リモートワークとコールセンターは相性が良くない
「コールセンターは」とひとくくりにするのは乱暴かもしれません。
しかし「一人でリモートワークを行い、電話業務を続ける」のは難易度が高い作業です。
様々なお客様を相手にストレスをためずに仕事する、可能ならリモートワークを実現する、そんなことが可能でしょうか?
コールセンターをリモートワークベースにする上での課題
- エージェント(オペレーター)のリモート環境の整備が難しい
- エスカレーションできない
- SV(いわゆるグループリーダー)が通話をモニタリングできない。メンバーを観察できない
- チームとして助け合えない、コミュニケーションが取りにくい
バーチャルオフィスという潮流
リモートワーク一般に関しては「バーチャルオフィス」というWebサービスが色々と誕生しました。
- ブラウザを開くだけでその中に仮想のオフィスが準備されている
- 仮想のオフィス内を動き回ると同僚を見つけることができる
- 相手に近寄っていくと雑談ができたり、他の人の会話に加わったりできる
- 仮想のオフィスの中で同じ動画やサイトを視聴したり、会議したりできる
- 外部のお客様がオフィスに訪ねてくることができる
バーチャルコールセンター、アバターコールセンター?
弊社はコールセンターの技術を研究している会社なので、
「バーチャルオフィスとコールセンターを合わせた製品を企画できないか」
と考えました。
リモートワーク用コールセンター
当初は「バーチャルオフィスの中に “バーチャルソフトフォン”を置き、仮想のコールセンター拠点をミニチュア的に作れば良いのではないか」と考えました。オープンソースで公開されているバーチャルオフィスソフトもありますし時間をかければ作り込めるかもしれません。(実は結構、作り込むという線で色々と動きました。)
ただこういう製品はそれぞれの製品ごとに「思想と文化」がありますので、どんなジャンルの職場にもフィットする、というよりは「それぞれの業種や職場に合った、コールセンターごとに異なる多種多様な機能が必要になりそう」でした。
それで次に考えたのが「既存のバーチャルオフィスサービスとコールセンター機能を組み合わせてみる」ことでした。
WebRTCの技術と組み合わせてみる
試しに「Webブラウザの中にWebRTCを使ってコールセンターの機能を組み込むと同時にバーチャルオフィスもiframeで入れてみる」ということを試してみました。すると製品によっては思った以上にうまく組み合わせることができました。
WebRTC系のSDKであればオープンソースのものでもプロプライエタリなものでも使用可能。
動きは?
- WebやチャットLINE経由のお客様とオペレーターが通話できる
- AvayaやCiscoその他のPBXからの着信を受ける
- オペレーターは同時にバーチャルオフィスにも存在しているので、SVは近寄っていくだけで会話の様子をモニタリングできる
- 必要があればリモートワーカー同士がサポートしあえる
- WebRTCのSDKが対応していれば3者通話やエスカレーションも可能になる
- iFrameで任意のバーチャルオフィスのサービスを組み込めるので、自分のコールセンターに適合した仮想オフィスを導入可能
- iFrameで入れた場合には複数のサービスで同一のマイク・スピーカーデバイスを共用できる
さらに近未来は
Meta Quest(Oculous)などを使ったアバターコールセンター、AIがアバターとして活躍するコールセンターも実用化まできているのではないでしょうか。
コールセンターはお客様に安心感を与えるものですので、お客様の年齢層、業種によっては今でも、電話による昔ながらの音声通話が最適な場合もまだまだあります。
しかし、お客様との距離を解消する技術は次々と誕生しています。