2025年3月、Vercelが提供するUI開発ツール「v0」が、データベースBaaS「Supabase」との自動連携機能を正式にリリースしました。
もともとv0はフロントエンドの作成に特化したAI駆動アプリでしたが、これを機にいよいよv0内だけでサービス開発をできる可能性が見えてきました。
本記事では「そもそもv0とは何か?」「Supabaseと連携すると何ができるのか?」を中心に、エンジニア以外の方にも触ってもらえるよう、概要レベルで紹介します。
v0とは?
v0(ブイゼロ)は、Vercelが提供するAIベースのUI開発ツールです。
プロンプトを使って、React + Tailwind CSSベースのUIを瞬時に生成することができます。
以下が、そのプロンプトを入力する画面。
開発者はデザインやコードを一から書くのではなく、「こういう画面が欲しい」と指示するだけで、v0がそれに近いコンポーネントを自動生成してくれる、というのが最大の特徴です。
Supabaseとは?
Supabaseは、PostgreSQLをベースにした BaaS(Backend as a Service) です。
Firebaseに似た思想で、以下のような機能を簡単に使えます。
- データベース(PostgreSQL)
- 認証機能(メール認証・OAuthなど)
- ストレージ
- リアルタイム通知
- REST/GraphQL API
SQLベースでカスタマイズ性が高く、オープンソースであることから、開発者の間でも注目を集めています。
UIもわかりやすいので、SQL初心者の私でも利用することができました。
自動連携で何が変わったのか?
今回のアップデートで、v0からSupabaseのデータベース構造を自動で読み取り、UIと繋げる機能が追加されました。
これにより、以下のことが可能になっています。
1. Supabaseのテーブルを自動認識
v0がSupabaseのスキーマ(表の構造)を読み取って、必要なフィールド(セル)をUIに自動で反映します。
そのため、想像しているフォームやテーブルを一瞬で作ることができます。
2. CRUD対応のUIをすぐに生成
新規作成、編集、削除、一覧表示といった基本的な画面がノーコードで構築可能。
バックエンドのコードを書く必要はありません。
3. 認証情報の活用が簡単に
Supabase Authのユーザー情報をv0側でも簡単に使えるため、ログイン中のユーザーだけに情報を表示するような機能も簡単に作れます。
4. フィルタ・検索・並び替え機能も即対応
v0のコンポーネントに、フィルタリングや検索バーを加えると、そのままSupabaseにクエリが飛ぶように動作します。
接続方法
v0のチャットで「supabaseでテーブルを作成して連携して欲しい」と言うだけで連携自体はできるのですが、Vercelから設定した方が安心かなと個人的には思いました。
このへんの詳細は省略しますが、「v0 は Vercel が開発・提供しているプロダクト」という位置づけです。
そのため、Vercelのマイページからv0などの各種環境設定などを行えます。
以下のようにプロジェクト設定で、supabaseのAPI・URLを入力します。
*このsupabaseのAPI情報はsupabaseのプロジェクト画面から簡単に確認できます。
v0 × Supabase 連携によるユースケース一覧
以下は、**v0とSupabaseの自動連携によって実現可能に思える具体的なユースケースです。
ユースケース | 対象ユーザー | 主な目的 | 活用内容 | メリット |
---|---|---|---|---|
ユーザー認証付きWebアプリ | 個人開発者・スタートアップ | ログイン・サインアップ機能の実装 | Supabase Authのスキーマからv0が自動で認証UIを生成 | コーディング不要でセキュアな認証機能が即実装 |
プロフィール管理画面 | 会員制サイト・SNSアプリ | 会員情報の表示・編集 | Supabaseの「profiles」テーブルを読み込み、編集フォームをv0が自動生成 | 作成・更新処理も自動設定されるため開発の手間が激減 |
商品一覧ページ(EC風) | EC系アプリ開発者 | データベース連携の一覧表示 | Supabaseの「products」テーブルから商品を取得して一覧ページをv0で生成 | 自動的にページネーション・検索機能も付くことがある |
管理者用ダッシュボード | 社内ツール制作者 | データ集計やモニタリング | Supabaseの複数テーブル(例:users, orders, feedbacks)から情報を読み込みダッシュボード化 | データビジュアライズもノーコードで整う |
お問い合わせ一覧 | コーポレートサイト運営者 | フォームから送信されたデータの管理 | Supabaseに保存された「contact」テーブルから一覧・詳細をv0が生成 | フォーム→保存→管理までがコードレスで繋がる |
ユーザー投稿型メディア | ブログ・レビューアプリ開発者 | 投稿・編集・削除機能を持つCMS | Supabase上の「posts」テーブルから投稿ページや投稿フォームをv0が生成 | Markdown対応エディターなども簡単に統合可能 |
チームコラボアプリ | プロジェクト管理ツール制作者 | タスク・進捗管理のUI作成 | Supabaseに保存された「projects」「tasks」などのリレーション付きデータをv0が読み取り表示 | リレーションを自動認識して複雑な画面も構築しやすい |
何がすごいのか?
これまで、UIとバックエンドの連携はどうしても 「APIを作って、つないで、テストして…」という手間 がかかりました。
今回のv0とSupabaseの自動連携によって、そうした手間がほぼゼロになっています。
開発の負担はもちろん、 プロトタイピングやPoC(概念実証)のスピードが劇的に向上 するのです。
まとめ
ノーコードツールの多くは「見た目だけ」で完結しがちでした。しかし、v0 × Supabaseの連携はその一歩先へ進み、「本当に動くアプリを最短で作る」ことを可能にしています。
- UI設計:v0にプロンプトを打つだけ
- データ保存・取得:Supabaseに自動でつながる
- ログイン・認証:Supabase Authと自動連携
少人数のチームやスタートアップ、個人開発者にとっては、まさにゲームチェンジャーと言えるでしょう。興味のある方はぜひ、v0の公式サイトやSupabaseのドキュメントを覗いてみてください。