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ラプラス変換の積分による証明覚え書き

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まえがき

 大学の課題でラプラス変換を積分で解けというものが出ました。が、積分のやり方がわからないことに気が付かないままラプラス変換についてばかり調べドツボにハマってしまったので、ラプラス変換のやりかたを積分に着目して説明した覚え書きを残そうと思います。

前提

・そもそも
 実用上でのラプラス変換は変換表やmatlab等の計算ツールを用いて行います。なので「とにかくラプラス変換ができればいい」という方はこの記事よりも他の記事を見ることをおすすめします。
 この記事は「課題でやれと言われた」や「どんな理屈でその計算結果になるのかを知りたい」そして「でも微分積分はあまりよくわからない」という場合を想定したものです。
 中学生で習う程度の内容まではわかっている前提で話を進めます。文字式や累乗についてわからない場合はそちらをまず調べてください。

・ラプラス変換の公式

\int_0^∞ f(t)e^{-st}dt

この公式のf(t)にラプラス変換したい式を代入して(置き換えて)解いていくことになります。

・微分

\displaylines{
微分とは、 x^{n} のnの数字を減らす操作です\\
(x^{n})'と書き、nx^{n-1}となります\\
例えば、x^{3}の場合は3x^{3-1}=3x^{2}となります\\
nがない場合はn=1として計算し、結果、1となります\\
}

・積分

\displaylines{
積分とは、 x^{n} のnの数字を増やす操作です\\
\int x^{n}dx と書き、\frac{1}{(n+1)}x^{n+1}となります\\
例えば、x^{3}の場合は\frac{1}{(3+1)}x^{3+1}=\frac{1}{4}x^{4}となります\\
nがない場合はn=1として計算し、0乗は1なので結果は1になります\\
\int_a^b x^n dxのように\int の横に数字が書いてある場合があります\\
その場合は先ほどと同じように積分した式を\\
[\frac{1}{n+1}x^{n+1}]_a^bと変換し、
横に書いてあった数字をそれぞれ代入して、\\
bを代入したとき-aを代入したとき\\
の結果が解になります
}

やってみる

te^-2t

1.式の代入

\displaylines{
公式の f(t) の部分を\\
te^{-2t} で置き換えます\\
置き換えると以下のようになります\\
①・・・\int_0^∞te^{-2t}e^{-st}dt}

2.式の重複をまとめる

\displaylines{
①の e^{-2t}e^{-st}\\
は以下のように変形することができます\\
e^{-(2+s)t} あるいは e^{-t(2+s)}\\
この2つはtの場所が違うだけで意味としては同じものです\\
ここから先で行う計算ではtが後ろにある方が\\
わかりやすいため後ろに配置しています
}
より細かい変形手順
\
\displaylines{
累乗同士の乗算は、底(a^{n}のaの部分)が同じ場合、\\
指数(a^{n}のnの部分)同士を足して\\
a^{n}*a^{m} を a^{n+m} と変形することができます。\\
この性質を利用し、e^{-2t}e^{-st}を\\
e^{(-2t)+(-st)}と変形します。\\
\\
最後に(-2t)+(-st) を -t でくくり -t(2+s)と変形すると、\\
e^{-t(2+s)}となります
}
\displaylines{
こうしてできた\\
②・・・\int_0^∞te^{-(2+s)t}dt\\
を積分していきます。
}

3.部分積分

\displaylines{
部分積分とは、\\
\int_0^∞f(x)h(x)dx\\
と取れる形の積分の、\\
f(x)かh(x)どちらか片方の関数だけを積分するものです\\
f(x)とh(x)のどちらかが微分することで\\
簡単な式になる場合に計算が少し楽になります。\\
\\
今回の式の場合、t と e^{-(2+s)t} がそれぞれf(x)とh(x)に相当します\\
そして、tが微分すると簡単になる式です\\
tを微分すると1になります\\
部分積分はまず、式を\\
\int_0^∞f(x)g'(x)\\
の形に変形します。(このg'(x)とh(x)は同じ式になります)\\
②のtをf(x)、e^{-(2+s)t}をh(x)とします。\\
e^{-(2+s)t}を積分すると、-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t}となります。\\

}
eの積分について ※これに関しては詳しい理屈も私はわかっていません。
のであくまでもここで説明する内容は「とりあえずこうすればいい」という(理解の助けとしては非常によろしくない)ものになります。

\displaylines{
今回の例を少しいじって説明します
\int e^{-(2+s)t}dt\\
の積分を考えます\\
eの指数の内、この式で積分の対象になっているtを除いた-(2+s)をeの前に持ってきて、\\
-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t}\\
とすると積分の計算は終わりです\\
\\
}
\displaylines{
ここまでで、f(x) = t、 g(x) = -\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t} \\
となることがわかりました。\\
次に、部分積分の公式\\
\int f(x)g'(x)dx = f(x)g(x) - \int f'(x)g(x)dx\\
に当てはめると以下のようになります。\\
\int_0^∞ t(-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t})'dt = [t(-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t})]_0^∞ - \int_0^∞ 1(-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t})dt
}
\displaylines{
まず、最初の項\\
[t(-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t})]_0^∞
について考えます\\
この式は、変数(今回の場合はt)に\\
[]の外に書いておいた数字(0と∞)をそれぞれ代入し、\\
上にある数字を代入したとき−下にある数字を代入したとき\\
をしてできたものが解になります\\
}
\displaylines{
\\
まずは∞を代入してみます\\
指数がマイナスの累乗は、変形すると指数で基数を割るという計算と言えます\\
つまり、\frac{e}{(2+s)t}です\\
この式のtに∞を代入すると、\frac{e}{∞}となり、結果は0になります\\
つまり、e^{-(2+s)t}は0です\\
そしてt*0は0なので∞を代入した場合の答えは0になります\\
}
\displaylines{
\\
反対に、t=0を代入したときには\\ 
0 * (-\frac{1}{2+s}e^{0})となり答えは0になるので\\
最終的な答えは\\
0 - 0 = 0\\
で0になります\\
よって、積分の前半部分は0\\
\\
}

4.もう一度積分

\displaylines{
次に残った積分\\
-\int_0^∞ -\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t}dt\\
の内、-\frac{1}{2+s}(指数のついていない数字)は\\
積分をしても結果が変わらないので外に出して、\\
\frac{1}{2+s} \int_0^∞ e^{-(2+s)t}dt\\
となり、もう一度積分をすると、\\
\begin{align}
\frac{1}{2+s}[-\frac{1}{2+s}e^{-(2+s)t}]_0^∞ &= \frac{1}{2+s}(0 + \frac{1}{2+s})\\
&=\frac{1}{(2+s)^2}\\
\end{align}\\
となります。
}

5.結果

\displaylines{
したがって、te^{-2st}のラプラス変換は\\
\boxed{\int_0^∞ te^{-2t}e^{-st}dt = \frac{1}{(2+s)^2}}\\
となります\\
}
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