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全部できてて当たり前? テレワーク環境での新人教育 10の心得

Last updated at Posted at 2022-03-19

背景と実施したこと

コロナが流行し、自分の会社ではリモート中心の働き方になってもうすぐ3年になります。
その中でありがたいことに、OJT担当として新人教育を担当する期間がありました。
でも、テレワークが中心とした働き方の中で新人を教育することは初めてで正直言うといろいろ戸惑ったこともありました。
そしてそれは自分だけでなく、他のチームや組織も同じでした。

この記事では、自分がOJTを担当する中で工夫し実際に効果があったと実感したものや、他チームがやっていて「これはいい取り組みだ!」と思ったものを紹介していきます。

※社内数百名に対して、「リモートワーク」をテーマにアンケートを取っており、その内容も部分的に織り込んでいます。これから新人を教育する人の役に立てば幸いです。

概要

先にポイントだけ列挙すると以下の通りです。

  1. 言葉の端々に気を遣う
  2. 事前に互いの作業環境や仕事に対するマインドを紹介しあう
  3. 目標はよく使うツールに貼っておく
  4. 定期的なラップアップの時間を作っておく
  5. 仕事のプロセスをなるべく開示する
  6. 縦と横の人脈を作るための会を設定する
  7. リモートでのプレゼンの機会をなるべく早めに、できれば定期的に作る
  8. 文字によるインプット・アウトプットをさぼらない
  9. 会議は基本録画し議事録は自動文字起こしで楽をする
  10. 顔出しミーティングは最小限にする

順に解説していきます。

1.言葉の端々に気を遣う

当たり前のことですが一応。
まずリモート環境での顔が見えないコミュニケーションということで、いつも以上に言葉の端々に気を使いました。
対面だと「あれ?この言い方まずかったかな?」とか「少し反応が悪いな。言い方を次から変えよう」とかそういう切り替えができたのですが、リモートだとこの点が少しやりづらかったです。特に関係を構築できていない最初のうちは。
具体的には以下の点は気をつけていました。(一般的なビジネスマナーでもある)

  • 相手が女性の場合「ちゃん」付で呼ばない(人によっては不快に感じる)
  • プライベートな会話を最初は避ける
  • 相手がサボっているかどうかを確かめるような発言はしない

特に3点目は、リモート環境で成果物がなかなか出てこないと「おや?」と思うこともあるかもしれませんが、決めつけてかかるような発言は厳禁です。

また、コミュニケーションもチャットが中心になり、文字だけだとどうしても冷たく見えがちです。
感嘆符などを使って、抑揚を表現してあげるとよいです。

Good
次はこの仕事をお願いします!

少し冷たい印象
次はこの仕事をお願いします。

ちょっとの差ですが、新人からすると親しみやすさが違ってきます。

2.事前に互いの作業環境や仕事に対するマインドを紹介しあう

これは最初のうちにやってよかったと思ったことですが、
「どういう環境でリモートワークをしているのか」
「集中できる時間帯はいつか」
「モチベーションが下がること上がることは何か」
ということをお互いに開示すると意外と役に立ちます。

子どもや家族の事情で仕事が中断するタイミングがあるかもしれませんし、近所で工事をしていてWeb会議をできればしたくない時間帯があるかもしれません。低血圧気味で朝イチのミーティングは避けたいかもしれませんし、午前中が一番集中できるかもしれません。
そういう個別の事情を最初に聞いておくことで互いの「仕事のしやすさ」を向上させます。
加えて、これは他チームがやっていて「なるほど」と思ったのが、事前にモチベーションが上がる瞬間や下がる瞬間を聞く、という取り組みです。

やってみてわかったのですが、これは本当に十人十色です。
顧客や上司にお礼を言われること、大きな仕事を任せてもらえることをやりがいに感じるのを当たり前だと思っていたのですが、
「別に顧客の反応とかいいんでとにかくすっきりしたプログラムをたくさん書きあげたい」
と言われたときは少々驚きました。

3.目標はよく使うツールに貼っておく

新人教育に限らず仕事には目標が必ずあると思うのですが、OJT担当と一緒に考えた目標は二人が見えるところに貼っておくのがいいでしょう。
自分の場合、以下のようにTeamsのタブに「スキルチェックシート」というExcelを貼っておき、ふとした瞬間に確認できるようにしていました。
image.png

やり方はいろいろあるでしょうが、多くの人は目標を立てても忘れてしまう悲しい生き物なので見える場所に貼っておくことは大事です。

4.定期的なラップアップの時間を作っておく

出社していた頃は暇そうな時間を見つけて、「少しラップアップしようか」という声がけのもと、タスクの進捗具合や学んだことの復習をしていましたが、リモートだとそうはいきません。
でもこの時間は双方にとって大事なので、定期的に30分ほどのWeb会議の枠を取りました。
初めの数週間は日次、慣れてきたら週次、自立してきたら月次という感じでだんだんと頻度を減らしていきます。
また、この会議の中では仕事に限った話ではなく雑談も交えながら進めると関係構築に役立ちます。

5.仕事のプロセスをなるべく開示する

リモートワークのデメリットとして仕事のプロセスが見えづらい、という点があると思います。
成果物の質も大事ですが、そこに至るまでのプロセスも同じくらい重要です。
出社していた頃は、ちらっと新人の画面を見て間違った方向に行っていたらアドバイスをする、ということをしていたのですが、リモートだと工夫する必要があります。

