本記事は、私が VR技術者認定試験 に向けて バーチャルリアリティ学 を学習するために作成したメモです。
解説を目的とはしておりませんので、書籍を読んでいないとよくわからない点も多々あるかと思います。なにとぞご了承ください。
バーチャルリアリティ学 学習メモシリーズ
- バーチャルリアリティ学 第1章 学習メモ ← 本記事
- バーチャルリアリティ学 第2章 学習メモ
- バーチャルリアリティ学 第3章 学習メモ
- バーチャルリアリティ学 第4章 学習メモ
1.1 バーチャルリアリティとは何か
1.1.1 バーチャルの意味
virtue(バーチュー)とは
物には 表面的 な部分と 本質的 な部分があって、 本質的 の方が virtue
virtual(バーチャル)とは
-
virtueの形容詞 -
virtualは表面的にはそうではないが本質的にはそうであるという意味 - existing in
essenceor effect though not in actual fact or form. - 反意語は
nominal(名目上の)
例: virtual money
- コインや紙幣の見た目をしていないが実質的にお金
- 「実際は存在しない想像上のお金」ではない
虚 とは
-
virtualを虚と訳す風潮がかつてあった。(今はない)- 例:
real image(実像)とvirtual image(虚像)
- 例:
-
虚はimaginaryに対応する訳語- 例:
real number(実数)とimaginary number(虚数)
- 例:
-
imaginaryとは、「空想上の」という意味 -
virtual≠虚
仮想 とは
-
virtualを仮想と訳す風潮がある。- 例:
virtual money(仮想通貨) - 例:
virtual memory(仮想記憶)
- 例:
-
仮想とは、「仮に想定した」という意味 -
virtual≠仮想- 例:
仮想敵国supposed enemyは(本当は敵じゃないけど)仮に敵と想定した国というニュアンス。 - 例:
virtual enemyは(表面上は敵じゃないけど)本質的には敵というニュアンス - 意味が真逆になってしまい、不要な争いにつながるリスクがある。
- 例:
1.1.2 バーチャルリアリティとその三要素
本質 は目的で異なる
例: バーチャルヘリコプター
- ヘリコプターの操縦トレーニングが目的
- フライトシミュレーターがバーチャルヘリコプター
- ヘリコプターでの遊覧飛行が目的
- 遊覧飛行ゲームマシンがバーチャルヘリコプター
バーチャルリアリティの三要素
以下の三要素をすべて兼ね備えているのが、理想的なバーチャルリアリティ
- 3次元の空間性
- 立体的な視覚空間・聴覚空間が人間の周りに広がること
- 例: 3D映画
- 実時間の相互作用性
- 物体の後ろに回り込んだり、動かしたりできること
- 例: コンピューターゲーム
- 自己投射性
- 体性感覚や前提感覚等、さまざまな感覚と矛盾がないこと
1.1.3 バーチャルリアリティと人間の認知機構
人間は、視覚・聴覚・触覚等の感覚器を介してて現実を捉えている。
これは、カントが 悟性のアプリオリな形式 と呼んだ、人間の認知機構により、現象を認識しているにすぎず、物自体を認識しているわけではない。
感覚器のフィルターを介すため、現実そのものよりも情報量は減っている。
- 例: 視覚が検出する電磁波の波長は 0.38~0.78μm (380~780nm)
- 例: 聴覚が検出する振動の周波数は 20~20,000Hz (20Hz~20kHz)
VRの三要素を駆使すれば、現前しているのと同等の効果を引き起こしうる。
アプリオリ(a priori)
ここでの アプリオリ は、カント哲学の用語で、 経験に先立つ先天的な 生得的な 先験的な のような意味。
アポステリオリ(a posteriori)
アポステリオリ は、 アプリオリ の反意語。
経験に基づく後天的な 非生得的な 後験的な のような意味。
1.1.4 バーチャルリアリティの概念と日本語訳
バーチャルリアリティの概念
virtual は欧米の概念であり、東洋(日本・中国)には virtual という概念がまったく存在しなかった。
そのため、 虚 や 仮想 のような、誤解を招きやすい訳語を使わざるを得なかった。
しかし、 虚 や 仮想 は、 virtual と逆の意味。
欧米人と virtual について会話する時は、無用の争いを生む可能性があるので、注意が必要。
バーチャルリアリティの日本語訳
日本語で表記したい時は、訳さずに バーチャルリアリティ VR がオススメ
どうしても漢字で表記したい場合は 人工現実感 があるが、これは訳というより作りを表している。
1.1.5 道具としてのバーチャルリアリティ
VRは3Cと3Eのための道具とみなせる。 human tools of 3Cs and 3Es
| 3Cと3E | 和訳 |
|---|---|
| Creation | 創造 |
| Control | 制御 |
| Communication | 通信 |
| Elucidation | 解明 |
| Education | 教育 |
| Entertainment | 娯楽 |
1.2 VRの要素と構成
1.2.1 VRの基本構成要素
※mermaidで作図しているため、教科書とレイアウトが違います
操作と感覚の ループ によって現実感を感じる。
ディスプレイ
-
ディスプレイとは出力システムのこと。 - システムから見ると
出力だが、ユーザーから見ると感覚入力 - 視覚刺激だけでなく、全感覚レンジに
ディスプレイという言葉をVR学では使う。
1.2.2 VR世界のいろいろ
テレイグジスタンス
※mermaidで作図しているため、教科書とレイアウトが違います
1.2.3 VRをどうとらえるか
VRのとらえ方は、様々なものがある。
AIPキューブ でVRをとらえる
MIT Media Lab D.Zeltzer 氏が提唱したAIPキューブは以下の3つの軸を持つ。
- Autonomy(自律性)
- Interaction(対話性)
- Presence(臨場感)
(A,I,P) のように座標値で表現する。
例:
- オムニマックスシアター(全天周シアター)は
(0,0,1) - TVゲームは
(0.5,0.5,0.5)

