0.前書き
令和元年秋季の応用情報技術者に合格しました。
学習方法やアドバイス、所感を載せます。
※想定している読者は以下の方々です。
・ある程度情報技術者試験について勉強、知識がある(試験構成や合格基準、「ドットコム」「キタミ式」などの意味がわかる、Iパスはすぐにでも合格できる)人
・ 不合格経験してリベンジしたい人や絶対的な得意分野を複数持っていなくて自信が無い人(私も不合格経験者です)
・ それなりに勉強時間が確保できる人
・ 合格後に高度試験受験予定の人、応用がゴールではない人
などを想定している読者としています。
勉強や暗記に自信があって短期間でサクッと受かりたい人にはあまり参考にならないと思います。
(理由は後で説明します)
1.筆者のスペック(記事投稿時)
SE歴3年半以上
所持資格 基本情報技術者 SQLBronze
プログラミングはJavaScriptの基本知識は抑えてる程度,JavaとPHPはソース読んで簡単な改修するくらいなら
情報セキュリティ→2の(2)のC以外正解
ネットワーク→2のC以外不正解
情報システム開発→全問正解
サービスマネジメント→1の(2)、2の(2)のb以外正解
システム監査→4不正解、6は大原速報と同じ回答 他は正解
2.合格に役に立ったサイト
・ドットコム
https://www.ap-siken.com/
いわずもがな足を向けて寝られない神サイト
・応用情報技術者試験に合格する勉強法【午後のコツ】
https://kotori-blog.com/qualification/ap-shiken/
挫折経験→高得点での合格経験を基に論理だてて詳しく説明しているので、非常に信憑性が高く参考になります。
3.午前対策
応用情報対策の教科書は1冊で十分です。
本屋で立ち読みして相性いいと思った本で勉強して理解しましょう。4,5年くらい前の教科書でも可。
※キタミ式は基本と応用の教科書内容が半分以上被っていたので、基本のキタミ式を持っていたら別の教科書買いましょう。キタミ式は良書ですが、あくまでビギナーのとっかかりとしての役割が強いです。
その後ドットコムの過去問回して知識を補強するだけでOKです。
※丸暗記ではなく体系的に理解できるに越した事はありませんが
IPAのサイトに載っているシラバスを見ればわかる通り、すべての細目を完璧に覚えるのは無理なので、
苦手な分野や受験後に使わなそうな知識の分野は割り切って過去問丸暗記で妥協していいです。(自分は、JIPDECとか覚えてもあまり役立たない上に頭に入らないワードは過去問の答えの箇所丸暗記しました。また基礎理論で、論理回路だけ苦手だったので捨てました。)
6割さえ取れれば通過なので。
4.午後対策
過去問演習を十分にやる
高得点を狙える4問を選択をする
この2つが二大奥義です。当たり前だろと思われるかもしれませんが、お恥ずかしい話、
私は基本情報での午後の成績の良さに過信して午後の過去問勉強をほぼやらずに落ちました。
また、SEとして普段の勉強や復習が足りてませんでした(テクノロジ系の知識や技術がひどかった)。
話を戻して、午後の4問をどうやって選択するかの戦略を1つずつ説明します。
1.データベースを選ぶか否かを事前に決め打ちする。
午後問題は「ガチャ」とよく表現されています。それは、試験毎に通例より遥かに簡単だったり、難しかったり、知識が不十分でも解ける内容だったり、今までにないテーマが出たり、難易度に大きなブレが生じるからです。
しかしこのDBの大問だけは例外で、ラッキーやアンラッキーが存在せず、SQLの技術(とER図の知識)があるか否かでほぼ確実に明暗が分かれます。またDBという分野自体も学習者の声を聞く分に理解度や呑み込みの早さは本人の資質に大きく影響されると思っています。
つまり、受けるか受けないかを予め100%決めることが出来る唯一の大問だということです。
どんなに遅くとも試験1か月前までに、安定して過去問で高得点(答え自体を覚えてたらもちろんダメ)を出せないようならただちに候補から外す事をお勧めします。1か月あれば他の大問2つをボーダーまでもっていける可能性があります。
(私は1か月前まである程度勉強した末にビビって外しました)
