はじめに
本記事では、転職面接先で活用されている「Databricks」および「Lakehouseアーキテクチャ」について、
その概要や特徴をまとめています。
Databricksとは
Databricksは、Apache Sparkの創始者たちによって設立された企業であり、
ビッグデータ分析、機械学習、データエンジニアリングを統合的にサポートするクラウドベースのプラットフォームを提供しています。
主な特徴:
- Apache Sparkをベースにした高速分散処理エンジン
- ノートブックベースでのコラボレーション
- データエンジニア、データサイエンティスト、ビジネスアナリストが同一環境で作業可能
- クラウド環境(Azure、AWS、GCP)で利用可能
Databricksの主なメリット
1. オールインワンなデータ&AIプラットフォーム
- データエンジニアリング、データサイエンス、機械学習、BI分析まで一貫して対応。
- ノートブック(Python/SQL/Scala/R)を共有しながらチームで開発可能。
2. Delta Lakeによる高性能・高信頼性
- ACIDトランザクション対応のストレージレイヤー。
- タイムトラベルやスキーマエボリューションが可能。
- 圧縮・インデックス・最適化(Z-Ordering)による高速クエリ実行。
3. マルチクラウド対応
- AWS、Azure、GCPの各クラウドに対応。
- クラウドロックインを避け、同一のUI/UXを提供。
4. 機械学習やガバナンス機能が充実
- MLflowによるMLライフサイクル管理。
- Unity Catalogによるカタログ・ガバナンス管理。
DatabricksとAWS/GCPネイティブサービスとの違い
項目 | Databricks | AWS (Redshift, EMR, SageMaker) | GCP (BigQuery, Vertex AI, Dataflow) |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Lakehouse(データレイク+DWH) | DWH+ETL個別構成 | DWH中心、サービス分離 |
分析統合性 | ノートブック、ML、ETL一体化 | 分離構成 | 分離構成 |
分散処理 | Apache Spark | EMR (Spark), Glue等 | Dataflow, Beam等 |
マルチクラウド対応 | ✔️ | ❌ AWS専用 | ❌ GCP専用 |
MLライフサイクル | MLflow標準搭載 | SageMaker等を組み合わせ | Vertex AI |
カタログ・ガバナンス | Unity Catalog | Glue Data Catalog等 | Data Catalog等 |
どんなケースにDatabricksが有効か?
シナリオ | Databricksの強み |
---|---|
データとAIを一体で扱いたい | ノートブック + Spark + MLflow による統合開発 |
非構造化データも扱いたい | Delta Lake による柔軟なデータ管理 |
チーム開発で分析基盤を構築したい | ノートブック共有、ガバナンス設計 |
将来的にクラウド移行の可能性がある | マルチクラウド対応の柔軟性 |
Lakehouseとは
Lakehouseは、データレイクの柔軟性とデータウェアハウスの構造化・トランザクション処理能力を組み合わせた新しいアーキテクチャです。
従来の課題:
- データレイクは柔軟だがデータ品質管理が困難
- DWHは構造化されているがコストやスケーラビリティに課題
Lakehouseの利点:
- 構造化・非構造化データの統合管理
- ACIDトランザクションによる信頼性
- バッチ処理とストリーム処理の統合
Databricks Lakehouse Platformの活用事例
Databricksを基盤とするLakehouseアーキテクチャは、以下のような業務に活用されています。
- ETL/ELTパイプラインの構築と自動化
- 機械学習モデルのトレーニングとデプロイ
- BIツールへのデータ提供(Tableau, Power BI など)
- クラウド移行やレガシーDWHからのマイグレーション
[個人的メモ]BigQueryからLakehouseへの移行: メリット・デメリットと移行手順
移行のメリット
- 柔軟性の向上: 構造化データと非構造化データの統合が容易で、様々な分析ニーズに対応可能。
- リアルタイム性の向上: ストリーミングデータ処理やバッチ処理を同一プラットフォーム上でシームレスに実行可能。
- コスト効率の改善: クラウドストレージ上で動作し、ストレージとコンピュートを分離できるため、運用コストの最適化が可能。
- 機械学習・AIとの統合性: ノートブックやMLflowなどを活用して機械学習の開発・運用が容易に行える。
移行のデメリット・課題
- 学習コスト: DatabricksやSpark、Delta Lakeといった新たな技術スタックの習得が必要。
- 既存ワークロードの移行コスト: SQLやBIレポートの修正が必要な場合がある。
- セキュリティ設計の見直し: GCPのIAMとDatabricksのアクセス制御の違いを理解し、再設計が必要になる場合がある。
移行手順(例)
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現行環境の棚卸し
- BigQuery上のデータセット、テーブル、ビュー、スクリプト、BIツール連携などを整理。
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移行計画の策定
- ワークロードの優先度付け、対象スキーマの定義、スケジュールとリソース確保。
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Databricks環境の構築
- クラウド(Azure/AWS/GCP)上でDatabricksワークスペースを構築。
- Unity CatalogやDelta Lakeなどの基盤技術を設定。
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データ移行
- BigQueryからParquet形式やCSV形式でデータをエクスポートし、クラウドストレージ経由でインポート。
- Deltaテーブルとして再構築。
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パイプラインと処理ロジックの移行
- ETL/ELTジョブをSpark、dbt、Airflowなどで再実装。
- データ品質や依存関係をテスト。
-
BIツールとの連携確認
- TableauやPower BIなどのデータソース設定をDatabricksに切り替え。
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ユーザートレーニング・内製化支援
- 新しいデータ基盤に関する社内トレーニングを実施。