はじめに
- SDGsとかESGとか色々言われておりますが、一人ひとりが地球環境のためにできることをやっていきたいものですよね。
- こういった取り組みが企業の評価に直結するようになった昨今、エンジニアとしてもできることはあるはずです。
- というわけで、本記事ではvSphere DPM (Distributed Power Management) の機能を使うことでエコなVMware vSphere環境を作る方法ご紹介します。
vSphere DPM (Distributed Power Management) とは
- 簡単にいうと、vSphereクラスタのリソースが余っていると自動的に仮想マシンをvMotionで寄せて、空いたESXiホストをパワーオフしてくれる機能です。
- リソースが不足しそうになった場合は自動的にパワーオフされているESXiホストをパワーオンし、仮想マシンをvMotionして戻してくれるので安心です。
- この機能を有効にすることで、不要なタイミングだけESXiホストの電源を落として消費電力を抑制することができます。
- 公式ドキュメントを引用すると以下の通り。
vSphere DPM は、クラスタにあるすべての仮想マシンのメモリ リソース、および CPU リソースの度重なる需要を監視し、この需要と、クラスタのすべてのホストで使用可能なリソース キャパシティの総量とを比較します。余剰キャパシティが十分にある場合、vSphere DPM は 1 台以上のホストをスタンバイ モードにし、それらの仮想マシンを別のホストに移行したあとでパワーオフします。逆に、容量が不足しそうな場合、DRS はホストのスタンバイ モードを終了し (パワーオンし)、vMotion を使用して仮想マシンをそれらのホストに移行します。これらの計算を行う場合、vSphere DPM は現在の需要だけではなく、ユーザーが指定した仮想マシンのリソース予約についても考慮します。
最適なのはVDI環境
- vSphere DPMによる電力削減の効果が高い環境はどんな環境なのかを考えてみます。
- 「電力削減の効果が高い環境=vSphere DPMがよく機能する」と考えると、リソースの需要の波が大きい環境や、需要が低い時間帯が長い環境で効果が高そうです。
- VDI環境は朝から夕方にかけてが需要のピークで、深夜から早朝にかけては極端に使用率が下がる特性があります。まさに、vSphere DPMを使うべき環境といえます。
vSAN環境で使えないのは要注意
- vSphere DPMは、ESXiホストのリソース使用状況を見て、必要ないESXiホストをシャットダウンしてくれるものなので、ESXiホストがストレージリソースを共有しているvSANなどのHCI環境では使えない点は要注意です。
- 勝手にESXiホストが落ちてしまうと、使用可能なストレージ容量が一時的に減ってしまったり、最悪の場合はデータの可用性を維持できずに特定のデータにアクセスが出来なくなってしまいます。
- vSphere DPMを使うのは3Tier構成だけにしましょう。
まとめ
- vSphere DPMを使うことで、電力消費量を抑えたエコなVMware vSphere環境を作ることができます。
- 特に適しているのが昼夜でリソースの需要差が激しいVDI環境で、vSANなどのHCI環境では使えない点は要注意です。
- エンジニアとして設計を見直すだけで企業のSDGs/ESGな取り組みに貢献でき、絶賛値上がり中の電気代削減にも貢献でき、良いことしかない!