※プロのエンジニアを目指す方でしたら当日選ぶか選ばないかはともかく、合格後でもいいので勉強しておくことをすすめます。(応用の問題解けるくらいの技術が無いと実務で厳しいので)
2.システム監査を必ず勉強する。当日の選択候補に必ず入れる。
理由は、
・答えは文章中にあるので、過去問演習をこなすほど記述の回答精度が上がる。
・問われている事に沿った回答なら、公式回答通りでなくとも点数がもらえる
・知識が浅くても解けるので知識取得のリソースを他の大問に回せる
・記述回答はほぼ一般常識の範囲内
だからです。
監査は「国語の問題なので余裕」「国語の問題と言われているけどそう簡単じゃない」
という意見の両方が大多数を占めていますが、これは両方正しいと思います。
監査の過去問演習には時間と精神力、体力を使いますが慣れれば頼もしい得点源になりますし、タカを括って演習を怠れば失点する可能性があります。
(個人的には難易度が低い回の監査で答えを見つける作業は、サイ〇リヤの間違い探し10個全部見つけるより簡単でした)
たまにデータベース絡みの一筋縄ではいかない問題が出題される事もありますが、そのリスクを踏まえた上でも勉強して選択候補に入れる価値はあります。
(まあ相性もあるので勉強した上でどうしても苦手なら勉強は適当なところで打ち切ってもいいですが。。。)
※あくまで選択"候補"というだけで、当日他の大問4つの方が簡単だと思った場合は、必ずしも選ばなくても良いです。
余裕があれば経済産業省の監査基準くらいは目を通しておいてください。
3.1と2を踏まえた上で勉強する分野を8個くらい(セキュリティと監査は確定なので残り6個くらい)選ぶ。
先ほども言った通り、難易度は毎年波があるので5個だけに絞らずバッファを2,3個用意しましょう。
以下に、過去問を学習した個別の所感を載せます。
・セキュリティ
ネットワークより問われる知識は狭く、文章読解力は必要だが監査より文章は短く、システムアーキテクトや経営戦略よりパターンが少ない。
必須問題かつ午後問題の中でも確実に易しめで勉強しやすい部類なので、過去問演習で最低でも6割を取れないようでは安定して合格するには実力不足と言わざるを得ない。
午前勉強した知識で過去問回すだけで十分です。更に万全にしたいならIPAのサイトでセキュリティニュース見とくといいらしいです。
・経営戦略
簿記や経済学の知識(商学部大学1,2年生程度)が問われる回もあれば、30年秋の様に基本情報よりやや難しい程度の回もある。
まあ、基本的は生易しくないし簿記の学習には時間がかかるので、
簿記がわかる人→狙い目。当然勉強して候補に入れる。
簿記がわからなくて国語問題に自信がある人→当日に貸借対照表や財務諸表が出てこない事を祈ってそれ以外の知識を勉強。
その他の人→避けてもいいです。
・プログラミング
難易度は基本情報のアルゴリズム以下です。
基本情報取った人なら必ず選択候補に入れて過去問回しましょう。
if文for文、変数の代入が正しく素早くできればいいので、paizaのプログラミング演習でもトレーニングできます。
30年秋が初見で楽に解けるなら頼もしいです。
・システムアーキテクチャ
過去問勉強したが苦手分野につきこれといった勉強法や対策思い浮かばず。
29年秋がたまたまwebapiの実務と丸被りだったのでなんとか解けたくらい。
開発全般に明るい人なら、稼働率と計算問題を対策するだけで良いらしいとのことですが。。。
・データベース
実際にSQLを書いて覚えろ、とは言われるものの自分はなかなか覚えられず勉強を切りました。
実務で使ってない人が本腰入れて学習するとしたら、RPGでもゲームでも何でもいいから自分で作りたいものを先に決めて、そのデータを管理するmysqlを作って動かすとか、ですかね。
※本職のSE、プログラマならSQLくらいはちゃんと抑えといて本番の候補に入れるべきでしたね。SQLの基礎本一冊はしっかりやりましょう。
勉強してなかった自戒として追記
・ネットワーク
会社のネットワークエンジニアになってネットワークを構築したりトラブルを解決するというケースと
それ以外のケースで出題傾向が別れる。
深い知識は問われませんが広く勉強してないと当日の運頼みになります。
