はじめに
こんにちは!QAエンジニアの青海(せいがい)です。
atama plus Advent Calendar 2023 24日目の記事です。
2022年10月にatama plusに入社し、前職ではテスト専門の第三者検証に約4年勤めていました。今回は第三者検証会社と事業会社(atama plus)で私が体験した共通点や違いについて書こうと思います。
この文章はどんな人向け
- 第三者検証に興味がある方
- 第三者検証から事業会社のQAエンジニアに挑戦したい方
- 事業会社でQAエンジニアとして働いている方
そもそも第三者検証会社とは
第三者検証会社という言葉を初めて聞く方もいると思うので私なりに説明しますと、
「他社のプロダクトを第三者の視点から対象システムを客観的に検証・評価を請け負うサービスを提供している会社」です。
最近では「テスト専門会社」または「テスト会社」と呼ぶことが多いです。
第三者検証会社で何をしてきたか
私は未経験で第三者検証に入社し、約4年勤めていました。主に検証したシステムや業務内容は下記の通りです。
- 検証したシステム
- ECサイトの受発注/注文管理/在庫管理などの基幹システム
- 倉庫管理システム(WMS)
- 配送管理システム(TMS)
- 店舗POSシステム
- 勤怠管理システム
- 業務内容
- テスト
- テスト設計実施/レビュー
- 不具合報告
- 不具合分析
- テストプロセス改善
- プロジェクトマネジメント(キャリアのほとんどはPMでした。)
- 進捗管理
- メンバー管理
- 顧客折衝
クライアントによって働き方は様々で指示されたタスクを黙々とこなすような現場もあれば、仕様決めやタスクを自ら生み出し業務を任せていただける現場もありました。
atama plusのQAエンジニアでは何をしているか
atama plusでは塾向けに提供しているプロダクトを検証しています。QAエンジニアの部署に所属しつつ、スクラムチームのQAとして下記の業務をしております。QA部署の業務は一部役割分担をしており、私が担当している業務を記載しています。
- QA部署
- 品質戦略やリリースプロセスの検討
- 不具合調査
- 不具合分析
- テストプロセスの検討・構築
- スクラムチーム
- チームのスクラムイベント参加
- 仕様検討
- テスト設計実施
- E2E自動テスト実装
atama plusのE2E自動化の取り組みは 、@ikegagagamiさんの開発プロセス内でPlaywrightを活用して自動化を進めている話が参考になるので、こちらを御覧ください!
第三者検証と事業会社のQAエンジニアの共通点と違い
第三者検証と事業会社のQAエンジニアの共通点や違いについて書きます。
前提として第三者検証はクライアントの体制や契約によって異なるので、全てがここに書いてある通りではないです。また事業会社はatama plusのQAエンジニアをしていて気づいた私個人の体験談を書いています。
共通点
プロダクト・サービスの品質に対する責任感
ここは第三者検証・事業会社に限らず、QAエンジニアとして持っておくべき素養に近いので割愛しますね(笑)
主体的な行動
第三者検証は受け身の人が多いと思っている方には意外な共通点だと思います。私個人としては第三者検証のQA・テストエンジニアでも主体的な方は多いと思います。むしろ主体性が強く求められる/必要とされる機会が多くあります。
第三者検証で働いていたときは、クライアントからの信頼を獲得することで、自社の利益を拡大するミッションを持っていました。クライアントから言われた通りに業務をしているだけでは、お客様の期待する以上の価値を提供できず、増員や単価アップなど自社の利益を拡大することができません。(期待水準を達成しているだけでは、案件継続できない場合さえもあります。)
また提案に関わらないメンバークラスであっても、PMに言われたことをこなしているだけではクライアントや社内から評価されず、自身のさらなる成長につながる仕事の機会が得づらいと実感していました。なので、どのような立場にいたとしても、主体性は必要だと思います。
