ツール概要と提供会社
XTEP(エックステップ は、X(旧Twitter)上でのマーケティングやSNS運用を効率化するために開発された自動化ツールです。
提供元は2024年創業のグリン株式会社(代表取締役:稲葉 信)で、同社はInstagramチャットボット「iステップ」の提供企業ネルプから派生したスタートアップです。
XTEPはX社の有償公式APIを活用した正式な拡張サービスであり、非公式ツールと比べて安全性・継続性に優れています。公式API経由のためアカウントBAN(凍結)のリスクは極めて低く、X上で安心して利用できる点が最大の強みです。
2024年8月のサービス開始以来注目を集め、開始3ヶ月で1,400以上のアカウントが導入するなど急速に普及しています。
料金プランと無料トライアル
XTEPの料金体系は以下の通りです:
- 月額料金: 22,000円(税込)
- 初期導入費: 無料
- 最低利用期間: 2ヶ月間
- 無料トライアル: 7日間
現在、7日間の無料トライアルを提供しており、初回登録時にクレジットカード情報を登録すれば、7日間はシステム利用料が発生せず全機能を試用できます。無料期間内に解約すれば課金されず、継続利用する場合は自動的に有料プランへ移行します。
他社ツールとの比較
項目 | XTEP | 他社ツールA | 他社ツールB | 他社ツールC |
---|---|---|---|---|
無料トライアル | ○(7日間) | × | × | × |
初期費用 | 無料 | 約70万円 | 約10万円 | 約10万円 |
月額費用 | 2万円 | なし(都度課金) | 約15万円 | 約60万円 |
最低契約期間 | 2ヶ月 | なし | 12ヶ月 | なし |
利用者層 | 個人・法人 | 法人のみ | 法人のみ | 法人のみ |
キャンペーン利用回数 | 無制限 | 1施策のみ | 1施策のみ | 1施策のみ |
分析・予約投稿機能 | ○ | × | × | × |
※他社ツールは一般的な競合例です。XTEPは競合平均の約1/10の低価格で利用でき、従来数十万円規模が必要だった高度なキャンペーンを手軽に実施できるコストパフォーマンスが魅力です。
なお、オプションとしてX運用代行・Xコンサル・クリエイティブ制作等のサービスも提供されています。
主な機能
XTEPはマーケティング施策に役立つ様々な機能を搭載しています。特に自動返信機能と抽選キャンペーン機能を中心に、以下のような特徴があります。
オートDM(自動DM)
ユーザーの特定アクションをトリガーに、指定メッセージを自動的にダイレクトメッセージで送信できます。
活用例:
- 新しくフォローされた際に歓迎メッセージや限定情報を即座に送付
- キャンペーン応募者全員に受付完了DMを送る
設定可能なトリガー:
- フォロー
- いいね
- リポスト(リツイート)
- リプライ
- DM受信
24時間365日ユーザー対応を自動化できます。
オートリプライ(自動返信)
自分の投稿に対してユーザーからリアクション(リプライやいいね)があった際に、自動でリプライ(返信ツイート)を返す機能です。
事前に設定した返信文を即座に返すことで、ユーザーとの双方向コミュニケーションを活性化できます。例えば「投稿にコメントしてくれた人一人ひとりに感謝メッセージや案内を返信する」ことが自動で行えます。
オートリプライは特定の投稿ごとに設定でき、キャンペーン告知投稿などに紐づけて活用します。
シークレットリプライ(秘匿返信)
XTEP独自の返信方式で、他のユーザーから見えない形でのリプライ送信を実現します。
特徴:
- 通常のリプライが公開され誰でも閲覧できるのに対し、シークレットリプライは送信者(自社アカウント)と受信者だけに見える
- 技術的には新規ポスト(通常ツイート)として@ユーザー名を冒頭につけて投稿
- スレッド上には表示されず受信者の通知欄にのみ届く
- タイムライン上に公開されないため他のユーザーの目に触れず
- 送信者のプロフィール上の投稿一覧や返信一覧にも表示されない
活用例:
- いいねしてくれたユーザーだけにクーポンURLを個別通知
- 第三者に見られたくない案内を送る
抽選キャンペーン機能
フォロー、リポスト、いいね、特定キーワードを含むリプライなど複数の条件を組み合わせて参加トリガーを設定し、自動で抽選を行う機能です。
抽選方式:
-
即時抽選: ユーザーが条件を満たした直後に当落結果を知らせ
- Web遷移型: 応募後に案内されるWebページ上ですぐ結果確認
- オートリプライ型: 応募直後にシークレットリプライ等で結果を通知
