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Ruby の i18n を単独で使う

Last updated at Posted at 2016-09-10

はじめに

i18n という gem は,Ruby on Rails アプリの多言語化のために使われているが,Rails 専用というわけではない。こいつを Rails とは無関係に単独で使うにはどうすればよいか。

えー,お急ぎの方は次の節へ飛んでください。

本家の README にはあまり情報が無い。リポジトリー にはサンプルファイルも見当たらない。

いっぱしのプログラマーならまずソースを読むところだが,いっぱしではないので安直なほうへ流れることにした(いやその前に定石として テスト を読もうとしたんだけど,どこを見ていいか分からず 20 秒で挫折)。

えー,「Ruby の I18n を単独で使う」でググります。
tbpgr さんのブログ記事「Ruby | i18nをRuby単独で利用する」が見つかる。
これに従ってやってみる。

ただ,この記事には不可解な点があった。i18n に翻訳ファイルを与えるところが

I18n.load_path = []
Dir.glob("../locale/*.yml").each do |f|
  lang = []
  lang << f
  I18n.load_path << lang
end

になっているのだ。
lang って変数は何をやっているのだろう? これって

I18n.load_path = Dir.glob("../locale/*.yml").map{|path| [path]}

でよいんでは? それとも転記ミスで,本当はもう少しややこしいコードだったのかな。

そもそも,I18n.load_path= って,配列の配列を与える必要があるのか?

まあともかくやってみたら動いたので,とりあえずよし。

で,試した結果をもとに以下を書いていくことにする。

i18n は何をするもの

ウェブアプリケーションに限らず,アプリケーションを多言語化したい。

出てくる文言すべてにキーワードか何かを割り当てておき,言語ごとにキーワードと文言の対照表を編集しておくのだ。

アプリケーション上では,何か表示したいときにそのキーワードを指定する。どこかに言語のスイッチがあって,それによって実際に出てくる文言が変わる,と。

平たく言えばそういう仕組み。

i18n の使い方

インストール

まず i18n をインストール。

gem install i18n

翻訳ファイルの設置

翻訳ファイルを YAML 形式で用意。拡張子は .yaml はダメで,.yml にしなければならない。
拡張子でファイルの種類を見分けているようなので,たぶん YAML 形式以外のフォーマットにも対応してるんだと思う。

とりあえずちょっと試すだけなので,全言語を一つのファイルに収めることにする。規模が大きくなったら言語ごとに別のファイルにしたほうがいい。

translation.yml
ja:
  orei: おおきに
ko:
  orei: 감사합니다
ru:
  orei: Спасибо
en:
  orei: Thank you

これで準備完了。

使う

require 'i18n'

I18n.load_path = ["translation.yml"]

I18n.locale = :ja
puts I18n.t("orei") #=> おおきに

I18n.locale = :ko
puts I18n.t("orei") #=> 감사합니다

ちょー簡単。拍子抜けするくらいだ。

load_path は配列の配列にする必要はなかった(しても中で flatten される)。

実際のアプリケーションでは言語ごとにファイルを分けるだろうから,それらのファイルへのパスの配列を渡せばいいだろう。

I18n.locale= に渡すのは文字列でもシンボルでもいい。

翻訳データは入れ子にもできる。例えば ja のところを

ja:
  foo:
    bar: ばあ

と書いておけば,

I18n.locale = :ja
puts I18n.t("foo.bar") #=> ばあ

で呼び出せる。

おわりに

i18n にはきっといろんな機能があるんだろうし,知るべきこともいろいろあるんだろうけど,とりあえず当初の目的は果たせた。

おまけ(i18n)

「i18n」というのは,「internationalization」の略で,先頭の「i」と末尾の「n」の間に 18 字あることから,このような略し方にされているようだ。日常的に使う英単語の中では,20字はかなり長いほうだ。

似たような略語として「L10N」(localization)もある。

なんで「i18n」が小文字で「L10N」が大文字かというと,Wikipedia「国際化と地域化」 によれば,大文字の I(アイ)と小文字の l(エル)が互いに紛らわしいから避けたということらしい。

CIA(米国中央情報局)あたりでは counterintelligence(防諜活動)のことを「c17e」なんて略すんだろうか。

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