事業会社のQAエンジニアは、後述しますがテストフェーズだけでなく、プロダクト品質や開発プロセス全体の品質も見ていく必要があります。そのため業務範囲はここまでと決めず、主体的にあらゆる活動に関わっていくことが必要だと思っています。
相違点
プロジェクトについて
第三者検証は単発の新規開発案件が多いです。リリース後も長期間同じ案件で機能追加などを検証することもありますが、プロダクトがリリースされれば別プロジェクトに移動となることが多いです。 そのため色んなプロダクトの検証を経験できます。
事業会社は社内のプロダクトやサービスに長く関わることができます。新機能のテストでも既存仕様のどこに影響があるか、他機能と矛盾が無いかを考えることが多いです。利用するお客様の反応を見て機能改善を提案して、プロダクト改善することもできるのが大きな特徴です。
第三者検証のように色んなプロダクトを検証できるのは刺激的で楽しいですし、事業会社のQAとして開発チームの中で一緒にプロダクトを磨き込めるのも魅力だと思います。
プロダクトについて
契約や体制でも大きく変わりますが、働いていて品質保証範囲に違いがあると思っています。
- 第三者検証:開発~リリースまでのリリース対象物が品質保証範囲
- 事業会社:プロダクト、プロセス含めた全てが品質保証範囲
第三者検証では要件定義など企画段階から参画することは少なく、仕様がある程度決まった段階からテスト設計し、期間内にテストで不具合を見つけてリリースできるかどうか品質保証することが多い印象です。もちろん仕様検討や仕様書インスペクションなどの上流工程から入る案件もありますが、全体としては少数かなと思います。
事業会社のQAエンジニアでは、プロダクトの品質戦略を考えたり、要件検討から参画してエンジニアやUXデザイナーと仕様検討したり、新機能のリリースプロセスや運用も考えることもあり、テストフェーズ以外も業務範囲になります。スクラムチームの開発生産性を上げるなど、開発プロセスそのものについて業務範囲になるのも大きな特徴だと思います。
エンジニアとの距離
atama plusでQAエンジニアをしていて、エンジニアとの距離が近くなったなと思います。第三者検証だとテストは同じ会社のメンバーですが、エンジニアはクライアントの社員または別ベンダーの方となります。
テストスコープやテスト方法についてエンジニアと相談するにも「それを考えるのがテストのプロでしょ!?」という方もいらっしゃり、距離を感じることがありました。
いまではエンジニアにお困りごとを気軽に相談しやすく、エンジニアからも仕様や不具合の再現方法についてQAと協力することも多く、1つの大きな開発チームとしてプロダクトの品質向上に取り組めるのは大きな魅力だと思います。
atama plusのQAエンジニアに転職してみて
私は未経験から第三者検証会社に入社しましたが、最初は第三者検証で良かったと思っています。体系的なテスト設計や過去事例の豊富なナレッジも学べるのは第三者検証だからこそできたことだと思います。色んなプロダクトを検証できるのは楽しかったですし、クリティカルな不具合を早期に見つけクライアントに感謝されることもあり、やりがいを感じてました。しかし、テストでいくら不具合を見つけても上流で不具合の発生を防ぐ取り組みをしないと、プロダクトを品質向上するには限界があるなという葛藤もあり転職しました。
atama plusで働いて仕様検討から入り、自分が提案した仕様がリリースされてユーザーに利用していただくのは、第三者検証だとなかなか経験できないことだと思います。テスト以外で品質に対する活動の幅が広がり難しい部分もありつつ、チーム一丸となってプロダクトを育てるのは面白いですね!
今後はテストだけでなく、プロダクトをさらにブラッシュアップできるように、チームへの貢献や開発の知識も身につけて活動の幅をさらに広げていきたいと考えています!
最後に
私自身のatama plusに入社して、感じたことを書いてみました。この記事が第三者検証か事業会社のどちらでQAエンジニアになるか迷っている方の参考に少しでもなれば嬉しいです。
明日は@kumewataさんによる「Prod -> SREチームに移動して感じたこととチーム紹介」です。
ぜひ御覧ください!