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落合陽一先生風論文読解:Retrieval-Augmented Generation for Large Language Models: A Survey

Last updated at Posted at 2025-01-07

論文『Retrieval-Augmented Generation for Large Language Models: A Survey』を読むために、LLMに読解させた内容です。
一部僕が理解しやすいように書き直しています。

RAGについてサーベイした論文でも落合先生風の論文読解は使えるのでしょうか?

どんなもの?

Retrieval-Augmented Generation (RAG) は、大規模言語モデル (LLM) の能力を向上させるための手法です。LLMは大量のテキストデータから学習し、人間のような文章生成や質問応答などが可能ですが、事実と異なる内容を生成してしまう問題(ハルシネーション) や、知識の更新が遅い などの課題があります。
RAGは、外部の知識ベースから関連情報を検索し、LLMへの入力として追加することで、これらの課題を解決しようとする技術です。具体的には、ユーザーからの質問に対して、まず外部知識ベースから関連する文書を検索し、その内容をLLMへの入力に追加して回答を生成します。

先行研究と比べてどこがすごい?

項目 従来のLLM RAG
知識の範囲 学習時に得た知識のみ 外部知識ベースを利用
情報の更新 遅い 最新の情報にアクセス可能
信頼性 幻覚が発生しやすい より正確で信頼性の高い回答
透明性 回答の根拠が不明瞭 情報源を明示可能

従来のLLMは、学習時に得た知識のみで回答を生成していました。そのため、知識の範囲が限定され、新しい情報への対応が遅く、幻覚が発生しやすいという問題がありました。
RAGでは、外部知識ベースを利用することで、LLMが常に最新の情報にアクセスできるようになり、より正確で信頼性の高い回答を生成できるようになりました。 また、回答の根拠となる情報源を明示することができるため、透明性も向上します。

技術や手法のキモはどこ?

RAGは、Retriever(検索器)、Generator(生成器)、Augmentation methods(拡張手法) の3つの主要コンポーネントで構成されています。

  1. Retriever(検索器)
    • ユーザーの質問に対して、外部知識ベースから関連する文書を検索する役割を担います。
    • BM25、DPR、ColBERTなどの検索アルゴリズムが用いられます。
  2. Generator(生成器)
    • Retrieverによって取得された文書とユーザーの質問を組み合わせて、自然で流暢な文章を生成する役割を担います。
    • 従来の言語モデルと同様の技術が用いられますが、RAGでは検索された文書の内容を反映した文章生成が求められます。
  3. Augmentation methods(拡張手法)
    • 検索された文書をどのようにLLMの入力として活用するかを調整する役割を担います。
    • 例えば、文書を要約したり、質問に関連する部分のみを選択したりする手法があります。

RAGには、これらのコンポーネントをどのように組み合わせるかによって、Naive RAG, Advanced RAG, Modular RAG の3つの主要なパラダイムが存在します。

パラダイム 特徴 利点 欠点
Naive RAG RetrieverとGeneratorを単純に組み合わせたもの。 * シンプルな構造で実装が容易
* 既存のRetrieverとGeneratorをそのまま利用できる
* Retrieverが適切な文書を検索できない場合、回答の精度が低下する
* Generatorが検索された文書を効果的に利用できない場合、回答の質が低下する
Advanced RAG Naive RAGの課題を解決するために、RetrieverやGeneratorを改良したり、Augmentation methodsを導入したりしたもの。 * Naive RAGと比較して、回答の精度と質が向上する
* より複雑な質問にも対応できる
* Naive RAGよりも実装が複雑になる
* 計算コストが増加する可能性がある
Modular RAG Naive RAGやAdvanced RAGの枠組みを超えて、より柔軟なモジュール構成を可能にしたもの。 * 非常に柔軟性が高く、さまざまなタスクやドメインに適用できる
* 他の技術と容易に統合できる
* システムが複雑になる可能性がある
* モジュール間の調整が難しい場合がある

(追加調査)

それぞれのパラダイムの代表的な論文は以下になります。

パラダイム 論文名 概要
Naive RAG Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks [Lewis et al., 2020] RAG という用語が初めて登場した論文です。事前学習済み Retriever と事前学習済み seq2seq model (generator) を組み合わせ、End-to-End でファインチューニングを行うことで、より解釈可能でモジュール化された方法で知識を獲得する手法を提案しました。
Advanced RAG REALM: Retrieval-Augmented Language Model Pre-Training [Arora et al., 2023] Pre-trained Language Models (PTMs) のオープンQAにおけるパフォーマンスを、事前学習段階でRetrieval methodsを用いることで向上させる手法を提案しています。
^ Improving Language Models by Retrieving from Trillions of Tokens [Borgeaud et al., 2022] 自己回帰型言語モデルの事前学習に retrieval augmentation を活用することで、大規模なラベル付きデータからの検索を可能にし、モデルパラメータを大幅に削減しながら、ゼロから大規模な事前学習を実現する手法を提案しています。
^ Few-Shot Learning with Retrieval Augmented Language Models [Izacard et al., 2022] 事前学習とファインチューニングの両方の段階で retrieval mechanism を組み込んだ手法を提案しています。
Modular RAG KnowledgeGPT: Enhancing Large Language Models with Retrieval and Storage Access on Knowledge Bases [Wang et al., 2023c] コード形式で知識ベース (KB) の検索クエリを生成し、事前定義された KB 操作関数を組み込んだ手法を提案しています。

どうやって有効だと検証した?

多くの研究において、RAGが従来のLLMと比較して、回答の正確性、信頼性、透明性を向上させることが示されています。 例えば、質問応答タスクにおいて、RAGを用いることで、LLMがより正確な回答を生成し、幻覚を抑制できることが実証されています。

議論はある?

RAGは有望な技術ですが、いくつかの課題も残されています。

課題 詳細
検索の精度 Retrieverが適切な文書を検索できない場合、RAGの効果は限定的になります。
計算コスト 外部知識ベースの検索には計算コストがかかります。
知識ベースの更新 外部知識ベースを最新の状態に保つ必要があります。
長文コンテキストの処理 LLMのコンテキストウィンドウの制限により、長文の処理が難しい。
RAGの頑健性 ノイズや誤った情報を含む文書への対応が課題。
RAGとファインチューニングの相乗効果
RAGのエンジニアリング 大規模知識ベースにおける検索効率や文書再現率の向上、企業データのセキュリティ確保などが課題。

次に読むべき論文は?

  1. Retrieval-based Language Models and Applications [Asai et al., 2023a]
    • RAGの基礎から応用までを幅広く解説した論文です。
  2. Trends in Integration of Knowledge and Large Language Models [Feng et al., 2023b]
    • LLMと知識を統合する手法を体系的にレビューした論文です。
  3. Large Language Models for Information Retrieval [Zhu et al., 2023]
    • 情報検索におけるLLMの活用に関するサーベイ論文です。

所感

  • サーベイ論文でも落合陽一先生風の読解はできた。
  • サーベイ論文の読解だったので、次に読むべき論文もサーベイのものが主となっている。最新技術を知るためにも、パラダイムごとの代表的な論文を読み進めた方が良さそう。

参考文献

  • Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks [Lewis et al., 2020]
  • Retrieval-based Language Models and Applications [Asai et al., 2023a]
  • Trends in Integration of Knowledge and Large Language Models [Feng et al., 2023b]
  • Large Language Models for Information Retrieval [Zhu et al., 2023]
  • RAGAS: Automated Evaluation of Retrieval Augmented Generation [Es et al., 2023]
  • ARES: An Automated Evaluation Framework for Retrieval-Augmented Generation Systems [Saad-Falcon et al., 2023]
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