CentOS 7.4 の 64bit版に脆弱性の対応で Apache2.4.53 をインストールしたいのですが、標準リポジトリからインストールできる Apache のバージョンは 2.4.6 です。
そのため、RPM を Apache の公式サイトからダウンロードしたソースを元に作成していきます。
パッケージ間の依存関係があるため先人の情報を参照しながら実行したため、備忘録として残しておきます。
依存関係にあるパッケージで、CentOS7.4.1708の標準リポジトリからインストールできるものについては、特別なものでない限り省略しています。
以下の各コマンドで、プロンプトが「#」で始まっているものは root ユーザーでの実行、「$」で開始しているものは一般ユーザーでの実行となります。
libuuid-develのインストール
Apache2.4.53 のRPMを作成するには、依存関係となるlibuuid-develが必要となります。
このlibuuid-develのインストールを、次に示すAPR1.5.2のRPMを作成する前に行っていないと、APR1.5.2のRPMの作成、インストールには成功しますが、Apache2.4.53 のRPMを作成する際に、以下のようなエラーになってしまいます。
/usr/lib64/libaprutil-1.so: undefined reference to `apr_os_uuid_get' collect2: error: ld returned 1 exit status
以下のコマンドを実行して、APR1.5.2のRPMを作成する前に、libuuid-develのインストールを行います。
# yum install libuuid-devel
APR1.5.2のインストール
Apache2.4.53のRPMを作成するには、依存関係となるapr-develのバージョン1.4.0以上が必要となります。
CentOS7.4.1708の標準リポジトリからインストールできるapr-develのバージョンは1.4.8なのですが、こちらを使用した場合、ApacheのRPMの作成時に以下のようなエラーになってしまいます。
RPM ビルドのエラー: ファイルが見つかりません: /xxxxx/BUILDROOT/httpd-2.4.53-1.x86_64/usr/lib64/httpd/modules/mod_mpm_event.so
※パスの「xxxxx」の部分は、rpmbuildの実行環境により異なります。
CentOS7.4.1708の標準リポジトリからインストールできるAPRでは、eventのMPMのモジュールが作成できないため、APRの公式サイトからAPR1.5.2のソースをダウンロードしてRPMを作成し、インストールを行います。
※Apache2.4.53のRPMを作成する際に依存関係として必要なるapr-util-develは、CentOS7.4.1708の標準リポジトリからインストールできるものを利用可能ですが、apr-util-develのインストールには依存関係としてapr-develが必要となり、先にapr-util-develを標準リポジトリからインストールを行うと、apr-develも標準リポジトリのものがインストールされてしまうため、apr-util-develのインストールは、ここで紹介している手順によるapr-develのインストールが完了した後に行うようにします。
APR1.5.2のソースをダウンロード
以下のコマンドを実行して、APR1.5.2のソースのダウンロードを行います。
※ダウンロード元のURLは、APRの公式サイトから遷移できるアーカイブページにリンクがあります。
(新しいバージョンがリリースされた際にリンク切れにならないよう、ダウンロードページではなく、アーカイブページを使用するようにしています。)
$ wget http://archive.apache.org/dist/apr/apr-1.5.2.tar.bz2
APR1.5.2のRPMを作成
以下のコマンドを実行して、APR1.5.2のRPMの作成を行います。
$ rpmbuild -tb --clean apr-1.5.2.tar.bz2
以下のRPMが作成されます。
- apr-1.5.2-1.x86_64.rpm
- apr-devel-1.5.2-1.x86_64.rpm
- apr-debuginfo-1.5.2-1.x86_64.rpm
APR1.5.2のインストール
以下のコマンドを実行して、APR1.5.2のインストールを行います。
apr-devel をインストールするには apr が必要となるため、一緒にインストールを行います。
# rpm -Uvh apr-1.5.2-1.x86_64.rpm apr-devel-1.5.2-1.x86_64.rpm
apr-util-develのインストール
APRのインストールの冒頭に記載したように、apr-util-develのインストールは、apr-develのインストール後に行います。
以下のコマンドを実行して、apr-util-develのインストールを行います。
# yum install apr-util-devel
distcache-develのインストール
