プロジェクトマネジメントの資格取得を目指している方の中には、PMP(Project Management Professional)とPMI-ACP(PMI Agile Certified Practitioner)のどちらに挑戦すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、筆者が実際に両資格を取得し、それぞれの試験勉強や試験内容、さらに実務でどのように役立ったかを詳しくお伝えします。迷っている方の判断材料になれば幸いです!
筆者のプロフィール
筆者はIT業界歴20年以上。ウォーターフォール型プロジェクトのプロジェクトマネージャーとして13年間の経験を積んできました。主に大規模金融系プロジェクトに携わり、スケジュール管理やリスク管理のスペシャリストとして活躍しました。
近年ではアジャイル開発に興味を持ち、スクラムマスターとして2年間、スタートアップ企業向けの新規プロダクト開発をリードしています。
PMPとPMI-ACPの両資格を取得した経験を基に、実務での活用方法や試験勉強のポイントを紹介します。
1. PMPとPMI-ACPの概要
PMPとは?
PMPは、プロジェクトマネジメントの国際標準として広く認知されている資格です。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)に基づき、計画、実行、監視、コントロール、終結といったプロジェクトのライフサイクル全体を網羅します。
試験内容:
- 問題数: 180問(選択式)
- 試験時間: 230分
- 受験対象: 一昔前はウォーターフォール型プロジェクトを中心に管理する方でしたが、現在はウォーターフォール型とアジャイル型のどちらにも対応できる方を対象にしているようです。
PMI-ACPとは?
PMI-ACPは、アジャイルプロジェクト管理に特化した資格です。
スクラム、カンバン、リーンなどのアジャイル手法を幅広くカバーしており、アジャイルの価値観や原則を実務に応用するスキルを評価します。
試験内容:
- 問題数: 120問(選択式)
- 試験時間: 180分
- 受験対象: アジャイル手法を活用するプロジェクトに関わる方
2. PMPとPMI-ACPの受験体験談
PMP試験を受験して
私は大規模金融系プロジェクトの経験を活かし、PMBOK第5版を基にPMP試験に挑みました。試験勉強では以下の点が難しいと感じました。
- 問題文の長さ: 問題文が長く、読解力と集中力が求められます。特に日本語版は独特の表現があり、正確な理解が必要でした。
- 時間配分の難しさ: 230分という試験時間は一見長く感じますが、180問を解き終えると見直しの時間はほとんど残りませんでした。
PMI-ACP試験を受験して
アジャイル開発の実務経験があったため、PMI-ACP試験はPMPと比べて取り組みやすいと感じました。ただし以下の点で注意が必要です。
- 幅広いアジャイル知識: スクラムだけでなく、リーンやカンバンなど他のアジャイル手法についても問われます。
- どちらとも取れる選択肢: 問題文が短い一方で、曖昧な選択肢が多く、深い理解が求められました。
3. 使用した教材と勉強方法
PMPの教材と勉強方法
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参考書:
- PMPパーフェクトマスター: 分厚いPMBOKをコンパクトなハンドブック版にしたような参考書。こちらに気になるところ書き込みして鞄に入れてスキマ時間に勉強してました。
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問題集:
- PMP試験合格虎の巻: 試験範囲を凝縮した問題集。実際の試験は2段階くらい難易度が高いですが、試験感覚を掴むにはちょうど良いかもです。
私は平日に通勤のスキマ時間、土日に2〜3時間、試験直前には5時間ほど勉強時間を確保し、模擬試験を繰り返しました。計画的な学習が合格のカギです。
PMI-ACPの教材と勉強方法
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参考書:
- PMI-ACP試験パーフェクトマスター: アジャイル知識を網羅的に学べる参考書。ただし知識ベースが多いので、考え方を学ぶにはほかの「アジャイルサムライ」などの技術書を読むと良い気がします。
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問題集:
- PMI-ACP Exam Questions 2025: 出題形式がPMPっぽく長文が多いので実際のPMI-ACPとは異なる。ただし、解説が非常に詳細な問題集なので、正答だけでなく誤答まで理解すると合格ラインに近づけると思います。
- PMI-ACP Practice Exams: 試験直前の仕上げに利用した問題集。やや問題文がわかりにくい。解説も簡素だった。
私は2か月間、土日に勉強時間を確保し、特にアジャイルプラクティスや事例問題に重点を置きました。
4. 実務での活用法
PMPが役立った場面
PMP資格は、大規模ウオーターフォール開発(200人月)プロジェクトでのプロジェクトマネージャー業務において非常に役立ちました。
PMBOKで学んだ知識が、以下のような場面で活用できたと思います。
- 堅牢なプロセス管理: リスク管理や品質管理の重要性を実感し、計画段階でのミスを最小限に抑えることができました。
- 共通言語の提供: PMOや顧客とPMBOKをベースにした共通言語でスムーズに意思疎通が図れました。
PMI-ACPが役立った場面
PMI-ACP資格は、アジャイル開発チームのスクラムマスターとしての実務で役立ちました。
- 柔軟なチーム運営: スクラムイベントを活用してチームの自己組織化を促進し、短いスプリントで成果物を提供しました。
- 顧客価値の最大化: プロダクトバックログを適切に管理し、顧客の優先度に応じて柔軟に対応しました。
5. まとめ
PMPとPMI-ACPは、それぞれ異なるプロジェクト管理手法に特化した資格です。
ウォーターフォール型かアジャイル型か、あなたのキャリア目標に応じて選択してください。両方を取得すれば、プロジェクトマネジメントの幅が大きく広がります!