- 後日抽選: あらかじめ設定した日時にまとめて抽選を実施
当選者へのDM自動送信も可能で、キャンペーン運営の工数を大幅に削減できます。従来、抽選キャンペーンは専用ツール利用で1回数十万円のコストがかかることが一般的でしたが、XTEPなら月額料金内で無制限に抽選企画を実施できるため低コストで高度なキャンペーン運用が可能です。
予約投稿・同時投稿
あらかじめ指定した日時にツイートを自動投稿する予約投稿機能を備えています。キャンペーン開始時刻に合わせて告知ツイートを自動投稿し、その投稿への自動返信を即座に開始するといった連携運用も可能です。
また、Meta社の新SNS「Threads」への同時投稿機能も搭載されており、Xへの投稿内容をそのままThreadsにも発信できます。これによりXとThreadsを並行活用したマーケティング施策も一元管理できます。
分析ダッシュボード
現在提供中の分析機能は限定的ですが、ダッシュボード上で主要な数値(DM送信数や反応数など)の可視化が行えます。
将来的には以下の詳細なデータ分析が可能になる予定です:
- 自動返信ごとの送信回数
- リンクのクリック率
- 各キャンペーンのエンゲージメント状況
現時点でもダッシュボードでユーザー反応を確認し、設定の改善に役立てることができます。
X社API連携と公式認可状況
前述の通り、XTEPはX社公式の有償APIを利用しています。そのため、Twitterの利用規約に則った形で動作し、非公式ツールに比べアカウント凍結などのリスクを大幅に低減しています。
公式API利用の利点
- X社公認とも報じられており、X側からアクセス制限を受けにくい設計
- 2024年10月時点でXTEPの利用が原因でアカウント停止になった事例は確認されていない
- API経由の投稿はXのアルゴリズム上でスパム判定されにくい
- ユーザー自身でTwitter開発者申請などを行う必要はない
- XTEP側の管理画面からXアカウントのID/PWを入力して連携するだけで利用開始可能
公式API利用に伴い投稿数やDM送信数の上限が定められていますが、これについては後述の「運用上の制限事項」で詳述します。
総じて、XTEPはX社の認可したルートで動作する正規のSaaSサービスであり、安全かつ安定してXの自動化を実現できるよう設計されています。
空リプライ(通常ツイートでの@メンション)への対応
ユーザーからのアクションに対して返信ではなく通常ツイートでメンション付き投稿(空リプライ)を行うことが可能か、という点については、XTEPのシークレットリプライ機能が該当します。
シークレットリプライは前述の通り「リプライとしてではなく新規ポストとして@ユーザー宛てに送信されるメッセージ」であり、これはまさに**空リプライ(エアリプ)**に相当します。
空リプライの特徴
従来、特定ユーザーに対して公開ツイートでメンションを飛ばす(しかし会話の返信ではない)行為を「空リプ」と呼びますが、XTEPではこれを自動で実施できます。
活用例:
- DMを許可していないユーザーにも@付き通常投稿で通知を送りたい場合
- シークレットリプライを選択すれば自動的に新規ツイートが作成され相手に通知される
送信された投稿は他のユーザーから見えず受信者の通知でのみ確認できるため、空リプによる個別連絡を大量に行ってもタイムラインを汚す心配がありません。
このように、XTEPは通常のリプライと**空リプライ(シークレットリプ)**の両方に対応しており、用途に応じて使い分けが可能です。
利用者層と導入事例
利用者層は個人インフルエンサーから企業アカウントまで幅広く、誰でも導入可能です。
導入実績
- サービス開始からわずか3ヶ月で1,400以上のアカウントが利用を開始
- 現在の導入アカウント数は既に2,700以上に達している
具体的な導入事例
格闘技イベント「BreakingDown」
- フォローしたユーザーに対して大会PPVチケットの案内DMを自動送信
- 興味喚起に成功
著名なマーケターの事例
- フォロワーとの親密なコミュニケーションが可能になりファン化を促進
- X経由で自社LINEへの登録数が1.5~2倍に増加
YouTuber兼経営者のやまもと氏
XTEPを使わずにX運用するのは時代遅れ。フォロワー50人程度でも半自動で効率的に伸ばせる
クラウドワークス社
- 自社のスキルECサービスとXTEPを組み合わせてクリエイターの販促支援
- グリン社との業務提携を発表
このように幅広い業種・目的で導入が進んでおり、企業のキャンペーン運用はもちろん、オンラインサロンやコンテンツ販売を行う個人クリエイターにも活用されています。
管理画面と設定方法
