これは STYLY Advent Calendar 2023 の12日目の記事です。
大量のHMDをイベントで運用する際に注意すべきこと
2023年は、大量のHMDを利用したイベントの運営をたくさんやりました!
とくに2023年10月15日に開催した AIR RACE X – SHIBUYA DIGITAL ROUND 決勝トーナメント では、SHIBUYA QWSで PICO4Eを50台運用しました!
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大量のPICO4でイベントを開催した様子(SHIBUYA QWSでの事例) |
上記のように大量のHMDを扱う場合、気をつけないことも色々とあります!
そんな情報をまとめてみました!
本記事の対象者
以下のような人を想定しています。
- HMDの扱いには慣れているけど、イベント運営には慣れていない人
- 大量のHMDでイベント運営する際に、どんなトラブルが発生しうるのか気になっている人
デバイスセットアップ編
デバイス管理番号の発行とシールの貼付
端末を識別するための デバイス管理番号
を発行し、シールをHMDやコントローラーに貼り付けましょう!
PICO4のコントローラーにデバイス管理番号のシールを貼っている様子 |
たとえば、シールもなにも貼っていないHMDとコントローラーがたくさんあるのを想像してみてください。
イベント中に混ざってしまい、どれがどれだかわからなくなるのは想像に固くありません!
HMDとコントローラーには、シールを貼っておきましょう!
大量のHMDをセットアップするための人員の確保
未開封のHMDが1台あるとして、そのセットアップにかかる時間はどのくらいでしょうか?
ぱっと想像するだけでも、以下のような工程があるはずです。
- 管理番号シールの貼付け
- プレイエリアの設定
- WiFiの設定
- OSの更新
- ファームウェアの更新
- 開発者モードの有効化
- 使いたいアプリのインストール
意外とやることいっぱいですよね!?
1台セットアップするのに慣れていないと平気で1時間かかったりします。
慣れてても15分くらいはかかりますね。
もしこれが50台あったとしたら…?
1人で地道にやったとしたら、それだけで1週間が終わってしまいます…!
同僚に声をかけたり、上司に相談したりして、 人員を事前に確保しましょう!
会場設営編
大量のHMDを会場に搬入・搬出する方法の調査
大量の荷物をイベント会場に運び込む場合、搬入申請が必要なことがよくあります。
搬入できる場所・時間帯が制限されている ことがよくありますので、事前にイベント主催者等に確認しておきましょう!
配送業者も、時間帯や経路を細かく指定できるか確認しておきましょう!
HMDと同じ数だけの充電器と充電ケーブルの準備
HMDは機種にかかわらず、電池の減りが速いです。(スマホより速い!)
そのため、会場での充電体制の構築は非常に重要です。
すべてのHMDをいつでも同時に充電できるように、必要な分だけ充電機材を用意しましょう!
ここは節約しない方がよいです!
具体的には以下が必要です。
- 電源タップ
- 充電器
- 充電ケーブル(USB-C等)
HMD50台同時に充電するために必要な数の電源タップを準備した様子 |
HMD50台同時に充電するために必要な数の充電器を準備した様子 |
会場によってはコンセントが遠い場合があるため、延長ケーブルもあると良いです!
ポケットWiFiの準備
ポケットWiFiを準備した方がいいです。
よくある失敗談
- イベント会場常設のWiFiに繋げたら、リハーサル時は問題なかったのに、本番時に通信速度が遅くなった。
- 2~3台でテストしたときは問題なかったのに、50台でテストしたらインターネットに繋がらなくなった。
イベント会場にも常設のゲスト用WiFiがあると思いますが、それは一般のお客様が使うものですので、イベント当日は混み合うことが予想されます。
HMD用にポケットWiFiを別途用意しておくと安心です。
その際、WiFiに同時接続可能な台数を確認し、必要に応じてポケットWiFiを複数台用意しましょう!
大量のHMDを設置するための机・棚の準備
HMDがたくさんある場合、何も対策をしないとイベント本番中にどれがどこにあるのかすぐにわからなくなります。
よくある失敗談
- HMDに対応するコントローラーが見つからない!
- 充電ケーブルがいつのまにか机から落ちて、床で絡まってる!
これを防ぐためにも、棚・机を準備して、機材・備品の配置を決めましょう!
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長机にPICO4Eを14台配置した様子(GINZA SIXでの事例) |
たとえば、棚・机にもデバイス管理番号のシールを貼って、各HMDの置き場を決めるのは有効です!
棚にシールを貼って、HMDの置場を決めている様子 |
充電用のケーブルを棚や机にテープで留めておくのも有効です。
落ちて床で絡まったり、見失ったりしなくて済みます。
イベント本番編
トラブル時は予備機と交換
機材というのはどれだけ丁寧に準備しても、本番中にトラブルが発生するものです。
実際に30台同時に運用したときは、10台ほど何らかのトラブルが発生しました。
お客様を待たせている中で、いちいちトラブルシューティングをしている余裕はありません!
即座に予備機に交換しましょう!
HMDを外す人の対策
HMDを長時間かぶっていられない人は想像以上に多いです。
「特定の時間にならないとコンテンツが始まらない」という状況の場合、まだコンテンツが始まっていないのに、耐えきれずに外してしまう人がいます。
お客様がHMDを外してテーブル等に置く → HMDが自己位置をロスト → 予備機と交換
というトラブルを何度も目にしました。
HMDを外さないように呼びかけたり、あと何秒でコンテンツが始まるのかアナウンスしたりしましょう。
そして、そもそも お客様をお待たせしないような体験の設計をやりましょう!(いましめ)
大量のHMDを当日運用するための人員の確保
ここまで挙げた作業をイベント当日に一人でこなすのは不可能です。
同僚に声をかけたり、上司に相談したりして、サポート人員を必ず手配しましょう!
大量のHMDを当日運用するための人員の訓練
もし臨時のバイトさん等を雇う場合、HMDの扱いに慣れていないことが予想されますので、事前に訓練をしましょう!
HMDを扱うにはスキルが必要です!
慣れている人には「設定メニューを開いてください」と言えば済むことでも、慣れていない人には「コントローラーから出ているビームを、空中に浮かんでいる歯車のアイコンに当てた状態で、人差し指のボタンを押してください」のように説明しないと伝わりません!
よくある失敗談
- 最初に「設定メニューを開いてください」と伝えたが、メンバーの一人が設定メニューの開き方をわかっておらず、その後の設定操作もすべてできていないことが、あとで発覚した。
- 「トリガーボタンを押してください」と伝えたが、どのボタンなのかわかっていないメンバーがいた。
- 本番直前にサポート人員を急遽増員してもらえることになったが、新メンバーはHMDの扱い方がわかっておらず、混乱のもととなった。
「みんなできているのに、自分だけできない」ということを恥ずかしく感じ、メンバー全員がいる前では質問をできない人がよくいらっしゃいます。
メンバー全員を一斉に訓練するだけでなく、一人ひとり個別にサポートもしましょう!
さいごに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
大量のHMDをイベントで扱うとなると、いろんな作業が必要なことが見えてきたかなと思います!
本記事の読者の中には、「大量のHMDを利用したイベントを開催してみたい!」と考えている人もいるかと思います。
しかし、一度立ち止まって考えてほしいです。
本当に数十台もHMDを用意してやる必要ありますか?
たとえば肝試しみたいに、順番に数人が体験するスタイルであれば、数十台も用意する必要はありません。
大量のHMDの準備・運用には相応の人手が必要になります!
本当にそのコストに見合うのか、本記事が考え直す機会になれば幸いです!
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