IPの定義
IPは「インターネット・プロトコル」の略で、インターネット上で送信ホストと受信ホストがパケットを交換するためのプロトコルです。OSI 7層モデルでは第3層(ネットワーク層)に相当します。
情報はパケットまたはデータグラムと呼ばれる単位に分割され、指定されたIP宛先アドレスに送信されます。現在、IPv4(RFC 791)とIPv6(RFC 1883)の2つのバージョンが存在します。
IPの主な機能
1. IPアドレスの割り当て
各ネットワークデバイスに固有のアドレスを割り当てます。現在、IPv4(32ビット)とIPv6(128ビット)の2つの方式でアドレスを割り当てることができます。
IPv4アドレスの枯渇問題により、ほぼ無限のデバイスにアドレスを割り当てられるIPv6への移行が進んでいます。
2. IPパケット情報
パケットヘッダには、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、データの長さなど、パケットに関する情報が含まれています。
IPの限界
1. コネクションレス性
パケットを受け取るサーバーが停止していたり、使用できない状態であっても、特別な処理なしにパケットを送信してしまいます。
2. 信頼性の欠如
パケットが途中で消失したり、順序通りに到着しない場合があります。
3. アプリケーションの識別問題
複数のプログラムが同じIPアドレスを使用している場合、どのプログラムがそのデータを使用しているのかを識別できません。つまり、どのアプリケーションのデータなのかを判断することができません。
結論
これらの理由から、IP自体では通信を行わず、TCPやUDPなどの上位プロトコルを使用してデータ転送を行っています。
興味深い点として、私たちが日常的に使用しているHTTPは、HTTP/2までTCPを使用していましたが、HTTP/3からはUDPを使用するようになりました。これは通信プロトコルの進化を示す興味深い例と言えるでしょう。
さいごに
インターネットの基盤技術であるIPは、私たちが日々利用するウェブサービスやアプリケーションの裏で重要な役割を果たしています。その機能と限界を理解することで、インターネット通信の仕組みをより深く理解することができます。
今後もIPv6への移行や新しい通信プロトコルの登場など、インターネット技術は進化し続けるでしょう。これからのネットワーク技術の発展に注目していきたいと思います。