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バーチャルリアリティ学 第1章 学習メモ

Last updated at Posted at 2022-07-01

本記事は、私が VR技術者認定試験 に向けて バーチャルリアリティ学 を学習するために作成したメモです。
解説を目的とはしておりませんので、書籍を読んでいないとよくわからない点も多々あるかと思います。なにとぞご了承ください。

バーチャルリアリティ学 学習メモシリーズ

1.1 バーチャルリアリティとは何か

1.1.1 バーチャルの意味

virtue(バーチュー)とは

物には 表面的 な部分と 本質的 な部分があって、 本質的 の方が virtue

virtual(バーチャル)とは

  • virtue の形容詞
  • virtual表面的にはそうではないが本質的にはそうである という意味
  • existing in essence or effect though not in actual fact or form.
  • 反意語は nominal(名目上の)

例: virtual money

  • コインや紙幣の見た目をしていないが実質的にお金
  • 「実際は存在しない想像上のお金」ではない

とは

  • virtual と訳す風潮がかつてあった。(今はない)
    • 例: real image(実像)とvirtual image(虚像)
  • imaginary に対応する訳語
    • 例: real number(実数)とimaginary number(虚数)
  • imaginary とは、「空想上の」という意味
  • virtual

仮想 とは

  • virtual仮想 と訳す風潮がある。
    • 例: virtual money(仮想通貨)
    • 例: virtual memory(仮想記憶)
  • 仮想 とは、「仮に想定した」という意味
  • virtual仮想
    • 例: 仮想敵国 supposed enemy(本当は敵じゃないけど)仮に敵と想定した国 というニュアンス。
    • 例: virtual enemy(表面上は敵じゃないけど)本質的には敵 というニュアンス
    • 意味が真逆になってしまい、不要な争いにつながるリスクがある。

1.1.2 バーチャルリアリティとその三要素

本質 は目的で異なる

例: バーチャルヘリコプター

  • ヘリコプターの操縦トレーニングが目的
    • フライトシミュレーターがバーチャルヘリコプター
  • ヘリコプターでの遊覧飛行が目的
    • 遊覧飛行ゲームマシンがバーチャルヘリコプター

バーチャルリアリティの三要素

以下の三要素をすべて兼ね備えているのが、理想的なバーチャルリアリティ

  • 3次元の空間性
    • 立体的な視覚空間・聴覚空間が人間の周りに広がること
    • 例: 3D映画
  • 実時間の相互作用性
    • 物体の後ろに回り込んだり、動かしたりできること
    • 例: コンピューターゲーム
  • 自己投射性
    • 体性感覚や前提感覚等、さまざまな感覚と矛盾がないこと

1.1.3 バーチャルリアリティと人間の認知機構

人間は、視覚・聴覚・触覚等の感覚器を介してて現実を捉えている。
これは、カントが 悟性のアプリオリな形式 と呼んだ、人間の認知機構により、現象を認識しているにすぎず、物自体を認識しているわけではない。
感覚器のフィルターを介すため、現実そのものよりも情報量は減っている。
- 例: 視覚が検出する電磁波の波長は 0.38~0.78μm (380~780nm)
- 例: 聴覚が検出する振動の周波数は 20~20,000Hz (20Hz~20kHz)
VRの三要素を駆使すれば、現前しているのと同等の効果を引き起こしうる。

アプリオリ(a priori)

ここでの アプリオリ は、カント哲学の用語で、 経験に先立つ先天的な 生得的な 先験的な のような意味。

アポステリオリ(a posteriori)

アポステリオリ は、 アプリオリ の反意語。
経験に基づく後天的な 非生得的な 後験的な のような意味。

1.1.4 バーチャルリアリティの概念と日本語訳

バーチャルリアリティの概念

virtual は欧米の概念であり、東洋(日本・中国)には virtual という概念がまったく存在しなかった。
そのため、 仮想 のような、誤解を招きやすい訳語を使わざるを得なかった。
しかし、 仮想 は、 virtual と逆の意味。
欧米人と virtual について会話する時は、無用の争いを生む可能性があるので、注意が必要。

バーチャルリアリティの日本語訳

日本語で表記したい時は、訳さずに バーチャルリアリティ VR がオススメ
どうしても漢字で表記したい場合は 人工現実感 があるが、これは訳というより作りを表している。

1.1.5 道具としてのバーチャルリアリティ

VRは3Cと3Eのための道具とみなせる。 human tools of 3Cs and 3Es

3Cと3E 和訳
Creation 創造
Control 制御
Communication 通信
Elucidation 解明
Education 教育
Entertainment 娯楽

1.2 VRの要素と構成

1.2.1 VRの基本構成要素

※mermaidで作図しているため、教科書とレイアウトが違います

操作と感覚の ループ によって現実感を感じる。

ディスプレイ

  • ディスプレイ とは 出力システム のこと。
  • システムから見ると 出力 だが、ユーザーから見ると 感覚入力
  • 視覚刺激だけでなく、全感覚レンジに ディスプレイ という言葉をVR学では使う。

1.2.2 VR世界のいろいろ

テレイグジスタンス

※mermaidで作図しているため、教科書とレイアウトが違います

1.2.3 VRをどうとらえるか

VRのとらえ方は、様々なものがある。

AIPキューブ でVRをとらえる

MIT Media Lab D.Zeltzer 氏が提唱したAIPキューブは以下の3つの軸を持つ。

  • Autonomy(自律性)
  • Interaction(対話性)
  • Presence(臨場感)

