話題のObsidianを触ってみました。
最近よく耳にする「Obsidian」。
"第二の脳"として使えると評判で、情報管理・グラフビュー・AI連携など、さまざまな文脈で語られています。
一見すると「何でもメモできそう」なObsidianですが、実際に使ってみると得意・不得意がハッキリしていると感じました。本記事では、Obsidianを使って感じた 「使えそうな点」と「微妙な点」 を主観多めに率直に紹介します。
ちなみにここ1年間のGoogleトレンドの様子。
結局Obsidianって何?
Obsidianとは、Markdown形式でノートを整理・リンクできる、ローカル動作のノートアプリです。
特徴を一言で表すと、
「知的作業のための、カスタマイズ性の高い第二の脳アプリ」
ですが、以下のように用途が広く、混乱しがちです。
- メモアプリ?
- タスク管理?
- コードエディター?
- マインドマップ?
- 日記帳?
「第二の脳」と言うくらいですから色々できるのはそうだと思いますが、多機能であることは良くも悪くもだと思っています。
そのなかで、私がObsidianの特徴を3つ挙げるとしたら、
- ローカルで動く!
- マークダウンで統一されている!
- ファイルベースの「リンク」が強力!
です。
これらの特徴から私は、
「"個人プロジェクト"の"ドキュメント整理"としてめっちゃ優秀!」
と考えています。
もちろん個人の見解であることは前提とした上で、特に私はメモ・ノートアプリを普段使わないタイプという背景もあります。そのため、メモ用途としてObsidianを検討している方にとっては少し偏った情報に見えるかもしれません。
Obsidianの特徴・優位性
ローカルで動くこと
Obsidianの一番の特徴はすべてローカルで動作すること。
クラウド依存がないので、以下のようなメリットがあります。
- オフラインで使える
- データの所在が明確(自分のPCにある)
- テキストエディタやGitなど、他ツールとの連携がしやすい
- 自由にバックアップや同期方法を選べる
以下は初回起動時の画面ですが、保管庫としてフォルダを選択できます。
もちろんクラウド同期の機能もありますが、使用するメリットとしてはスマホからも気軽にノートを取れるくらいかなと思いました。
マークダウン形式で統一されている
Obsidianでは全てのノートがMarkdown形式(テキスト)で保存されます。
これには以下のようなメリットがあります。
- プレーンテキストなので軽い・速い・扱いやすい
- Mermaid記法でフローチャートやガントチャートも書ける
- AIとも相性が良い(バイナリデータより処理しやすい)
つまり、"将来にわたって編集可能な資産"として知識を保存できるのが魅力です。上の中でも特にMermaid記法が即プレビューできるのは便利だと思いました。
- mermaidコード
ファイルベースのリンク機能
ノート同士を「[[リンク]]」でつなげるのがObsidianの基本です。
これにより、ノートをネットワーク状に整理できます。
その他以下タグ機能なども使い、どの情報がどの情報と関連しているかが人間の暗黙地ではなく言語化した上でノートブックに反映されます。
- [[プロジェクトA]] から [[議事録2025-05-17]] へリンク
- タグ(#アイデア)で分類
- 関連するノートの構造がグラフ表示で可視化される
アイデアを育てたり、知識を再利用するには最適な構造ですね。
今回開発のデモプロジェクトドキュメントを作成してみた際にできたグラフビューです。
ただまあこれだけ見ても人間にはよく分かりません。
これらのメリットから言える「AIとの高い親和性」
Obsidianはこれらの特徴から、生成AIとの非常に高い親和性を持っていると言えると思います。
まず、ノートがすべてMarkdownというプレーンテキストで保存されているため、AIによる解析や要約、分類といった処理がしやすく、将来的な連携も柔軟です。
また、ローカルで動作する設計により、外部クラウドに依存せずに機密性を保ったままローカルAIやCLIツールと連携できる点も大きな強みです。さらに、ノート同士を[[リンク]]で接続し、ネットワーク構造として整理できることから、AIにとっても文脈を把握しやすく、意味のあるフィードバックや提案をしやすい環境が整っています。
つまりObsidianは、知識の蓄積と再利用を促進するだけでなく、それをAIで活かしていくための"土台"としても非常に優れていると言えます。
次の記事にするつもりですが、このメリットは 「Cursorの併用」 で大きな恩恵があります。
他ツールとの比較表(Notion / NotebookLM / GitHub)
よく比較されているツールと項目ごとに比較してみました。
項目 | Obsidian | Notion | NotebookLM | GitHub |
---|---|---|---|---|
保存形式 | Markdown(ローカル保存) | クラウドDB(独自形式) | クラウド + LLM特化形式 | Markdown(Gitで管理) |
オフライン対応 | 完全対応 | 一部キャッシュあり(限定的) | 非対応(クラウド必須) | Git cloneすれば可能 |
AIとの親和性 | 高い(テキスト中心・自由度) | 中程度(APIやテンプレ活用) | 非常に高い(LLM連携に特化) | 高い(READMEやコード文脈解析) |