XTEPの管理画面はシンプルで使いやすいUIとなっており、専門知識がなくても直感的に操作できます。初期導入は「最短5分」で完了し、以下のような手順で行います。
導入手順
1. アカウント開設
XTEPサイト上で利用者アカウントを作成します。
- メールアドレス(IDとして使用)
- 氏名
- 会社名(任意)
- 電話番号等を登録
2. 支払い情報登録
続いて管理画面でクレジットカード情報を登録します。ここで7日間の無料トライアルがスタートし、この期間中は課金されません(カード登録日から起算して24時間×7日間)。
3. Xアカウント連携
管理画面から自身のXアカウントを連携します。XのログインIDとパスワードを入力し承認するだけの簡単な連携作業です。
注意: 1つのXTEPアカウントにつき連携できるXアカウントは1つのみで、複数のXアカウントを同時に操作することは現状できません。
4. 初期設定
管理画面の「自動返信管理」メニューから、どの投稿にどんな自動返信(DM/リプライ/シークレットリプライ)を行うか設定します。
設定例:
- 特定の投稿Aに対し、返信が来たらテンプレートXでリプライ
- フォローされたらテンプレートYでDM
キーワード一致条件(部分一致/完全一致)によるフィルタリングもでき、特定ワードを含むリプライにだけ反応させることもできます。
5. 運用開始
設定が完了すると、自動で監視が始まり条件に合致したユーザーアクションに対して即座にメッセージが送信されます。設定内容はダッシュボードで一覧管理でき、送信履歴やエラーも確認可能です。必要に応じて一時停止や手動送信も行えます。
管理画面の構成
管理画面の左側にはメニューとして以下が並びます:
- ダッシュボード: 送信数などの統計表示
- 自動返信: トリガー設定管理
- 予約投稿: スケジュール投稿設定
- 抽選: キャンペーン設定管理
- 設定: 各種オプション設定
機能詳細
ダッシュボード
- 日毎のDM送信通数や返信数などがグラフ表示
- 効果測定に役立つ
自動返信設定画面
- 新規返信の追加、編集
- 過去返信のアーカイブ管理(不要になった返信設定の一括非表示)等が直観的に操作可能
モバイル対応
- スマートフォンからの操作にも対応
- モバイル環境でも快適に管理可能
運用上の注意点
返信専用の別アカウントを使う運用は不可である点に注意が必要です。運用中の同一アカウントに紐づく形で全ての自動返信が行われるため、「メインのXアカウントへの反応に対してサブアカウントから返信する」といったことはできません。同一アカウント内で完結する運用フローを組む必要があります。
短縮URLが使えない場合の長いURLの扱い
XTEPでは短縮URL(URL短縮サービスで生成されたリンク)をメッセージ内に使用できない仕様となっています。
短縮URL制限の理由
短縮URLとは長いURL文字列を短く圧縮したリンクのことで、例えば日本語を含む長大なURLを短い英数字列に置き換えるようなものです。
XTEP上で短縮URLが利用不可となっている明示的な理由は公表されていませんが、推測ではスパム対策の一環と考えられています。短縮リンクだとリンク先の安全性が一目で判断しづらく、悪質なサイトへの誘導に使われるケースも多いため、XTEP側であえて短縮URL入力を受け付けないよう制限している可能性があります。
長いURLの取り扱い
では短縮URLが使えない場合、長いURLをそのままメッセージに含めても問題ないかという点ですが、基本的には問題なく送信可能です。
X(Twitter)の仕様について:
- 投稿内のURLは自動的に
t.co
ドメインの短縮リンクに置き換えられて配信される - たとえ長いURLを貼っても表示上は短縮される
- リンク切れが発生したり文字数超過になる心配はない
- 日本語パスを含む長いURLでも、適切に「http://」から始まる形式で記述すれば、自動的に有効なリンクとして処理される
通知について
通知の遮断に関しても、正規のURLであればユーザーの通知タブに届かないということは通常ありません。受信側が通知設定で「フォローしていないユーザーからの通知を制限」している場合を除き、@メンション付きポストであれば相手に通知されます。
注意すべき点
ただし注意すべき点として、Xのガイドライン上リンクを含む投稿を乱用すると表示制限(シャドウバン)のリスクがあります。
リスク要因:
- 不審な外部サイトへの誘導リンクや過度な短縮URLの乱用
- 検索結果やタイムライン上で投稿が表示されにくくなる可能性
- 同一のURLを大量のユーザーに送りつけるとスパム判定される懸念
推奨される運用方法
