はじめに
Biz(ビジネスサイド)とDev(開発サイド)の分断はプロダクトにおける難しい課題の一つであり、特にマネージャー職の方々は試行錯誤し、日々頭を悩ませていることと思います。
明確な解決方法を提案している記事が少ないこと、そして私が働くスタートアップでも、このような状況になった経験があることから、今回自身の振り返りと体験談として記事にすることにしました。
私自身、BizとDev両方の立場に立った経験があるので、どちらの気持ちも理解した上で、BizとDevの間に壁ができる理由とその解消法を考えてみます。
決してどちらか一方を批判する趣旨の記事ではありません。
※あくまでも15名程度の少人数のスタートアップでの経験談ですので、それを踏まえて参考程度にお読みいただければ幸いです。
BizとDevの役割を考える
BizとDevでは役割やミッション、作業プロセスや思考プロセスなどが大きく違ってきます。
まずは何がどう違うのか分かりやすく明確にしてみます。
Biz(ビジネスサイド)
役割とミッション:
ビジネスサイドの主な役割は、市場分析、新規顧客の獲得、売上の最大化、ブランド価値の向上などがあります。
ミッションとしては、サービスや製品の収益を上げて企業を成長させることです。
作業プロセス:
サービスや製品の戦略立案、マーケティング、販売戦略、顧客関係管理(CRM)など、非技術的なプロセスが中心となります。
思考プロセス:
ビジネスサイドは、ROI(投資収益率)、市場シェア、顧客満足度などの数値を用いた分析が中心です。
また、市場の動向や競合分析に基づく戦略的な考え方が求められます。
Dev(開発サイド)
役割とミッション:
開発サイドの主な役割は、ソフトウェアの設計、開発、テスト、保守などがあります。
ミッションとしては、ユーザーのニーズに合った製品やサービスを、高品質かつタイムリーに提供することにあります。
作業プロセス:
コーディング、テスト、デバッグ、ドキュメントの作成など、技術的なスキルと知識を要する作業が中心となります。
思考プロセス:
開発サイドはプログラミング言語や技術スタックに精通している必要があります。
とくに問題解決に向けた論理的かつ創造的な考え方が求められ、コードの品質や効率性、拡張性などに重点を置きます。
BizとDevの分断によって起こる不利益について
次に、両者の違いとそれにより生じる不利益について考えてみます。
先に挙げたように、そもそもBizとDevの間には、目標とする成果や業務の性質が全然違います。
このため思考のフレームワーク自体が異なり、それによってちょっとした誤解や期待の不一致を引き起こすなど、コミュニケーション面での障壁が生じやすいと言えます。
実際に、BizはDevに対して技術的な知識がないため無茶な要望をする、もしくは逆になにも言えない、DevはBizの無茶な要望に対して不満を募らせたり、なにも言われなければ自分達で好き勝手なものを実装するなど、負の連鎖に陥ります。
このような状態が常習化してしまうと、ユーザーに対して良いサービスや製品の価値提供を行うことは、極めて難しくなります。
この問題を解消するためにはどうすればいいのか?
これを解消するには、BizとDev間で定期的にミーティングを開催し、プロジェクトの進捗や課題、目標について情報共有を行うのが良いかと思います。
私が現在、プロダクトマネージャー(PdM)を務めている金属加工の商取引プラットフォームの「Mitsuri」チームでは、毎週BizとDev混合での定例ミーティングを開催しています。
主にカスタマーサポート、マーケティング、開発といった各チームの担当者が、今週行なったタスクの進捗を説明しています。
これにより、お互いの作業状況を理解し、期待のズレを防ぐことができます。
この状況を実現するためには、自分達のサービスや製品についてのコンセプトやチームの行動規範のような常に意識するべきことを、チーム全員が共通認識として腹落ちできるようにしておくことがとても重要です。(これがめちゃめちゃ難しい)
他にも知識共有セッションやワークショップなどを開催して、Bizが技術的な基礎知識を、Devがビジネス戦略や市場理解を、それぞれ深める機会を設けてみるのも効果的かと思います。
チームビルディングとしては、ヒエラルキー型の組織でこれを実現するならば、BizとDevどちらも経験したことがある人をリーダーに据えたり、そうでなければティール型組織のような自走できるチームの構築を目指すのが良いかもしれません。
ちなみに弊社の「Mitsuri」チームでは、後者を目指しています。
興味がある方はご応募お待ちしております。
まとめ
BizとDevの間に壁ができる理由とその解消法を個人的な見解で考えてみました。
やはりBizとDevのメンバーがお互いの領域に対して壁を作らない、すなわちクロスファンクショナルなチームを目指すということが大事だと思います。
適切なコミュニケーションと相互理解を深めれば、お互いを補完し合うことで強みに変えることが可能です。両サイドが協力して目標に向かうことで、企業全体の成長と成功を実現することができると思います。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。