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【初学者向け】Azure OpenAIでは、結局何ができるのか。

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0.想定している読者

Azure OpenAIについて、

  • 100あるうちの10くらいまでのレベルを知りたい方。
  • たくさんある情報を一旦整理したい方。

↑こう思ったときにまずたどり着くのがMicrosoft公式ページですが、情報がかなり多いのとセールスを前提としているため、なかなか必要な検討材料を集めるのが難しいんですよね。(そのためにこうしたブログがあると思っています)

ということで、この記事を読み終わったときに
「Azure OpenAIってそういうことね!〇〇さんにも話してみよう!」
くらいの状態になっていただけるよう記述します。

1. Azure OpenAIを一言で。

Azure OpenAIは、Microsoftが提供するプラットフォームAzure上で、OpenAIが開発したAIモデル(GPT-4、DALL-E、Whisperなど)を利用できるサービスです。

一言で言うと、
「"生成AI"を活用してさまざまなタスクを効率的に実行する機能」
です。

2.AzureOpenAIと言ったらこれ!の特徴

高いセキュリティ

  • Azureのセキュリティ基準に基づき、データを安全に処理。
  • 社外の利用範囲はもちろん、社内のアクセス制限等も柔軟に可能。

AzureOpenAIは、Microsoftの看板を背負っており、またこれだけ世界中にユーザーがいることからセキュリティ面は安心できる要素が非常に多いです。
(もちろんセキュリティツールや手段の存在を含めた意味で)

連携のしやすさ

  • REST APIを通じて、テキスト生成、要約、翻訳、会話型AI、コード生成など幅広いタスクを簡単に実装可能。
  • Microsoft製品(Teams,SharePoint,Copilot)や他のAzureサービス(Azure Cognitive Search、Azure Functionsなど)と連携しやすい。

Azure OpenAI Serviceは、統一性や拡張性の面で、高い設計がされています。Azureは基本的に大規模なシステムを想定されているため、このあたりが平然と使用できるのも大きな特徴かと思います。

高い開発効率

  • デプロイまでの技術的ハードルが低い。
  • 事業部門での開発や運用管理の簡易化など、社内内製化がしやすい。
  • MSの充実したサポート体制。

上記「連携のしやすさ」と重複する部分もありますが、Azure OpenAIの一番の大きな特徴はこの点かなと私は思います。
独自のAIモデル開発やOpenAIのAPIキー直接利用とは比べ物にならないくらい楽です。
もちろん活用するまでには一定のコーディングやAPI連携の知識が必要ですが、ネットに転がっている情報も多く、使っていくうちに慣れる要素が多いかと思います。

下記にもう少し詳しく記述していきます。

3.主な機能

モデル提供

Azure OpenAI Serviceでは、OpenAIが開発した最新の生成AIモデルを利用できます。

  • ChatGPT: 会話型AIで、チャットボットなどに使うモデル。
  • GPT-4/GPT-3.5: テキスト生成や高度な自然言語処理を行うモデル。
  • Codex: プログラムの生成やコード補完をサポートするモデル。
  • DALL-E: 画像生成AI。

APIベースの柔軟な統合

REST APIを通じて、さまざまなプラットフォームやアプリケーションと簡単に統合可能です。(REST APIとは、HTTPを使用してリソースを操作する基本ルールの1つ的なものです。)

  • カスタムウェブアプリケーションの作成(例:顧客問い合わせ対応システム)
  • 業務用の自動化ワークフローの作成(例:Azure Logic Apps)
  • データ処理や分析システムの作成(例:Azure Synapse Analyticsとの連携)

自然言語処理の幅広い機能

Azure OpenAI Serviceは、以下のような自然言語処理タスクに対応します。

  • テキスト生成: 指定されたプロンプトに基づき、創造的または明確な文章を生成。
  • 要約: 長文テキストを簡潔な形に要約。
  • 翻訳: 異なる言語間での自然な翻訳。
  • 分類: カスタム分類や既存データに基づいた分類タスク。
  • 質問応答: ドキュメントやデータベースを基にした質問応答。
  • 感情分析: テキストの感情や意図を検出。

カスタマイズ機能

独自の業務要件に合わせて、モデルを調整したりカスタマイズが可能です。

  • プロンプトエンジニアリング: 特定の結果を出力するための最適な入力を設計。
  • ファインチューニング: 独自データでモデルをトレーニングし、専門性を高める。

セキュリティとコンプライアンス

データの安全性: ユーザーデータは処理後に保存されず、業務データが流出するリスクが低い。

  • Azureセキュリティ機能: Azure Active Directoryによる安全な認証やアクセス管理が可能。
  • 地域ごとのデータ保存: データは特定のリージョン内に留まるため、コンプライアンスに準拠。

