ねえパパ、ラジコンつくりたい。
数年前のクリスマス少し前、息子(当時小1)のこの言葉から、すべては始まった。その後、いろいろ調査し、まわり道し、試行錯誤しながら、息子のラジコン作りたい熱が下がっていくのに反比例して、私の電子工作おもしろそうだな熱が上がっていった。
この物語は、まわり道し、試行錯誤した結果、ついになんとか、ラジコンを作ることができたので、その結果を紹介するものである。私と同じように、子供からラジコンを作りたい、と言われ、困っている人の参考になれば、幸いです。
どうやって作るのか?
あの有名なレゴブロックのシリーズで「レゴテクニック」というのがあるらしい。ブロックだけでなく、歯車や軸などのパーツを組み合わせて、色々なからくり仕掛けの作品を作ることができるらしい。そこにマイコンや電動モーターを取り付ければ、ラジコンが作れそうだ。
モーターについて
モーターには「回転モーター」と「角度モーター」の二種類がある。
-
回転モーター
一方向に回り続けるモーターのこと。逆回転も可能。回転する速度も調節できる。 -
角度モーター
軸を回転し特定の角度に固定することができる。
電子工作で利用される代表的なモーターとしては、「SG90」シリーズ
があるが、これはレゴブロックと連携させることが難しい。レゴブロックと連携させることができるモーターとしては
- M5STACKのServo Kit 180°/360°
- KittenBotのGeekServoシリーズ
などがある。両者の違いとして、M5STACKは軸の形状がSG90と同様の歯車型であるのに対して、GeekServoはレゴテクニックの十字軸であり、連携がしやすい。今回は「GeekServoシリーズ」を使用する。
マイコンについて
これらのモーターを制御するには、マイコンが必要です。マイコンには「Arduino」「ESP32」などありますが、今回は「micro:bit」を使用する。その理由としては
- LEDやボタンがついており、ラジコン以外にも遊べそう
- ビジュアルプログラミングに対応しており、子供でもプログラミングできる
- もう、持っていた(これが一番大きな理由)
レゴテクニックの入手方法
調べても正確な情報がよくわからず、これが正しいかわかりませんが。
当初は、レゴ社からパーツの詰め合わせセットなるものが販売されているのだろう、と思っていたのですが、そうではなく、レゴ社から自動車やバイクなどを作るセットが販売されており、これを購入してパーツを流用するようです。結構高いです。
パーツのばら売りをしているショップがあるようです。
パーツの詰め合わせセットを購入したい場合は、互換品を購入するしかないようです。アマゾンやメルカリで検索したら山ほどでてきます。
私は、まずレゴテクニックの自動車セットを購入しました。これでラジコン作れる、と思ったら、全然パーツが足らなかった。結局、互換品のパーツ詰め合わせセットを購入しました。
作り方
前輪
長い「リフトアーム」という部品に、「ペグ」を差し込んで、長方形の枠を作ります。
リフトアームの四隅に、ペグを差し込んで、接続します。
差し込みます。
ペグには、硬いペグとゆるいペグがあり、今回は「ゆるいペグ」を使います。ゆるいペグを使うと、このように台形に歪ませることができます。
次にタイヤを取り付けます。これら3個のパーツを使います。
こんなふうにします。
十字型の長い棒は「軸」と呼ばれ、タイヤにも同じく十字型の穴があいています。タイヤを取り付けましょう。
これで、基本的な前輪のパーツができました。
次に、前輪を左右にハンドルを切る仕組みが必要です。
溝が付いた「ギヤラック」と呼ばれる部品を使います。
ギヤラックを前輪パーツの手前側に、こんなふうにとめます。歯車でこの溝を動かすことで、左右にハンドルを切ることができます。
次に、前輪パーツを車体に取り付ける準備をします。写真の右にある部品を取り付けます。
これで前輪パーツの出来上がりです。ギヤラックの溝を角度モーターに取り付けた歯車が回転することで、車輪が右に向いたり、左に向いたいりする仕組みです。
角度モーターに歯車(歯数24のもの)を取り付けます。
歯車がギヤラックの溝にハマるように取り付けます。その際、以下の写真のように、二段階高さを調節して取り付ける必要があります。
実際に歯車が動作するところはこちらです。
後輪
後輪の完成形は次のようなものです。作り方を順をおって説明します。
特殊な部品である「ディファレンシャルギア」(通称、デフ)を使用します。
ディファレンシャルギアについての詳しい説明は省きます(できない)が、これがあるとカーブをスムーズに曲がることができる部品です。
それではディファレンシャルギアを組み立てます。まずディファレンシャルギア内部に、小さい歯車を3つ取り付けます。
これらの部品を準備して。
このように左右からタイヤを取り付けます。
次にこういう部品を準備して
このようにとりつけます。
これで後輪パーツは完成です。後輪パーツは、下側にある小さい歯車を回転モーターで回します。この歯車が回ると、左右のタイヤがまわる仕組みです。左右のタイヤはそれぞれ、違う回転数で回ることができます。カーブなどでは、左右のタイヤはそれぞれ、違う回転数で回る必要がありますから、カーブをスムーズに走行することができます。それがディファレンシャルギアの役割りです。
で、その小さい歯車を回すためには、モーターと大きな歯車(歯数40のもの)を使います。ただし、つなげるにはひと工夫が必要です。
下の写真の通り、上に1.5段(赤色の枠1段と、黒のリフトアーム0.5段)上空から、つなぎます。
もう1つ赤枠を準備して、それを後輪パーツに2段重ねします。
⇩
そこに0.5段の高さのリフトアームをつけたモーターをとりつけて、完成です。
実際に動作するところはこちらです。
前輪と後輪をつなげる(車体をつくる)
前輪と後輪パーツをつないで、大きな車体を作ります。長いリフトアームをつないで作りました。ここには後でmicro:bitとモーターなどが載りますので、少し大きめにする必要があります。
ここはそれぞれ、個性を出せる場所だと思います。あくまで一例として参考にしてください。
またこの時、前輪パーツの歯車とギヤラック(溝のあるパーツ)がうまくハマるように、高さを調節して、角度モーターを取り付けます。
micro:bitを乗せる
モーターを制御するためにmicro:bitを使います。しかし現状では、以下の問題があります。
- micro:bitとレゴブロックを連結して組み合わせることができません
- micro:bitとモーターを動作させるための電源が必要です
- micro:bitとモーターを接続することができません
これらの問題をまるっと解決するために、Yahboom社のSuper:bit Expansion Boardを利用します。super:bitとは以下のようなものです。
super:bitについては、サヌキテックネットさんの記事がとても詳しいです。ぜひリンク先を参照してください。
ここで大事なことは、super:bitを使うと、上記の問題をすべて解決できるということです。
- レゴブロックと接続するための穴がある(ペグがささります)
- リチウムイオン電池(18650)を搭載可能。USBケーブルより充電可能
- サーボモーターと接続するためのコネクタがある
このように、super:bitは、micro:bitとレゴブロックを連携させて作品を作る際には、とても便利です。
super:bitを取り付けられるよう、車体にリフトアームを取り付けます。
super:bitを、車体に載せます。
サーボモーターのコネクタをsuper:bitにつなぎます。
角度モーター(前輪)はS1に、回転モーター(後輪)はS2につなぎました。
これで、ラジコン本体は完成です!
さあ、早速ラジコンを操作してみましょう・・・。あれ?何かが足りません。
そう、コントローラーです。コントローラーがない。micro:bitにはまだ何もプログラムを書き込んでもない。
今回はここまでです。次回、「ラジコンは作った。コントローラーはどうする?」の回をお楽しみに!