前提
- かなり人にフォーカスを当てたマネジメントの大切さを語っています
- プロジェクトの事前準備は終わった後の進捗管理段階でのマネジメントです
- スケジュール(WBS)の作成などは完了している想定
- と言いつつ、最初の環境作りにしか言及してません
どんな状況の人に読んでほしいか
- 実業務をしているメンバーを管理している人
- 会社の肩書でいうと課長クラスだったり、プロマネをしている人
- 要するに、統括クラスではない層の管理者
- (上記のポジションで)チームや部署のメンバーの動きが悪いと感じている人
- プロジェクトの進捗がなぜか悪い
- チームや部署の雰囲気が悪くて困っているリーダー
- メンバーのやる気がない
ただし、残念なことに構築されてしまったチームの環境は修復不可能なこともあるので、雰囲気が手遅れな場合は管理者である自分が異動したほうが全員幸せなこともあります。
また、50歳以上のメンバーはやる気があっても仕事ができなかったり、素直さ・やる気を今までの人生で誰かに奪い取られた可哀そうな人もいるので、その場合はおとなしく適切な部署に異動してもらいましょう。
ベテランなのにそのチームで仕事の成果が出ない場合は、業務とスキルのアンマッチが起きていることが多く、別の業務では輝けることがあります。
なぜこの記事を書こうと思ったか
マネジメントが上手くいっていないプロジェクトがあるため、途中からPMOで入ってほしいと役員に言われ、参画したところ問題点が多く見つかった。
今までは自分が最初からプロマネの立ち位置でプロジェクトを管理することが多く、さらには問題なくプロジェクトが進むことがほとんどだったため、気にしたことがなかったが、自分が心がけてきたことは意外と大切なことなのかもしれないと思い、文章として残すことにした。
それでは、自分が日頃メンバーと接するうえで意識していることを記載していく。
メンバーへの印象が大切
時代によって変わるかもしれないが、今は圧をかけて仕事をやらせるスタイルは無理があると感じている。
そのため、メンバーの自発的な行動を促す時代だと考えている。
加えて、業務内容がだんだんと単純作業ではなくなり、個々が考えて行動しなければならない時代となっているため、自発的に行動できない人は価値が低くなってしまう。
その人の将来のためにも手綱は持ちつつ、伸び伸びと仕事をさせてあげてほしい。
まずは話しやすい印象を持ってもらう
なぜなら現場が感じた少しの違和感でも報告してほしいためである。
現場の違和感はかなり重要であり、後から大きな手戻りが発生したり、お客さんとの認識齟齬が生まれていることが多い。
実際にうまくいっていないプロジェクトでは、管理者と話しにくい状況となっていることで以下の問題が生じていた。
- アラートや懸念事項が上がってこない
- 報告を避けたい気持ちが働くせいで、現場が勝手にプロジェクトに影響しないだろうと判断し、アラートが極端に減る
- ミスやできていない作業を隠そうとする
- 進捗遅れの報告をしたくないため、報告する時点ではできていない作業に対して担当が問題ないと報告してしまう
- 担当目線では遅れを自分で何とかしたほうが楽だと思っている
- メンバーが無理な量のタスクを抱え込む
- 管理者に対して断ることができなくなっているため、YESマンとなってしまい、実際にはかなり無理がある作業量を抱え込んでしまう
(管理者が実際の作業時間を把握できていないことにも問題があるが、、、)
- 管理者に対して断ることができなくなっているため、YESマンとなってしまい、実際にはかなり無理がある作業量を抱え込んでしまう
- 業務改善の意見が出ない
- 単純に意見を言いにくい環境となっているため、メンバーが気づいたことを教えてくれない
上記を防止するためにも話しやすい環境を作る。
意識してやっていることは以下のような簡単なことだったりする。
- 自分から対面(もしくはカメラオン)で話かけにいく
- 今までやってきた仕事を聞いたり、タスクで悩んでることがないかを聞いてみる
- 予定のタスクが終わっていなくてもまずは責めない
- なにより理由を聞いてあげる、理由がない場合はさすがに指摘する
- さぼっている場合は、振られたタスクを終えたらさぼって良いからと言い、担当分はやってもらう
(もちろん作業量はちゃんと把握したうえで)
- 自分のほうが立場が上であっても悪いときは謝罪、感謝の気持ちも忘れない
- 意外と感謝のほうは忘れがち
- 人によっては報告することは勇気を出していたりするので感謝する
- しゃべり方もできる限り優しくする
- 自分の場合はフランクな感じが一番効果がある気がする
ちなみに一度関係性ができてしまえば、メンバーを指摘してもちゃんと自分のための指摘だとわかってくれる。
怒るのではなく、気づけていない・考えが及んでいないことをその人のフェーズに合わせて教えてあげるイメージ。