自分の場合は「設計書などの成果物は初めから皆が参照できるクラウドで作る」ということを徹底しました。

こうすると共同編集機能を使い今どんな感じで進めているかを気軽にチェックできる形にしておくことをオススメします。(中には中途半端な形を他人に見られたくないという人もいるのですが、これを許容すると結局手直しの工数が増えることが多いので自分はオススメしません)

コード類に関してはローカル環境で作成してプルリクという流れがあると思うのですが
難易度やコード量によってはプルリク前にどこかに上げてもらってチェックするというフェーズがあってもいいかもしれません。

また、本質とは少しずれますが地味に大きいのがショートカットなどツールのTips類をどのタイミングで教えるかという問題です。
出社していた頃は、先輩の画面を見て
「あれ?今のどうやったんですか?」
「ん? 今のはショートカットだよ。これをこうして・・・」
なんて会話があったのですが、リモートだとこの会話はなかなか発生しません。

こういう便利機能は自分で調べて研鑽するものという前提はありつつも、
ネットに落ちている「便利なショートカット一覧」を共有したり、たまには「こういう機能があるの知ってた?」なんて会話をするのもいいでしょう。

6.縦と横の人脈を作るための会を設定する

こちらは他チームが実践していてよかった施策のひとつですが、社内人脈形成のための会議を定期的に開くというものです。
出社していた頃は、先輩同士が話している中で
「あぁそうえいば最近面倒みている後輩を紹介するわ」
「この先輩はXXに関してはエキスパートだからなんかあったら頼るといいよ」
みたいなことがあったのですが、リモートだとやっぱりこういうことは起きにくいです。

そのため、
「隣の部署のこの人はではこんなことしています」
「同じ部署の何年上の先輩は今こんなPJをやっています」
という話を本人からしてもらう、という会を定期的に実施するのです。

新人にとってみれば帰属意識が高まりますし、何かあったときに頼れる人という引き出しを増やすことは重要です。

7.リモートでのプレゼンの機会をなるべく早めに、できれば定期的に作る

実践したことがある人はわかると思いますが、リモートでのプレゼンは対面のプレゼンとはかなり勝手が違います。
一番大きいのは聴衆の反応がわかりづらいということで、これには慣れが必要かと思います。
そのためなるべく早いタイミングで内容はなんでもいいのでリモートでのプレゼンの機会を作ることをオススメします。

そして聴衆は、話した内容についてチャットなどで反応を示すと話し手としてもやりやすいはずです。
リアクションボタンもいいのですが、個人的にはあれだと少し弱い気がしています。
これからは自分がスピーカーをしつつ、横目でチャットでの反応を見てそれに対し随時レスポンスを返す、という従来とは少し変わったスキルが必要になると思っています。(気分はLive配信者)

こういう新しい環境に順応できるのは意外と経験豊富なベテランより新人だったりするので、早いタイミングかつ定期的にプレゼンの機会を用意しておくべきと考えます。

8.文字によるインプット・アウトプットをさぼらない

「これは話した方が早いから通話しちゃうか」
なんて考えがちですが、これをやっていると際限なく相手と自分の時間を消費していきます。

もちろん内容やタイミングによると思いますが、自分の見ている範囲だとやっぱり「それチャットでよくね?」と思う内容がまだまだ多いです。

教わる方からしても、文字による体系的にまとまった内容の方が頭に入る場合もありますし
この点は意識しておいたほうがいいです。
また、新人側も、自分の成果物のステータスや抱えている課題を文字にして伝えることをサボってはいけません。これをやっていくと、文字で整理するのは意外と難しいことに気づくはずです。しかし、言いたいことを文字で簡潔にまとめるというのは仕事において重要なテクニック(テレワーク環境ではなおさら)で新人のうちにこれを練習する・させる環境は整えた方がいいでしょう。

9.会議は基本録画し議事録は自動文字起こしで楽をする

テレワークのメリットも享受すべきで、代表的なのは会議の議事録だと思います。
新人のうちは会議の議事録を任せられることもあると思いますが、これはWeb会議だとかなり楽です。
会議は基本録画しておけば細かい文言まですべて記す必要はなく、要点の整理だけで済みます。
そしてTeamsの場合自動で文字起こしまでしてくれるので、これを活用しない手はありません。(AI技術の発展もあって精度もかなり高いです)
自動でできることはお任せし、その時間を他の有意義なことにあてましょう。

10.顔出しミーティングは最小限にする

これはほとんどオマケです。
たまに特に意味もなく「顔出しのミーティング」を強制された、という話を聞きます。(妻の会社がそうで、大変ご立腹でした)
これはほんとに悪手で特に女性からは喜ばれません。
顔出しになるといつもより早く起きて、メイクの時間を作る、ということを世の中の女性はしているそうです(していない人もいるかも)

顔出しに明確な目的があるのなら良いですが、特に意味もなく「なんか淋しいから来週から顔出しで」なんてことを指示する役職者は、一部の人に早起きの苦行を強いている自覚をもつべきなのかもしれません。。。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。
何度やっても新人教育は難しいと感じます。時代に応じてアップデートが必要と痛感しますね。
コロナになって3年目。テレワーク主流の皆様にとって少しでも参考になれば幸いです。

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