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Windows 7 の Rails で ExecJS が TypeError を吐くようになった

Last updated at Posted at 2015-02-03

※「原因」に加筆し,タイトルの「Windows」を「Windows 7」に変えた(2015/02/04)

Rails アプリが軒並み死んだ

ある日突然,Rails がエラーを吐くようになった。

ExecJS::ProgramError TypeError: オブジェクトでサポートされていないプロパティまたはメソッドです。

ちなみに英語だと

ExecJS::ProgramError TypeError: Object doesn't support this property or method

のようだ。

bundle update をやったタイミングなのかどうか当初は分らなかったが,その日あたりからあらゆる Rails アプリが動かなくなっていった。

現象としては,app/assets/javascripts*.coffee なファイルが一つでも入っているとエラーが出る。

ただ,「ある日突然」よりも前に *.coffee からコンパイルされて出来た JavaScript が tmp/cache に残っていて,生きている(元の *.coffee が変更されていない)限りはエラーは出ないようだった。

CentOS 上では大丈夫だった。

異常が起こったのはこんな環境:

  • Windows 7
  • ruby 2.1.5p273 (2014-11-13 revision 48405) [i386-mingw32]
  • Rails 4.2, 4.1.8

CoffeeScript が 1.8.0 から 1.9.0 になってた

Rails がエラーを吐くようになったのは,どうも 1 月末あたりっぽい。

そこで,この頃にアップデートした gem が何かを調べてみた。すると,coffee-script-source が 1 月 29 日に 1.8.0 から 1.9.0 に上がってた。これが怪しい。

この gem は,CoffeeScript の処理系を提供するためのものらしい。つまり,CoffeeScript スクリプトを読み込んで JavaScript スクリプトに変換してくれるコンパイラー(JavaScript で書かれている)がこの gem の中に入っている。

gem のバージョン番号は CoffeeScript のバージョン番号に合わせてあるようだ。

coffee-script-source を 1.8.0 に戻す

Rails の Gemfile には coffee-script-source はあらわには書かれていない。

Gemfile に書かれているのは coffee-rails で,こいつが coffee-script に依存し,coffee-script が coffee-script-source に依存しているのだった。

そこで,Gemfile にあらわに

gem 'coffee-script-source', '1.8.0'

と追記してやると,正常に動くようになった。

ふぅ。この問題で半日以上つぶれた。

原因

TypeError が出た原因は私には分らない。

CoffeeScript 1.9.0 で何か非互換な変更が行われたのだろう。

Windows で問題が起こり,CentOS で起こらなかったのは,JavaScript の処理系の違いなのかな。

Rails は CoffeeScript を処理するため,JavaScript の処理系を必要とする。実際に JavaScript を実行させるのは ExecJS という gem の役目らしい。

ExecJS はその環境で使える JavaScript の処理系を自動的に選んで動かしてくれるのだとか。

Windows と CentOS で選ばれた JavaScript 処理系が違ったのではないかと思うが,詳細は分らない。

ともかく Rails は関係なくて,

gem "coffee-script-source", "1.9.0"
require "coffee-script"

p CoffeeScript.compile("x=1")

という簡単なコードでエラーが再現できることが分った。(1.9.01.8.0 にするとエラーは出ない)

追記:もうちょっと分った(2015/02/04)

TypeError の直接の原因は,CoffeeScript 1.9.0 で Object.create を使っていることっぽい。1.8.0 ではこれは使っていなかった。

ちなみにブラウザーの JavaScript エンジンで Object.create がサポートされたのは,Firefox なら 4.0,InternetExplorer なら 9.0(いずれも 2011 年リリース)から。

ということは,話がそれるけど,ブラウザー上で CoffeeScript の処理系を直接動かすような使い方をすると,IE8 以下は切り捨てることになるのだろう。

それから,ExecJS が Windows の cscript というコマンドを使って OS の JScript 処理系を呼び出していることも分った。cscript//E:jscript というパラメーターを渡し,スクリプトエンジンとして JScript を指定しているらしい。

Windows 7 が出たのは IE8 の時代だから,cscript で呼ばれる JScript が Object.create に対応してないバージョンというのは,原因としていかにもありそう。

新しい IE を入れても cscript で新しい JScript が呼ばれたりはしないのね。

追記:Windows 10 もダメ(2016/04/20)

Windows 10 に上げたので同じことをやってみたら,やっぱりダメだった。

「JavaScript の処理系が新しくなって,CoffeeScript 1.9.0 以上でもエラーが出なくなる」と予測していたので,これは意外だった。

教訓

気軽に

bundle update

とかやるとエラい目に遭うこともあると分った。

ただ,気軽に bundle update してなかったら,問題に気づくのがずっと先になり,今より対処に時間がかかっていたかもしれない。変更になった gem も多かっただろうし。

だから,やってよかったのだけど,タイミングがまずかった。他の仕事で忙殺されてたり,気持ちに余裕のないときにやるべきではなかった。

bundle update した直後にエラーが出るようになったんなら,私でもすぐに分ったかもしれないけど,今回は JavaScript のキャッシュが生きている(?)間はエラーが出なかった(らしい)のがつらかった。

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