セキュリティを勉強すればネットワークの割引券が付いてくるという声もありますが、自分はそんなに割り引かれなかった。。。
令和秋の様にhttp/2がわかってなければ歯が立たない回(私は選んでスリーハンドウェイシェイクの1問以外全部不正解でした。。。)もあれば
29年秋の様に、「これただのパズルじゃね?」と気づけばSDNの知識がなくても満点を狙えるよくわからん回もある。
3分間ネットワーキングというサイトが楽しくわかりやすくネットワークを教えてくれる。
このサイトを4週ほどしながら過去問を解きまくれば前者のケースは得点源になります。
逆にこのサイトすら読むのが苦痛なレベルならさっさと切ってもいいですが、このサイトに書かれているのは基礎を学ぶための基礎レベルの内容で、SEとして開発業務をやるなら知ってないとまずいレベルの知識だと思われます。
ネットワークが苦手な人はこの機会に勉強しておくのもいいかも。
・組み込みシステム開発
居酒屋のタブレットや防犯ブザー、入退室センサーなどのハードを開発する問題しかでない。
最初のうちはビットや周波数、処理回数の計算ケアレスミスをしやすい。
知識はあまり要らず過去問演習で出題傾向に慣れれば最低でも5割取れて爆死する事が無くなるので、そこまで得意でなくとも他の大問が難しかった場合に消極的採用の価値はある。
・情報システム開発
開発業務に関わる問題が全般的に出る。学習範囲で言えばかなり広いし他の分野との複合知識が問われたりする。
ただし、たまにサービス問題が出るので勉強してなくても当日は必ず選択候補に入れ問題を読んで解けるか確認する事。
31春はフロントの基礎知識がわかっていれば解けるし、令和秋に至っては知識無しで満点取れます(事実私は満点取れています。)
・プロジェクトマネジメント
知識量、計算、文章読解、解答スピード、全てがバランスよく問われる。プロマネだけ勉強すればいい、というのなら話は別だが
他の複数分野を学習しながらプロマネを安全圏までもっていくのは簡単ではない。相性や実務経験の無さもあるのかもしれないが監査サビマネより簡単だと思ったことは一度もない。過去問読んで自信があるなら挑戦してみよう。
・サービスマネジメント
運用業務しか出てこない。知識は英語3文字の用語集とかインシデント、SLA周りさえ抑えれば最低限太刀打ちできる。
記述や状況分析の選択問題も当事者のカスタマーサービス、運用者の気持ち(?)になって考えれば普通に解ける。
監査が得意ならサビマネも相性良いと思います。
あとの午後の細かいテクは上で紹介してるkotoriさんの記事を参照で。
ちなみに本番の問題用紙は冊子形式で、大問がページをまたいだりするので冊子系の試験を初受験する人は、過去問を紙に印刷して練習しましょう。
勝手がわかってる人はドットコムの過去問をデュアルモニタやブラウザ窓を複数使いながら、勉強すればOK。練習でわざわざ行ったり来たりの苦労する必要は無いです。
5.その他の戦略、戦術
・他人(特にネットの赤の他人)の合格時間や算出した勉強時間を意識しすぎてはいけない。
・他人の勉強時間の情報から自分のスケジュールを少なめに見積もってはいけない。
これは最重要です。断言します。よくよく考えれば当たり前の話ですが、やってしまう人は結構います。
そもそも情報技術者なら、エビデンスもない他人の自己申告した学習時間を鵜呑みにするべきではないです。
本記事も時間に関しては触れていません(DBの見切りだけは例外)し、私の合格に費やした時間も発表しません。
どうしても参考にしたいなら頼りがいのある上司や資格講師など、ある程度信用できる人にすべきでしょう。
私の場合はkotori氏の様に、自分の弱みや失敗経験をさらけ出せる人を信用しました。
それを踏まえた上で応用情報技術者で検索すると「3週間で受かった話」「1か月で合格する方法」「短期間一発で取得」「誰でも受かる」などの記事が出てきます。
これらの記事が嘘をついている、間違ったことを言っている、とは思いませんが、単純に読まなくても合格に必要な知識や技術は手に入ります。(一応それらの記事にあったちょこちょこ使える情報は、本記事に載せています)
実際に学校や家で普段からIT周りの勉強をしている人は、試験対策の勉強をそこまでしなくても合格できると思います。