そのためXTEPで長いURLを使用する場合も、信頼できるドメインのURLを必要な範囲で使用することが望ましいです。また、同一のURLを大量のユーザーに送りつけるとスパム判定される懸念もゼロではないため、一度に送信する件数や頻度には留意しましょう。
XTEP自体はAPI経由で上限管理されているため、それだけで即スパム扱いになる可能性は低いとされていますが、送る内容がXのポリシーに抵触しないよう配慮することが大切です。
まとめ
以上より、短縮URLが使えない場面では元の長いURLをそのまま貼り付ければOKです。ただしリンク先の安全性や投稿頻度に注意しつつ運用すれば、リンク切れや通知不達、投稿ブロック等の問題は基本的に発生しません。むしろ短縮URLを避けることでX側の信頼性評価も高まり、結果的に投稿が露出しやすくなるメリットも期待できます。
運用上の制限事項(API制限・フィルタ・文字数など)
XTEP利用にあたって知っておくべき運用上の制限は以下の通りです。
1日の送信上限
XのAPI仕様により、以下の送信制限があります:
- DM: 1日100通まで
- リプライ(ツイート): 1日2,400通まで
これはアカウントごとの上限で、例えばキャンペーンで一度に数千人に返信した場合、2,400を超えた分は24時間後以降に順次繰り越し送信される仕組みです。DMも101通目以降は翌日に繰り越されます。
大規模キャンペーン時はこの上限を考慮し、送信が遅延しても支障ないスケジュール設計が必要です。
注意: X社に月9,000ドル(約130万円)以上の広告出稿を行っている場合は上限緩和も可能とされていますが、一般ユーザーには非現実的なため基本は通常上限内で運用します。
文字数制限
自動送信するメッセージの文字数上限はアカウントの種別によって異なります。
アカウント種別 | 通常メッセージ | シークレットリプライ |
---|---|---|
通常の非認証アカウント | 140文字まで | 120文字まで |
Xプレミアム(認証済み)アカウント | 最大12,500文字まで | 12,480文字まで |
シークレットリプライの場合、内部仕様により若干の文字数制限があります。これはX側の制限というよりXTEPの送信形式の違いによるものです。
基本的に140文字を超えるメッセージを送りたい場合はX認証アカウントで利用することが推奨されます。XTEP管理画面の設定にて「Xプレミアム利用」をONにすると自動返信の長文対応が有効になります(認証アカウントの場合)。
画像・動画添付
自動返信のDMやリプライに画像や動画を添付することも可能です。
対応ファイル形式:
- 一般的なJPEG/PNG/GIF
- MP4動画
対応ファイル形式やサイズについてはXのAPI仕様に準じます。ただし画像・動画を含むメッセージはテキストのみの場合より送信処理が重くなるため、発動条件直後に動作しない場合は一度メディアを外して再テストするなど検証が推奨されています。
非公開アカウントへの送信
XTEPでは鍵付き(非公開)アカウントのユーザーには自動返信を送れません。これは相手側の設定上、フォロー外からのDM受信やメンション受信が制限されているためです。
対象ユーザーが投稿したリプライ自体は取得できますが、返信を送ろうとするとエラーとなります。その場合は「送信できなかったユーザーがいる」旨が履歴に表示されます。
非公開アカウントへの対応策は基本的になく、必要であれば投稿本文中で「当選者にはフォローいただいた上でDMをお送りしています」等アナウンスしておくとよいでしょう。
リプライの表示形式
XTEPから自動送信された通常リプライは送信元アカウントのタイムライン上に表示されません。またプロフィールの「返信」タブにも現れないため、第三者から見るとそのアカウントが誰に返信したかは一覧できない状態になります。
これはツール側で投稿の可視範囲を制御しているためで、ユーザーとの1対1コミュニケーションに専念するための仕様です。
一方で、送信されたリプライ自体はリンク(ポストURL)を知っていれば誰でも閲覧可能であり、受信者側はそれをリポスト(リツイート)することもできます。リポストされた自動返信は通常の投稿として全ユーザーに見える点も覚えておきましょう。
以上の制限事項を踏まえて運用すれば、XTEPは 「人力では不可能な大量の即時返信」を実現しつつ、X公式ルールの範囲内で安全にマーケティング効果を最大化 できるツールです。実運用においてはXのポリシーを順守し、ユーザーに過度な負担をかけないコミュニケーションを心がけることで、アカウント評価を維持しながら効果的な活用が可能となるでしょう。