実際に、時には厳しく指摘することもあったが、1年後とかに感謝されたりした。
(社交辞令かどうかは分かっていないが)
次に管理者自身も頑張る(当たり前ですね、、)
メンバーのために尽くしている姿を、気づく人は気づいてくれる。
やっぱりメンバーの中でも察知能力の差や業務に対する余裕の差があり、出来るメンバーは管理者が頑張っていることに不思議と気づく。
別に作業の大変さを前面に出しているわけでなく、残業している姿を見ているとかでもなく、自分のために頑張ってくれていることに気づくメンバーがいる。
その結果、以下のような良いことが起きる。
- メンバーに頑張ろうという心が芽生える
- 人間はやっぱり心で動く
- 管理者のためを思って些細なことを報告してくれるようになる
- 「念のため報告しておくんですけど」といった報告が増え、大惨事を事前に防げる
- 現場が困っていることを伝えてくれる
- これこそが管理者の仕事であり、これを解決できない管理者はいる意味がない
- 優秀なメンバーが自発的に行動してくれる
- 頼まなくても議事録を取ってくれたり、管理者の仕事が楽になるように努めてくれる
対人関係での環境作りはこんな感じでやれば、少なくともチームの雰囲気は悪くならない。
理想は上司の悪いところを指摘する部下が出てくる環境だと思っている。
上司も上司という業務は初めて行うわけで、部下からの意見もどんどん聞いていくべきである。
以下からは対人以外の環境作りで意識していることを記載する。
報告だけで判断せず成果物を確認する
ここまでは人との関係を築くことにフォーカスを置いてきたが、メンバーの報告を信頼しきってはいけない。
メンバーができたと思っていても、中身のクオリティが予想よりも低いことは多々ある。
絶対に成果物を見て判断しなければいけない。
しかし、メンバーのクオリティを一定の水準に保つ仕組み作りはもちろん管理する側の役目である。
そのためにも以下の取り組みを行う。
テンプレート化する
まぁこれは誰しもがやっていると思う。
- テンプレート化したほうが良い作業を判断する
- テンプレートの作成作業自体はメンバーに依頼しても良いが、テンプレートの作成が必要であるという判断は管理者自身が認識し、メンバーの業務効率化を図るべきである
- テンプレート資料のレビューをする
- これは管理者が簡単に業務内容を把握することができるというメリットがある
- 不明点があればメンバーに質問することで、業務の把握とテンプレート作成の2つをまとめて実施できる
- 新規参画者への説明工数が削減できる
- 急な人員入れ替えや追加があった時、参画者的にもかなり助かる
成果物を入れるフォルダ構成を検討
仕事ができる人はかなりフォルダ構成をわかりやすくしている。
フォルダ構成が分かりやすいだけでびっくりするぐらい業務効率が上がる。
探したい情報がすぐに探せて、格納しなければいけないファイルや情報が分かるため作業のクオリティがある程度保たれる。
おすすめのフォルダ構成は以下の通り。
- 作業の時系列で必要なファイルを入れるフォルダを作る
- よく見る「10.要件定義」、「20.設計」といったフォルダを作成し、サブフォルダとして必須ファイルを入れるフォルダを作る
→メンバー全員が成果物の格納場所と必要成果物を把握できる
→管理者は成果物ができているかどうかがすぐにわかる
→しかし、成果物以外も格納されるフォルダのため、サブフォルダが分かりにくくなる可能性がある
- よく見る「10.要件定義」、「20.設計」といったフォルダを作成し、サブフォルダとして必須ファイルを入れるフォルダを作る
- プロジェクト単位で成果物用フォルダを作成する
- 成果物のフォルダだけ別で作成し、そこにできたものから入れていく
→成果物の把握がかなり簡単になる
→しかし、成果物の修正があった時に最新版に反映し忘れてはいけない
- 成果物のフォルダだけ別で作成し、そこにできたものから入れていく
以上が自身がマネジメントをするうえで最低限大切にしていることでした。
楽しく仕事が出来ていたのは当たり前の環境ではなかったのだと別チームに参画してみて感じました。
(今まで関わったメンバーが素直だったり、優秀だったおかげかもしれない)
何より管理者は、「作業者を楽にする」、「遅延の防止」、「遅延してしまったらリカバリをする」、「イレギュラーが発生したときに解決する」ために仕事をしていると思っています。
たまにメンバーの作業を逆に増やしていたり、イレギュラーが起きたときにメンバーを問い詰める管理者を見ますが、自分が仕事できないことをアピールしてしまっている気がします。
殺伐とした環境に参画したことで、1人でも仕事を楽しくできる人が増えるといいなと思い、記事を書きました。
かなりきれいごとですが、仕事を頑張っている人がこれからもずっと仕事を頑張ろうと思える環境が増えるとうれしいです。