Apache2.4.53のRPMを作成するには、依存関係となるdistcache-develが必要となります。
CentOS7.4.1708の標準リポジトリにはdistcache-develが存在しないため、ここではFedoraのdistcacheのSRPMをダウンロードしてRPMを作成し、インストールを行います。
distcacheのSRPMをダウンロード
以下のコマンドを実行して、distcacheのSRPMのダウンロードを行います。
※ダウンロード元のURLは、Fedoraのアーカイブページにリンクがあります。
$ wget https://archive.fedoraproject.org/pub/archive/fedora/linux/releases/18/Everything/source/SRPMS/d/distcache-1.4.5-23.src.rpm
distcacheのRPMを作成
以下のコマンドを実行して、distcacheのRPMの作成を行います。
$ rpmbuild --rebuild --clean distcache-1.4.5-23.src.rpm
以下のRPMが作成されます。
- distcache-1.4.5-23.x86_64.rpm
- distcache-devel-1.4.5-23.x86_64.rpm
- distcache-debuginfo-1.4.5-23.x86_64.rpm
distcache-develのインストール
以下のコマンドを実行して、distcache-develのインストールを行います。
distcache-develをインストールするにはdistcacheが必要となるため、一緒にインストールを行います。
# rpm -Uvh distcache-1.4.5-23.x86_64.rpm distcache-devel-1.4.5-23.x86_64.rpm
mailcapのインストール
Apache2.4.53のインストールを行うには、依存関係となる/etc/mime.typesが必要となります。
/etc/mime.typesが含まれているパッケージは、以下のコマンドで確認できます。
# yum provides /etc/mime.types :(略) mailcap-2.1.41-2.el7.noarch : Helper application and MIME type associations for file types リポジトリー : base 一致 : ファイル名 : /etc/mime.types
この結果により/etc/mime.typesは、mailcapに含まれていることが分かります。
以下のコマンドを実行して、mailcapのインストールを行います。
# yum install mailcap
Apache2.4.53のインストール
Apacheの公式サイトからApache2.4.53のソースをダウンロードしてRPMを作成し、インストールを行います。
Apache2.4.53のソースをダウンロード
以下のコマンドを実行して、Apache2.4.53のソースのダウンロードを行います。
※ダウンロード元のURLは、Apacheの公式サイトから遷移できるアーカイブページにリンクがあります。
(新しいバージョンがリリースされた際にリンク切れにならないよう、ダウンロードページではなく、アーカイブページを使用するようにしています。)
$ wget http://archive.apache.org/dist/httpd/httpd-2.4.53.tar.bz2
Apache2.4.53のRPMを作成
以下のコマンドを実行して、Apache2.4.53のRPMの作成を行います。
$ rpmbuild -tb --clean httpd-2.4.53.tar.bz2
以下のRPMが作成されます。
- httpd-2.4.53-1.x86_64.rpm
- httpd-devel-2.4.53-1.x86_64.rpm
- httpd-manual-2.4.53-1.x86_64.rpm
- httpd-tools-2.4.53-1.x86_64.rpm
- mod_authnz_ldap-2.4.53-1.x86_64.rpm
- mod_lua-2.4.53-1.x86_64.rpm
- mod_proxy_html-2.4.53-1.x86_64.rpm
- mod_socache_dc-2.4.53-1.x86_64.rpm
- mod_ssl-2.4.53-1.x86_64.rpm
- httpd-debuginfo-2.4.53-1.x86_64.rpm
Apache2.4.53のインストール
以下のコマンドを実行して、Apache2.4.53のインストールを行います。
# rpm -Uvh httpd-2.4.53-1.x86_64.rpm
別途PHPのRPMを作成する場合等、httpd-develが必要となるときは、以下のコマンドを実行して、httpd-develのインストールを行います。
# rpm -Uvh httpd-devel-2.4.53-1.x86_64.rpm
多分これで大丈夫です。