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はじめに

Sequence MakerはExcelから測定器を制御可能にするアドインです。Sequence Makerは様々な通信インターフェイス(USBやLAN、RS-232CやGPIB)に対応しています。最近の計測器であればLANやUSBで接続できることが多いのですが、少し古めの計測器だとGPIBしか搭載していないケースがあります。この記事ではCONTECのUSB-GPIB変換器を使って測定器と通信するまでの手順を紹介します。なお、Sequence Makerについての詳細は以下の記事を参照ください。

お断り
本記事の内容はSequence Maker開発元の公式見解ではなく、あくまでも個人が趣味の範囲内で執筆しているものです。記事の内容について開発元へ問い合わせることはお控えください。ご質問・要望などは各記事のコメント欄へお願いいたします。

CONTECのUSB-GPIB変換器「GPIB-FL2-USB」

今回はCONTECのUSB-GPIB変換器「GPIB-FL2-USB」を使用してパソコンと計測器を接続し、通信します。GPIB変換器は他にもエマソン(旧National Instruments)社製のものや、Keysight社製のものがありますが、けっこういいお値段で、個人で買うにはちょっと手が出ません。その点CONTECの変換器「GPIB-FL2-USB」は比較的良心的なお値段?です。アカデミックプライスもあるので、学生さんならさらにお得です!ただ、CONTECの製品は実際に使用できるようにするための初期設定に若干クセがあるように思います。基本的にはUSBドライバーをいい感じにインストールすれば良いのですが、手順通りに進めないと認識はしているっぽいけどなぜか通信できない…というような深みにハマることがあるので注意が必要です。

image.png
https://www.contec-eshop.com/products/detail/1070 より引用)

USBドライバーのインストール

GPIB変換器を接続する前に、まずはUSBドライバーをインストールする必要があります。いきなりパソコンに接続してはいけません。ちなみに、悪い例ですがいきなり接続すると以下のようになります。デバイスマネージャーで見ると「他のデバイス」に三角ビックリマーク付きで「GPIB-FL2-USB」と表示されており、正常に認識できていません。

image.png

ダウンロード

USBドライバーをCONTECのWebサイトからダウンロードしましょう。「ドライバライブラリ API-GPIB(WDM) for USB GPIB通信ドライバ 開発環境(フルセット) Ver. 4.70」というのを見つけてダウンロードします。

ダウンロードの際にはmyCONTECに登録してログインする必要があります

image.png

ファイルをダウンロードしたらZIPファイルを解凍しておきましょう。
ファイルはこんな感じですが、既にわかりにくいです💦
image.png

インストール

以下のインストーラーを実行します。「次へ」ボタンを押していけば完了します。

LYAS06GPIB_470F\INF\WDM\Gpib_forWin10\Setup

image.png

image.png

image.png

確認

デバイスマネージャーで確認してみます。ちゃんと「CONTEC Devices」に「GPIB-FL2-USB」として認識していることが確認できます。
image.png

実はこの状態ではまだ正しく通信できません。次の手順でボードを正しく認識させる必要があります。

仕上げにやること

「GPIB-FL2-USB」をダブルクリックしてプロパティを開きます。

image.png

「詳細設定」のタブをクリックします。

ここで「ドライバNo.」を確認します。今回は「2」でした。
そして「OK」ボタンを押して、ウィンドウを閉じます。

image.png

すると先ほどのタスクマネージャーの画面に戻りますが、先ほどとは表示が少し変わっています。

ここで「GPIB-FL2-USB」の後に「デバイス名」が表示されていることを確認してください。
今回は「"GPIB000"」でした。

image.png

ここまでできたら準備完了です!

測定器との通信確認

GPIB変換器を測定器に接続します。測定器はGPIB接続できるものであれば何でも良いですが、今回はどこの誤家庭にも良くある「HEWLETT-PACKARD社製の34401A」を使用します。
測定器にはあらかじめGPIBアドレスを設定しておく必要があります。そこは各測定器の取説を参照して設定してください。今回は「11」を設定しました。
Excelを起動したら、SEQUENCE MAKERのタブを選択し、インターフェイスを設定します。今回はI.F.は「GPIB(CONTEC)」、ドライバNo.は先ほど確認した「2」、機器アドレスは測定器のGPIBアドレスである「11」を指定しました。
image.png

あとはセルに「*IDN?」などのコマンドを書いて「コマンド送受信」ボタンを押せばOKです!
image.png

うまくいけば、こんな感じに測定器からの応答が返ってきます!

まとめ

今回はCONTECのUSB-GPIB変換器の初期セットアップをして、測定器と通信できるところまで確認しました。*IDN?の応答確認をしただけですが、ここまでできれば、後はコマンドを順番に並べていくだけで好きなように測定器を制御できます。もちろん、測定値の取得も可能なので大量のデータ取得なんかも簡単にできますね!

うまくいかない時は・・・

「コマンド送受信」ボタンを押したときに「CONTEC社製のGPIBドライバーが見つかりませんでした。最新のドライバーをインストールしてからお試し下さい。」というエラーが出たときは、以下をチェックしてみてください。
image.png

  • Sequence Makerは最新版か?(今回インストールしたWDM版はSequence Maker V1.60以降で対応しています)
  • デバイスマネージャーデバイス名に「"GPIB000"」という表示が出ているか?
  • ドライバNo.の選択は合っているか?
  • 機器のアドレスは合っているか?

蛇足

CONTECのGPIB変換器のドライバーに「Windows版GPIB通信ドライバ API-GPIB(98/PC) 」というものもありますが、そちらでも同様の手順で通信可能です。Sequence Maker V1.60以前のものでも動きます。ただしCONTEC曰く、

WDMがMicrosoft社から発表される以前の1998年より、当社ではAPI-TOOL(98/PC)デバイスドライバを提供しました。
当社としては、WDM準拠している最新のAPI-TOOL(WDM)の利用をお勧めします。

のことなので、今後はWDM版を使うのが良さそうです。詳しくは以下を参照してください。

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