極星は代替わりする
- 「道に沿って歩け、荒地には入るな、満月に気をつけろ」
- 意思決定
- 自分が作っているものを感情を殺して見る
- エアビー
- NYの写真がひどい
- 写真が予約を伸ばす
- 出張カメラマンサービス開始
- 2010年に20人
- 2012年に2000人
- 分析まひ症候群
- 北極星が回避
- 計器の整備をしっかりする
- 目隠しで飛ぶことになる
- 北極星のため
- データの一元化
- 数字が全てではない
アジャイルとしてのグロースハック
- 高速化による学習量の増大
- アジャイル手法
- フィードバックで最適なものを作っていく
- 週に1、2の実験
- 分析、アイデア、優先順位付け、実験
- 週1ミーティング
実際の流れ
1. キックオフ
- 役割明確化
- 事前分析共有
- 成長レバー、北極星、目的を確認
- 実験量とペース目標設定
- 例外なく修正される
- アハ体験を見つける
- 2回目でアイデア出し取捨選択
2. 分析
- アナリスト:データ分析
- マーケター:アンケート
- 一週間前にレポートに
3. アイデア出し
- アイデアは燃料
- 絶え間なく注ぐ必要
- 自己検閲禁止
- バカげているアイデア奨励
- 専門知識に基づくアイデア
- アイデア提出管理アプリ
- 影響度、自信度、簡単度
- どんな変更をテストするか具体的に
- なぜ改善効果があるか
- どうやって測定するか
- 問題、原因、解決策、効果、実行案
- アイデアの名称
- 内容は5W1H
- 仮説に数字を入れる
- 測定指標
- 全社からアイデア募集、投資家、アドバイザー、グロースハッカー
4. 優先順位付け
- 自分で点数をつける
- ICEスコアシステム
- 影響度
- 少なくてもちょっと実験できる
- 自信度
- 憶測でない
- ダブルダウン、反復
- 簡単度
- 目線の低い実験を見分ける
- 完璧さや正確さを求めすぎない
- ただの役立つ指標
- いろんなスコアシステム
- 活動の優先順位
- 有望推薦いいね機能
- マストの星、週3回使用可能
5. 実験
- 画像やキャッチコピー
- アナリストが郡をわける
- ガイドライン
- 責任者はアナリスト
- 信頼水準99%に設定
- 迷った時は既存
6. 分析と学習
- 結果確認
- 実験名称と内容
- 種類
- 影響を受けた機能
- カギとなる指標
- 時期
- 仮説と結果
- 潜在的要因
- 結論
- 要約
- 共有、DB登録
- 成功、失敗、未確定
- ナレッジベース
- 定期成功例メーリングリスト
- 全社ダッシュボード
グロースミーティング
- 実験数目標比較
- 15分 指標アップデート
- 北極星、重点領域再確認、短期ゴール
- 実験データ収集
- 10分 前週の活動と成果を評価
- テンポ、実験先送り理由
- 15分 学びの共有
- 質疑応答、実験評価、今後の方針
- 15分 次の実験の選定
- 推薦理由、利点、オーナー任命
- 5分 アイデア増減チェック
- 前週の最多アイデア賞
- 議事録
- 1時間で終わらせる
具体的施策
- 新規獲得偏重傾向
- ファブドットコム
- 刺さるメッセージを作る
- セールスメッセージ
- 人間のアテンションスパンは金魚より短い
- 8秒
- 「これでどう人生が良くなるんだろう?」に答える
- iPod
- 『1000曲をポケットに』
- ナイキ
- 『ジャストドゥイット』
- A/Bテスト
事例
- アップワーシーのやり方
- 1本の記事ヘッドライン25以上
- キュレーターが2つ選ぶ
- フェイスブック居住地2都市選定
- 短縮urlでテスト
- 「これの価値を友達や同僚にどう説明するか」
- キャッチコピーとなる
- 電話、フォーラム、実地
- 小さく始める
- 「デート相手を見つけよう」
- 「あの人にデート相手を見つけよう」
- 簡単な変更で2900万人増加
- ファブリーズ
- 匂いを消す、ではなく
- 爽やかさに包まれる
チャネル
- チャネルはひとつに
- チャネルにこだわらない
- 口コミ
- オーガニック
- ペイド
- チャネルの把握
- コスト
- ターゲット
- コントロール
- インプット時間
- アウトプット時間
- スケール
- 高中低
- チャネルを変えていく
- 獲得から活性化
- 維持
- バイラルループを狙うだけというのは迷信
- バイラル性
- 見た目の良さ
- 中身の良さ
- バランス
- バイラルの2種類
- 口コミ
- インストバイラル
- 顧客志向は変わらず
- ファンになってもらうのが一番
- ダークパターンは反感を買う
使われ方を調査する
- Dropbox
- ファイル共有と無料ストレージ両方アピール
- コンバージョン減る
- Linkedinの招待4人
- 自由記述のアンケート
- 決済フォームが煩雑だと思ったら
- 実は送料がわかりにくかった
- 値引きコードを忘れる
- 今は買わない理由を教えていただけませんか?
- 引っかかった点をひとつ教えてください
正解はない
- どれが効果的かはわからない
- 機敏さとデータ重視
- アジャイル
- アハモーメント
- コンバージョン率
- 離脱行動の調査
新規顧客
- NUXを最適化する
- ひとつのプロダクトとみなす
- 関連性
- 商品価値
- 明快なCTA
- 色々な手法
- コミットしてもらう
- 先体験
- 簡単化
- ゲーミフィケーション
- 地位
- 機会
- 権力
- 品物
- トリガー
- 返報性
- コミットメントと一貫性
- 社会的証明
- 権威
- 好意
- 希少性
- 社会的報酬
- いいね
- 専用ラウンジ
- 優先搭乗
- イェルプ
- エリートスクワッド
- 便利
-面白い
-クール
- 便利
- エリートスクワッド
- エリートバッジ
- Wordのツールバーになってはいけない
- ごてごて
収益化
- カスターマージャーニー検討
- 顧客を知る
- 使い方を尋ねる
- 適正値段算出方法
- いくら以上なら買わない
- いくらなら高くても買う
- いくらならお買い得
- いくらなら安すぎる
- 返報性
- 試食
- 小さなコミットメント
- ほしい物リスト
- 社会的証明
- ファン60万人
- 権威
- セレブが使用
- 好意
- 招待に送り主の写真
- 希少性
- 何人見ている
最後に
- グロースハックとは戦略、継続的プロセス以上のもの
- グロースリードの役割
- 定量的にチームを計測
- プロジェクトマネジメント
- ユーザー獲得手法に精通
- メンバーを鼓舞
- 「成長はすべてを癒す」
- 社会運動はどうやって起こすか