はじめに

本記事では、Pythonの基本的なデータ構造について、実際のコードや使い分けの観点を交えてまとめています。
「なぜ list は append() なのに set は add() なのか？」といった素朴な疑問にも答えます。

📦 Pythonの基本データ構造一覧

データ構造	説明	特徴	例	主な用途
`list`（リスト）	順序ありの配列	重複OK、変更可	`[1, 2, 3]`	順番通りのデータ保持
`tuple`（タプル）	順序ありの配列（変更不可）	重複OK、変更不可	`(1, 2, 3)`	定数の集まり、辞書のキーなど
`set`（集合）	順序なし、重複なし	重複NG、変更可	`{1, 2, 3}`	重複排除、集合演算
`dict`（辞書）	キーと値のペア	順序あり（Python 3.7以降）	`{"a": 1, "b": 2}`	データのマッピング
`deque`（双方向キュー）	両端から操作可能なリスト	高速なpop/append操作	`deque([1, 2, 3])`	スタック・キュー実装

🧠 メソッドの違い：`append()` と `add()`

# listの場合
l = []
l.append(1)  # OK

# setの場合
s = set()
s.add(1)     # OK
# s.append(2)  # エラー: 'set' object has no attribute 'append'

list.append()：順序を持った末尾に追加（重複OK）
- append は「後ろにくっつける」という英語の意味
set.add()：集合に追加（重複NG）
- setは順序なし・重複なし
- 要素を「どこに」追加するかは意味を持たず、集合に「含まれるか否か」が重要
- add は「集合に要素を加える」という英語の一般的な意味

🧰 スタックとキューの実装

スタック（後入れ先出し）

stack = []
stack.append(10)
stack.append(20)
print(stack.pop())  # 20

キュー（先入れ先出し）

from collections import deque
queue = deque()
queue.append(10)
queue.append(20)
print(queue.popleft())  # 10

🎯 演習問題と解法

問題：リストから重複を除き、元の順序を保ったまま出力せよ

入力例

words = ["apple", "banana", "apple", "orange", "banana"]

出力例

["apple", "banana", "orange"]

解法1：set + listで順序保持

def filter_unique(seq):
    seen = set()
    result = []
    for item in seq:
        if item not in seen:
            result.append(item)
            seen.add(item)
    return result

words = ["apple", "banana", "apple", "orange", "banana"]
print(filter_unique(words))

🧵 まとめ：どれを使うべきか？

目的	選ぶ構造
順序付き＋重複あり	list
順序付き＋変更不可	tuple
重複なし	set
キーと値の組み合わせ	dict
高速なpop/append	deque

🔚 おわりに

本記事ではPythonのデータ構造の基本と使い分けについて解説しました。