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STYLYAdvent Calendar 2024

Day 1

なぜ大規模ARオクルージョンにメッシュが必要なのか?

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ARオクルージョンで「メッシュ」が必要になるのはなぜでしょうか?
特に大規模な建物の場合、メッシュがなければ現実とCGの融合に違和感が生じてしまいます。
本記事では、なぜメッシュが重要で、どのように活用すれば効率的にオクルージョンを実現できるのかを解説します。

ARオクルージョンとは?

オクルージョンとは 遮蔽 という意味の英単語で、ARにおいては、実写映像とCGの前後関係の違和感を軽減する技術を指します。

image.png
左がオクルージョン適用例、右が未適用例
図出典 : https://styly.cc/ja/manual/occlusion/

上図の場合、オクルージョンを適用していないARでは、象の足が手前のカラーコーンで隠れていないため、前後関係に強い違和感が発生しています。

それに対しオクルージョンを適用したARでは、 手前のカラーコーンを遮蔽物と認識し、奥にいるゾウの足が隠れています。

このような処理が行われることで、AR体験が一層リアルに感じられます。

2種類のARオクルージョン

ARオクルージョンには、大きく分けて以下の2つの種類があります。

  • 深度センサーを利用したARオクルージョン
  • メッシュを事前準備するARオクルージョン

深度センサーを利用したARオクルージョンとその限界

深度センサーを利用したARオクルージョンとは

たとえば、iPhoneに搭載されたLiDARセンサーのように、カメラの前にある物体の深度(距離)情報をリアルタイムで取得できるセンサーがあります。
これを活用して、CGが現実の物体の後ろに隠れるように処理するのが、 深度センサーを利用したARオクルージョン です。

LiDARセンサー
image.png
図出典 : https://time-space.kddi.com/ict-keywords/20201204/3020.html

この方法には以下のメリットがあります。

  • 即座に周囲の状況を把握するため、 事前のスキャンが不要 です。
  • 形状が変化する対象にも柔軟に対応できます。
    • たとえば、人や動物が動く場合にも、その形状や位置の変化を即座に反映し、リアルタイムに追従します。

深度センサーを利用したARオクルージョンの限界

しかし、この方法には大きな制約があります。
それは、 遠くにある物体には対応できない ということです。
最新のスマートフォンに搭載されているLiDARセンサーの 最大範囲は約5メートル程度 です。
そのため、 建物全体をカバーできません。

大規模ARオクルージョンの実現には「メッシュ」が必要

上記の理由から、 建物のような大規模なARオクルージョンを実現する場合には、 メッシュを事前準備する手法 が採用されます。

メッシュを事前準備するARオクルージョンとは

あらかじめ現実の物体や建物を再現したメッシュ(ポリゴンモデル)を用意し、それをARオクルージョンの遮蔽物として活用する方法です。

Step1.
建物モデルでキャラクターを遮蔽
Step2.
遮蔽したキャラクターを実写映像と合成

上図の場合、以下の2ステップでARオクルージョンを実現しています。

  • Step1: 左側にある建物モデルで、右側にいるキャラクターを遮蔽します。
  • Step2: 建物モデルを非表示にし、そこに実写映像を合成します。

これによって、建物の向こうにキャラクターがいるかのような表現を実現しています。

この方法には以下のメリットがあります。

  • 深度センサーの測定距離を超える 大規模なスケール(建物)に対応できます。
  • 深度センサーの測定解像度を超える精密なオクルージョンに対応できます。

しかし、この方法には以下のデメリットもあります。

  • 動くものに対応できません。
    • たとえば、 動いている船やバス等でARオクルージョンはできません。
    • 2024年時点のスマホやゴーグルでは、 大規模かつ動的なARオクルージョンの実現は困難です。
  • 現実世界の物体と形状の近いメッシュを用意する必要があります。

ここからは、どうやってメッシュを用意するのか?という話をします。

PLATEAUを活用しよう!

image.png
図出典 : https://www.mlit.go.jp/plateau/about/

日本の主要な都市であれば、国土交通省が主導する PLATEAU から、建物のメッシュを無料でダウンロードできます。

これを活用することで、ARオクルージョンの実現が大幅に簡略化されます!

ただ、いくつか気をつけるべきことがあります。

LOD2モデルが必要

LODとは、Level of Detail (詳細レベル)の略です。どこまで細かく建物を再現するかの段階を指します。
(いわゆるCG用語としてのLODとは別の概念で、PLATEAU固有の用語です。)

ここで、気をつけないといけないことがあります。

建物メッシュでのARオクルージョンには、 LOD2以上が必須です!

LOD1 LOD2
image.png image.png
屋根が再現されていない 屋根が再現されている

LOD1では屋根の形が再現されていないため、ARオクルージョンに利用できません!
すべての地域がLOD2に対応しているわけではないので、ご注意ください!

image.png
図出典 : https://berise.co.jp/topics/plateau/

地域によっては、LOD3のデータが存在する場合もあります。
LOD3ではフェンスや細かい構造物まで再現されていて、とても素晴らしいです。
(これを制作した方々には頭が上がりません!)

しかし、これらの細かい構造物はデータ量が多く、ARコンテンツのダウンロード時間を増やしてしまうという問題があります。

このような理由から、建物規模のARオクルージョンには LOD2が最適 だと私は考えています。

宣伝: STYLYの都市テンプレートについて

image.png

ここからは宣伝です!

ここまで説明した通り、ARオクルージョンの準備には、建物メッシュの入手や位置合わせなど、意外と手間がかかります。
そこでおすすめなのが、STYLYの都市テンプレートです!

以下の特徴があります。

  • オクルージョンに最適化済みのメッシュデータが組み込み済み。
  • 全国11都市(東京、大阪、新潟など)に対応。
  • 位置合わせ不要で即利用可能。

詳しくは以下をご覧ください。

(実は本記事を書いている「せぎゅ」こそ、この都市テンプレート機能の開発者だったりします!)

さいごに

ここまでお読みいただきありがとうございました。

建物規模でのARオクルージョンを実現するには、現時点の深度センサー技術だけでは不十分であり、 あらかじめ用意したメッシュ を活用するのが現実的な解決策です。

STYLYの都市テンプレートを活用すれば、ARコンテンツ制作がよりスムーズになります。ぜひ、PLATEAUと併せてご活用ください!

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