(A,I,P) のように座標値で表現する。

例:

  • オムニマックスシアター(全天周シアター)は (0,0,1)
  • TVゲームは (0.5,0.5,0.5)

image.png
※引用: ResearchGate / The-AIP-Cube-from-Zelt92

現状のメディア技術とVRとの間の位置付けを論じる上で、有効。

ヒューマンインターフェースの観点でVRをとらえる

従来の(VR以外の)ヒューマンインターフェース

  • システムとユーザーの関係は 対面的
  • ユーザが第三人称的にシステムを眺める。
  • 恣意的な決まりごとがある。
    • 例: シングルクリックでファイルを選択、ダブルクリックでファイルを開く
    • 例: □ボタンでパンチ、✕ボタンでキック

VRのヒューマンインターフェース

  • VRの世界とユーザーの関係は 包含的
  • VRは第一人称体験
  • 恣意的な決まりごとが極小化されている。
  • 身体運動 との 相似性 が高い。

1.3 VRの歴史

1万8000年前 ラスコー洞窟の壁画

  • 人類最古の壁画
  • 祭祀用の儀式に使われた

image.png
※引用: Wikipedia / ラスコー洞窟

18~19世紀 パノラマの時代

1787年~1863年 Robert Barker 氏の全天周絵画

  • まるで丘の頂上から街を眺めているかのような体験
  • 円筒形の壁面の内側に描かれた巨大な絵画
  • コンテンツはさまざまだが、有名なのは「エジンバラの風景」(カルトン・ヒルの頂上からの眺め)
  • 鑑賞者はシアター中央の展望台から鑑賞
  • 360°すべての方向に絵があることで、元の光景を再現する試み

image.png
※引用: Wikipedia / Panorama

1900年 Mareorama

  • まるで船の甲板にいるような体験を楽しむ娯楽アトラクション
  • ロール式の絵を巻き取りながら動かし、動きを表現する ムービングパノラマ
  • ピッチング・ローリングの動きを伴う客船型の観覧台
  • 送風機による潮の香り
  • 照明による太陽の動き
  • パノラマ最後の技術開発と言われている(この後、映写機の登場によって、パノラマは衰退)

image.png
※引用: Wikipedia / Mareorama

1960年代 コンピューターを用いたVRが登場

1963年 M.Heilig 氏の SEN-SORAMA

  • 街中をバイクで走り回る体感ゲーム
  • ディスプレイに立体映像
  • 椅子が振動する
  • ファンで顔へ風を当てる
  • 風景に合わせた臭いを提示

image.png
※引用: Wikipedia / センソラマ

1967年 North Carolina大学 Project GROPE

  • CG映像に触るというコンセプト
  • マスターアームを力覚フィードバックとして用いた。

image.png
※引用: ResearchGate / GROPE-HI-haptic-display-system-in-use

1968年 I.Sutherland 氏の Ultimate Display

  • 最初のHMD
  • ハーフミラーを利用した光学シースルー。
  • ポリゴンではなく線画。
  • 機械式 リンク機構で頭部の回転を測定。
    • 自分の向いている方向の映像を見ることができた。

image.png
※引用: ResearchGate / The-worlds-first-head-mounted-display-with-the-Sword-of-Damocles-Sutherland-1968

1969年 M.Krueger 氏の METAPLAY

  • インタラクティブアート という概念の提唱。
  • 鑑賞者の姿をビデオカメラで撮影し、映像作品に反映させる。

image.png
※引用: Myron Krueger Biography:

1980年代 航空宇宙分野・ロボット分野で発展

1981年 MIT MediaLab N.Negroponte 氏の MediaRoom

  • 空間型インターフェースの概念の提唱。
  • 部屋全体がコンピューター端末。
  • 壁面スクリーンを音声・ジェスチャー等で操作。

image.png
※引用: Dataland: the MIT's '70s media room concept that influenced the Mac

1982年 機械技術研究所 舘暲 氏らの TELESAR (テレサ)

  • テレイグジスタンス の概念の提唱。
  • マスタースレーブ型ロボット。
  • スレーブロボットの視覚・力覚をマスター側の操縦者にフィードバック。

image.png
※引用: テレイグジスタンスロボット「TELESAR」

1983年 米国海軍海洋システムセンター J.D.Hightower 氏の Greenman

  • テレプレゼンスロボット
  • エグゾスケルトン型のデザインを操縦者が装着
  • 立体視映像や力覚フィードバックを伴った直接操作

Greenman-teleoperator-x640.jpg
※引用: 1983-88 – “GREENMAN” TELEOPERATOR – SMITH & ARMOGIDA (AMERICAN)

1982年 米国空軍 T.Furness 氏の VCASS

  • ヘルメット型HMD
  • 戦闘機用コクピットのVR

image.png
image.png
※引用: The Complete History of VR – Part 5: Exploring The Uses of VR

1985年 NASA M.McGreevy S.Fisher 氏の Virtual Environment

  • 宇宙船内のコクピットの設計
  • HMD
  • データグローブ
  • 3次元音響

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※引用: Time Machines: NASA goes virtual at CES

さいごに

本記事作成にあたり以下のページを参考にさせていただきました。ありがとうございました!

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