「スクラムガイド」と題しているのですが、スクラムの話ではなく勉強方法に関する話です。
私には、集中して「コト」を理解するために音読する癖があります。
開発者は、プロダクトオーナーとの話し合いを通じて、プロダクトバックログからアイテムを選択し、今回のスプリントに含める。スクラムチームは、このプロセスの中でプロダクトバックログアイテムのリファインメントをする場合がある。それによって、チームの理解と⾃信が⾼まる。
(https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf)
例えば、人生で初めてスクラムガイドを読む人にとって上記の文章は難解です。日本語の筈が、専門用語や横文字が飛び交う文章になっているため黙読しても理解が難しいのです。
こういう時、人は理解するために図に表してみたり、繰り返し読んでみたり、違う文献や柔らかくかみ砕いた人の情報をインターネットからあつめるなど様々な工夫を取ると思います。私もそのようにして理解を深めることが多いです。
そもそもなぜ「専門用語や横文字が飛び交う文章」は読みにくいのでしょうか。
いくつか要因があると思いますが、私は表意文字の中に表音文字が介入してしまうことがその一つだと考えています。専門用語や横文字に対し「その専門用語が意味として既知である」「日本語解釈に脳内変換できる」が可能な人にとっては、上記の文章をスラスラ読み取ることができます。
開発者は、プロダクト開発責任者との話し合いを通じて、プロダクトに要求されていることリストから実行すべき事項を選択し、今回の工程を反復する一定期間のスケジュールに含める。
スクラムチームは、このプロセスの中でプロダクトに要求されていることの背景や重要度・優先度を見直す場合がある。それによって、チームの理解と⾃信が⾼まる。
例えば「プログラミングは一度も行ったことが無いが、AWSに詳しいインフラエンジニア」というペルソナがあったとして、そのエンジニアにとってスクラムガイドを読み取ることは困難でもAWS GlueのサービスページやBlackBeltを読解することは非常に簡単であるようにです。
不明な専門用語が文章中に発生した場合、私は「単語を調べる」もしくは「文章中で初めて出てきた場所を遡って探す」ケースが多いです。
例えば海外のリファレンスの日本語訳などであれば、文章中を遡っても意味はそこに含まれていることは大抵ないので単語を切り取ってGoogleで意味を調べたり他の参考記事をチェックしたりすると思います。あるいは、ChatGPTを始めとしたAIサービスに回答してもらうという手もあるでしょう。
ですが、そこに至るまでのプロセスにはひとつ落とし穴があります。それはパッと見難解な文章は読むハードルが高く挫けそうになることです。
分からない部分を調べる為には、何が分からないかを理解する必要があります。そのためには一度分からない文章を読むというステップを踏む必要があります。
音読で得られる効果は多岐に渡ると言われます。
例えば脳の前頭前野が活性化されることで記憶力や思考判断力が高まり、勉強効率がアップしたり、声に出すことで初めて文章の流れや切れ目を意識することができ、文章構造の分解にも役立ちます。
またセルフモチベートにも効果があり、動き出すことでようやくやる気が出てくる「アレ(いわゆる作業興奮)」により没頭の入り口になります。これから分からない文章の分からない単語を調べることや、分かったことをまとめる時間のことも考えると作業時間は長引くことが予想されます。(……とベネッセさんも言ってました)
つまり、日本語においても英語においても、和訳されたものにおいても、難解な文章は音読することで「文章構造を理解し」「何が分からないかが分かる」「作業開始のエンジンがかかる」という効能を発揮することが出来るのです。
- 公式リファレンスを読むとき
- 技術ブログを読むとき
- メディアで情報収集するとき
- 自身が作った資料のセルフレビュー
- 短時間で概要だけフワッと抑えておきたい場合
- ミーティング前の資料で要点をチェックしておきたいとき
- 勉強のモチベが上がらない日
私は上記のようなシーンで音読を活用しています(流石にいつも声に出してるわけではないですが!)。
音読が効果的なんて知ってるよ!今さらだよ!って方にとっては当たり前のことかもしれないですが、もしもまだ音読を実践してみたことがないようでしたら是非一度だけでも試してみてください。
リモートワークの良いところは、これらが気軽に行えるようになった事かも知れません。