が、それら上位一部の人は当記事の読者に該当するとは思えないので今は無視します。
むしろ、資格学校などが推奨している勉強時間より大幅に少ない時間を提示して、受験者にプレッシャーをかける記事を真に受けて、自信が持てなくなる逆効果のリスクの方が心配です。
話を戻すと、高学歴の勉強が得意な人でもない限り、勉強時間は十分に用意してコツコツ取り組むべきでしょう。
落ちたケースの話はあまりしたくはないのですが、勉強時間を十分用意して万が一落ちた場合「勉強すれば受かっていた」という言い訳が使えなくなるので
「この勉強方法は効率が悪かった」
「自分の相性と大問選択がかみ合っていなかった」
などの原因の切り分けがはっきりできます。これで次に同じ失敗を繰り替えさなくなります。
更に付け加えるなら、応用情報の勉強はそのまま高度試験に活かせるので、応用情報合格後の高度試験受験も踏まえるなら、対象の分野をたっぷり勉強する価値はあります。
しかし自分に適正な勉強時間が見えてこない、スケジュール立てができない、どれくらいが十分な時間なのかわからない、勉強し過ぎてプライベートを犠牲にしたくない、やりこみ過ぎて落ちたら反動のショックがでかい
などの考えもあると思います。
なのであえてここは
4か月以内
を提示します。
応用情報は1年に1度のネスペ試験などと違い半年に一度です。そして合格発表は2ヶ月かかります。
不合格で再受験をする方、基本を突破して新規参入する方が本格的に受験を志してからのタイムリミットがこの4か月です。
4か月勉強すれば受かる、とはここでは保証できません。ただIPAが用意した応用受験の準備期間なので、これが答えだと私は思っています。
1年2年、私生活を捨てろという事ではありません。4か月だけ頑張ると考えればいいのではないでしょうか。
・モチベーションを維持する。「こんな資格受かっても役に立たない」などの言葉は無視する。
資格が役に立たない、と言っていいのは一切勉強せずに全部の年の問題を初見で午前午後8割確実に取れる人くらいでしょう。
そしてそんな優秀な人は一々勉強してる人に役に立たない、などと言うでしょうか?
ネットなどで役に立たない、と言っている人というのはつまりそういうことだと思います。
受かれば多少なりとも自信が付くと思います。人によっては資格手当や査定アップなどがあると思います。
受かった時のメリットをイメージして常に気持ちが萎えないようにしましょう。
私の場合は、資格手当をもらった後の年収を実際に計算してメモ書きし、それを原動力に勉強しました。
・試験日は8時間(最低でも7時間以上)寝る。深夜詰め込みはしない。
試験は午前と午後にまたがって体力を使うので、必ず万全の状態で挑みましょう。
夜中うるさい地域の人なら耳栓も忘れずに(試験日の夜中1時に飲み会上がりの集団に騒がれて起こされてしまった経験あり)
・午後は相対評価だが、受験生が特に気にすることは無い。
午後の解答は受験が終わってから作成されます。そうでなければ、試験後に午前の問題と同時に公開しない意味がありません。
そして合格率は調整されています。調整していなければそれなりに合格率が前後しなければおかしいからです。
あのメジャーな日商簿記の2級は、技術的には枯れており専門家達が問題を作っているにも関わらず合格率が40%以上ブレます。人間が作る以上、調整していなければブレはこの様に必ず起きるのです。
物的な証拠があるわけではありませんが、強力な状況証拠がいくつもそろえば物的証拠と変わりません。
誤解しないで欲しいですが、私は合格率調整が悪い事だとは言ってませんし、調整をやめろとも思っていません。
ここで言いたいのは相対評価だろうが絶対評価だろうが、
・試験で1点でも点数を多くとるために努力するべき
・苦手な分野や難しい大問は避けるべき
であってやることは変わらない。受験生は調整を意識したり心配する必要は無いので、気にせず勉強に集中しようという事です。
では長くなりましたが、合格、学習に役立てていただければ幸いです。
※他に資格勉強の記事があったので作成しましたが、本来はプログラミングのサイトということらしいので、サイト違いということでしたら記事の内容は別の場所に移します。