カスタマイズ性 | 高い(プラグイン豊富) | 中(ブロック・テンプレ活用) | 低い(機能固定) | 高い(拡張・自動化が自由) |
知識リンク・構造化 | 双方向リンク、タグ、グラフ対応 | データベース的構造化が可能 | AIによる自動的な文脈リンク | README・Wikiでのドキュメント管理 |
チームコラボ機能 | 限定的(ローカル中心) | 強い(リアルタイム編集可) | なし(個人利用前提) | 強い(バージョン管理とコラボ) |
タスク・プロジェクト管理 | 可能(カスタムで対応) | 豊富なテンプレ・DBで対応 | 不向き | issue・PRベースで対応可能 |
対象ユーザー | 個人・技術ユーザー向け | チーム・非技術者にも優しい | 個人・調査・思考整理に特化 | エンジニア・開発者向け |
AIとの協業という意味でいくとNotobookLMのほうが適している場面が多い気がしますが、Obsidianのほうが「自分でアウトプットする」感覚のほうが大きい気がします。
ぶっちゃけ微妙だと思ったこと
コードエディターとしての使用
プラグインやCSSを使用してUIをカスタマイズすれば、VScode風なコードエディターにもすることができます。
以下の方も主旨の異なるつぶやきですが、カスタマイズされていますね。
この高カスタマイズ性がObsidianの優位性や触る楽しさには繋がっているのですが、正直コードエディターであれば不向きだと思っていて、VScodeを超えるメリットはないと思います。
「ObsidianでもVScodeのようにコード書ける!」と言うのはなんだか本末転倒な気がしていて、実際上に書いたObsidianのメリットはコードエディターとしての良さにはあまり繋がっている気もしません。
コードの記録やエラー対処法、設計整理には使いやすいかもしれませんが、本格的な開発・IDEとしては不十分なので、ドキュメント管理に特化させるのがベターだと思っています。
プラグインで拡張できること
Obsidianが注目されている理由として、プラグインで拡張できることがあります。公式のコアプラグインのほか、多くの開発者によるコミュニティプラグインが提供されており、これらは無料で使用できます。具体例として以下のようなことができます。
- カレンダー表示・タスク管理(Dataview)
- コードスニペットの管理
- Zettelkasten風ノートの構築
ただし、「機能を揃えるだけ」ならNotionやTrelloのほうが楽な気がします。
確かに触っていて楽しいしUIが整っていく様はかっこいいのですが、効率性や学習コストを考えるとわざわざObsidianにするメリットは少ない印象です。 "ノートブックの仕組みを作っていくのが楽しい人向け"になるかなと思っています。
チーム管理には向いていないこと
上で述べている「ローカルであること」の裏返しになりますが、クラウド同期がデフォルトではないため、複数端末での同期やチーム管理はしにくいです。
以下のような制限があります。
- 他人とノートをリアルタイムに共有しづらい
- コメント機能や編集履歴の可視化も限定的
- Git連携やSyncサービス(有料)など、工夫が必要
そのため、「個人利用」前提のツールとして考えた方が早いと思います。
一応ファイルをクラウドで管理する方法やGitのプラグインもあるのですが、それでチーム管理をしたいのであればNotionやGoogle Workspaceで十分な気がします。
この点を踏まえると社内での業務等に利用するのはもう少し壁がある気がします。
「Obsidian in Cursor」は違うのでは?
あともう1つなんだかモヤモヤすること。
私がObsidianを知ったきっかけとして、上のような「Obsidian in Cursorがすごい!やばい!」というXのつぶやきを見かけることが多かったからですが、少し懐疑的な見方になりました。
正確に言うと、ObsidianとCursorは連携機能を持っているわけではなく、同じローカルファイルを開いて編集し見比べ合っているだけです。「Obsidian in Cursor」というサービスはなく上の方達の造語であると思われますし、決して 「Cursorの中にObsidianが入っているわけ」 ではありません。
AIとの執筆体験をしたいだけであればCursorだけで十分ですし、メモを残したいだけであればもっと他の手段があります。巷の発信内容には「それってNotebookLMでよくない?」というものもたくさんあります。
情報商材屋さんにとってこうした1ブームはビジネスチャンスになるわけですが、それを取りにいく側の私たちは「ほんまにそうか?」という見方を持つことも大事だと思わされました。
決して上の方達のような発信者の方々のやり方を否定しているわけではありません。
"個人プロジェクト"の"ドキュメント整理用"としてはめっちゃ優秀だと思う。
今回はObsidianを主観多めにまとめてみました。
正直これだけ話題になっているほどかな?という印象があり、今後さらなるスピード感で広まりそうかというと微妙な気はしているのですが、ハマる人はハマると思います。
ただ、個人活動プロジェクト内でのドキュメント管理(ルールの徹底や業務要件の整理)には向いているのではないかと思いました。
次の記事で、Cursorを使ったプロジェクト管理機能としてのObsidianの可能性を述べたいと思います。
参照:初期設定や基本の使い方
基本的な使い方はすでに記事がたくさんあるので、以下の記事を参考にご覧ください。