Azureエコシステムとの連携

Azureの他のサービスと連携することで、生成AIを最大限に活用できます。

  • Azure Cognitive Search: 高度な検索機能とAIモデルを組み合わせたインテリジェント検索。
  • Azure Data Factory: データ処理パイプラインの構築。
  • Microsoft Power Platform: ノーコード/ローコードでのAI活用。
  • Microsoft TeamsやOffice 365: 業務効率化ツールとの統合。

スケーラビリティの調整

利用するリソースを動的にスケールアップまたはスケールダウンできるため、コスト効率を最大化しながら高い性能を維持できます。

3.活用事例

以下具体的な活用事例をいくつか拾っています。
印象的なのは、さまざまな業種・規模の企業がそれぞれの課題に応じてサービスを柔軟に活用している点です。具体的なツールを参考にするというよりは、考え方や実行フェーズが、すべての企業にとって学びになると思います。

三菱商事株式会社「文書要約」

三菱商事は、Azure OpenAI Serviceを利用した文書要約システムを全社的に導入し、生成AIの業務活用に関する知見やノウハウの蓄積を進めています。

2023/9/27の記事

株式会社すかいらーくホールディングス「画像検証」

すかいらーくホールディングスは、Azure OpenAI Serviceを活用して、お菓子の賞味期限入力チェックの自動化というアプリケーションをデプロイしています。

株式会社デンソー「自律型ロボット制御」

デンソーは、Azure OpenAI Serviceを導入し、製造業における業務プロセスの最適化や生産性向上を目指しています。

伊藤忠商事「バーチャルオフィス」

伊藤忠商事はAzure Opne AIを中心としたAzureサービスを用いて、希望する社員が時間を有効活用しながら、自らが高い関心・熱意を持つ本業以外の案件に携わることができるオンラインプラットフォームを導入しています。

JR西日本「社内チャットボット」

各種業務を遂行する際のパートナーとして社内向けチャットボットを使い、社員の業務効率化にとどまらず、業務品質の向上により新たな価値創出を図る。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20231016-2794079/

セガサミーホールディングス株式会社

概要: セガサミーホールディングスは、Azure OpenAI Serviceを活用し、グループ内15社、6,000人以上のユーザーが利用できる環境を整備し、業務効率化を推進しています。

p.s.色々見て思うこと

今回AzureOpenAIの事例をいくつか調べましたが、すごい数の事例が出てきました。AzureOpenAIに絞らず生成AIという大枠で調べると、きっとさらに膨大な事例が出てくると思います。

現代のほとんどの企業の上層部は、すでに「生成AIをどんなふうに使って、どんな業務改善ができるか」という思考をしている(またはしたことがある)と思います。

そしてその元では、様々なベンダーたちの「陣取り合戦」が熾烈に繰り広げられています。この“生成AIをどのように導入するか”という工程には、社内社外含め、様々な戦いがあると思います。

ただ、その根底には「生成AIを利用することがゴール」という本音がないでしょうか?私はこのゴールは決して悪いことだとは思いません。そうしないと進めない現状があることはよくわかりますので、きれいごとをいうつもりはありません。「生成AIを導入しました!」が1つのブランドになっている世の中なんです。

でも実際にエンドユーザーがどう助かるか、という視点は抜けてはいけないなと思います。

4.まとめ

最後少し脱線してしまいましたが、今回Azure OpenAI Serviceについて、概要レベルでまとめてみました。

まとめ

この記事を通して、Azure OpenAIの概要から特徴、主な機能、そして具体的な活用事例までをお伝えしました。
Azure OpenAIは単なる「生成AIプラットフォーム」ではなく、セキュリティ、連携性、開発効率を強みとし、企業の業務プロセス改善や新たな価値創出を支える強力なツールです。

そして、現代の企業における生成AIの導入は、もはや「流行」ではなく「必須」と言える段階に来ています。技術の導入がゴールになることも一定仕方ないと思います。しかし、最終的には 「エンドユーザーにどれだけ価値を届けるか」 が本質であることを忘れてはなりません。

Azure OpenAIは、その価値を実現するための強力なツールになる可能性を秘めています。この記事が、Azure OpenAIを検討するための第一歩として、皆さんの助けになれば幸いです。「Azure OpenAIってそういうことね!」と誰かに説明したくなったなら、この記事はその役目を果たせたのだと思います。

補足・注意

  • このブログで参照されている、Microsoft、Azure、Azure OpenAI、PowerAppsその他のマイクロソフト製品およびサービスは、米国およびその他の国におけるマイクロソフトの商標または登録商標です。
  • その他の会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
  • 私は、Microsoftとは直接関係のない個人として本ブログを記載しています。
  • この記事の情報は公開時点のものであり、サービスは随時アップデートされています。Azureのサービスは進化が早いため、最新情報は公式HPをご覧ください。
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