※引用: ResearchGate / The-AIP-Cube-from-Zelt92
現状のメディア技術とVRとの間の位置付けを論じる上で、有効。
ヒューマンインターフェースの観点でVRをとらえる
従来の(VR以外の)ヒューマンインターフェース
- システムとユーザーの関係は
対面的 - ユーザが第三人称的にシステムを眺める。
- 恣意的な決まりごとがある。
- 例: シングルクリックでファイルを選択、ダブルクリックでファイルを開く
- 例: □ボタンでパンチ、✕ボタンでキック
VRのヒューマンインターフェース
- VRの世界とユーザーの関係は
包含的 - VRは第一人称体験
- 恣意的な決まりごとが極小化されている。
-
身体運動との相似性が高い。
1.3 VRの歴史
1万8000年前 ラスコー洞窟の壁画
- 人類最古の壁画
- 祭祀用の儀式に使われた

※引用: Wikipedia / ラスコー洞窟
18~19世紀 パノラマの時代
1787年~1863年 Robert Barker 氏の全天周絵画
- まるで丘の頂上から街を眺めているかのような体験
- 円筒形の壁面の内側に描かれた巨大な絵画
- コンテンツはさまざまだが、有名なのは「エジンバラの風景」(カルトン・ヒルの頂上からの眺め)
- 鑑賞者はシアター中央の展望台から鑑賞
- 360°すべての方向に絵があることで、元の光景を再現する試み

※引用: Wikipedia / Panorama
1900年 Mareorama
- まるで船の甲板にいるような体験を楽しむ娯楽アトラクション
- ロール式の絵を巻き取りながら動かし、動きを表現する
ムービングパノラマ - ピッチング・ローリングの動きを伴う客船型の観覧台
- 送風機による潮の香り
- 照明による太陽の動き
- パノラマ最後の技術開発と言われている(この後、映写機の登場によって、パノラマは衰退)
1960年代 コンピューターを用いたVRが登場
1963年 M.Heilig 氏の SEN-SORAMA
- 街中をバイクで走り回る体感ゲーム
- ディスプレイに立体映像
- 椅子が振動する
- ファンで顔へ風を当てる
- 風景に合わせた臭いを提示

※引用: Wikipedia / センソラマ
1967年 North Carolina大学 Project GROPE
- CG映像に触るというコンセプト
- マスターアームを力覚フィードバックとして用いた。

※引用: ResearchGate / GROPE-HI-haptic-display-system-in-use
1968年 I.Sutherland 氏の Ultimate Display
- 最初のHMD。
- ハーフミラーを利用した光学シースルー。
- ポリゴンではなく線画。
-
機械式リンク機構で頭部の回転を測定。- 自分の向いている方向の映像を見ることができた。

※引用: ResearchGate / The-worlds-first-head-mounted-display-with-the-Sword-of-Damocles-Sutherland-1968
1969年 M.Krueger 氏の METAPLAY
-
インタラクティブアートという概念の提唱。 - 鑑賞者の姿をビデオカメラで撮影し、映像作品に反映させる。
1980年代 航空宇宙分野・ロボット分野で発展
1981年 MIT MediaLab N.Negroponte 氏の MediaRoom
- 空間型インターフェースの概念の提唱。
- 部屋全体がコンピューター端末。
- 壁面スクリーンを音声・ジェスチャー等で操作。

※引用: Dataland: the MIT's '70s media room concept that influenced the Mac
1982年 機械技術研究所 舘暲 氏らの TELESAR (テレサ)
-
テレイグジスタンスの概念の提唱。 - マスタースレーブ型ロボット。
- スレーブロボットの視覚・力覚をマスター側の操縦者にフィードバック。
1983年 米国海軍海洋システムセンター J.D.Hightower 氏の Greenman
- テレプレゼンスロボット
- エグゾスケルトン型のデザインを操縦者が装着
- 立体視映像や力覚フィードバックを伴った直接操作

※引用: 1983-88 – “GREENMAN” TELEOPERATOR – SMITH & ARMOGIDA (AMERICAN)
1982年 米国空軍 T.Furness 氏の VCASS
- ヘルメット型HMD
- 戦闘機用コクピットのVR


※引用: The Complete History of VR – Part 5: Exploring The Uses of VR
1985年 NASA M.McGreevy S.Fisher 氏の Virtual Environment
- 宇宙船内のコクピットの設計
- HMD
- データグローブ
- 3次元音響

※引用: Time Machines: NASA goes virtual at CES
さいごに
本記事作成にあたり以下のページを参考にさせていただきました。ありがとうございました!


