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StreamのmapMultiはどういう時に使うのか

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Java16で追加されたStream.mapMultiメソッドの説明が、最初はよくわからなかったので、理解したことを少し具体例を挙げてまとめてみます。

前置き

実は、最近までJava9より後のJavaの動向を追ってなかったので、Java21までの変更をさらっと読んできました。

参考資料

APIの説明にある「flatMap」との関係とは

APIドキュメントにはこのように書いてあります。

APIのノート:
このメソッドは、ストリームの要素に一対多変換を適用し、結果要素を新しいストリームにフラット化するという点で、flatMapに似ています。 このメソッドは、次の場合にflatMapよりも推奨されます:
各ストリーム要素を少数の(0(ゼロ))要素で置換する場合。 このメソッドを使用すると、flatMapで必要な結果要素のグループごとに新しいStreamインスタンスを作成するオーバーヘッドが回避されます。
結果要素をStreamの形式で返すよりも、結果要素の生成に必須のアプローチを使用する方が簡単な場合。

これを読んだだけで理解できる方は、これ以降は読む必要はないと思います。

最初、新しいStreamインスタンスというのが何のことなのか分かりませんでした。
flatMapメソッドを使ったことがあれば気づけそうですが、私は使う頻度はあまり高くないので、コード書いてみたらピンときました。

それぞれの要素にダッシュ要素を追加したリストを作るコードを書いてみます。(ダッシュだと見づらいのでスラッシュで代用)

jshell> var data = IntStream.rangeClosed(1, 3).mapToObj(String::valueOf).toList()
data ==> [1, 2, 3]

jshell> data.stream().flatMap(x -> Stream.of(x, x + "/")).toList()
$1 ==> [1, 1/, 2, 2/, 3, 3/]

Javaの場合、フラット化するには一対多変換にStreamしか使えないので、その時に生成するStreamインスタンスのことを言っていたんですね。
なるほど。

そして、mapMultiメソッドを使うと、新しいStreamインスタンスを作らずに処理できるようになります。
型推論してくれないのがちょっと面倒ですね。

jshell> data.stream().<String>mapMulti((x, c) -> {
   ...>     c.accept(x);
   ...>     c.accept(x + "/");
   ...> }).toList()
$2 ==> [1, 1/, 2, 2/, 3, 3/]

ほかの例

再帰的に増幅するようなケースはflatMapでは難しそうですので、mapMultiを使うとよさそうです。再帰の例はAPIドキュメントに載っているので省きます。

filtermapをまとめられるのが地味に嬉しいかも。反面、複数行になってしまいがちですね。

jshell> Stream.of("AAA", "BB", "CCCCC").mapMulti((x, c) -> {
   ...>         if (x.length() >= 3) c.accept("%s=>%d".formatted(x, x.length()));
   ...> }).toList()
$3 ==> [AAA=>3, CCCCC=>5]

新しいStreamインスタンスを作らないとパフォーマンスはどうなる?

簡易ベンチマークで試してみました。

少なくとも、新しいStreamインスタンスを作らないことで速くなっているみたいです。

List<String> data = IntStream.rangeClosed(1, 1_000_000).mapToObj(String::valueOf).toList();

for (int j = 1; j <= 3; j++) {

	long t;
	List<String> amplified;

	t = System.currentTimeMillis();
	System.out.print("flatMap ");
	amplified = data.stream().flatMap(x -> Stream.of(x, x + "/")).toList();
	t = System.currentTimeMillis() - t;
	System.out.printf(" %d回目 %4dミリ秒 %d個%n", j, t, amplified.size());

	t = System.currentTimeMillis();
	System.out.print("mapMulti");
	amplified = data.stream().<String>mapMulti((x, c) -> {
		c.accept(x);
		c.accept(x + "/");
	}).toList();
	t = System.currentTimeMillis() - t;
	System.out.printf(" %d回目 %4dミリ秒 %d個%n", j, t, amplified.size());
}
flatMap  1回目  187ミリ秒 2000000個
mapMulti 1回目   68ミリ秒 2000000個
flatMap  2回目  152ミリ秒 2000000個
mapMulti 2回目   33ミリ秒 2000000個
flatMap  3回目  229ミリ秒 2000000個
mapMulti 3回目   61ミリ秒 2000000個
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