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マルタの鷹問題はAIで解決できるのか?

Last updated at Posted at 2019-01-15

はじめに

 DeepLearningのような新しい機械学習の手法が誕生したこと、前よりもクラウドサーバーが手軽に使える、AIのライブラリの普及した等々を契機にAIの知名度や期待度が高まっている。しかしながら、昨今のニュースを見ると、

  • ローカル地域が過疎化している!  →  よし!AIを使おうか
  • 人口減少で高齢者が増える  →  よし!AIを使おうか
  • 人手不足だ!  →  よし!AIを使おうか
    ...etc

AIが万能薬で銀の玉(これさえあれば解決!:IT用語)的な使われ方をしていて、エンジニアになりきれなかったエンジニアにとっては非常に違和感を覚えます。

自分の考えですが現在のAIは解析ツールの手法の一つであって、もしドラえもんみたいなロボットがたくさん増えるのではないかという幻影を抱いている人が多い気がします。例として囲碁のAIを仮に作ったとして100%買い物や料理をしてくれるシステムに当てはめられるかということです。できるとすればアルゴリズムや機械学習のエッセンスを抽出ことくらいだと思います。少しシステムを開発している人であれば自明でわかりきった話であって、全てのことがAIで解決できると考えている方が奢りではないでしょうか。

これで仮に5年、10年経過してAIはこんなことしかできないのかという幻滅(過度な期待からの失望)があっても、自分は知らんということです。

おそらく、AIに冬の時代がくるとすれば上記の幻滅を皆様が思う時ではないかなと。何故なら、DeepLearningのような画期的な手法はそんなに登場するかといえばそんなこともないためであって、あとこの手の手法があと100回くらい生み出されなければドラえもんAIは出来ないはずです。

で、どうするか。

  1. 既存のAIアルゴリズムを改良する (基礎研究)
  2. 具体的な事例をもとにシステムに落とし込めないか考える (応用研究)

とAIの発展に必要なことについて大きく分けて2点にまとめてみました。
1については数学系、工学系の一部の優秀なエンジニアが日進月歩取り組まれていることで高度な知識とスキルが必要と思います。2についてはAIの基本的な知識があれば日常生活の中で楽ができないかなど、attachを繰り返していって経験則を得るのでAIに着手するのであれば、2から考えた方が敷居が低いです。

で、今回はマルタの鷹のシーンにあった内容をもとにAI化について考えます。
(すごい唐突ですが。:neutral_face:)

マルタの鷹問題とは?

 何かとオライリーの本を読むと、昔の白黒映画のシーンを例題にして話を進めるので流儀に沿って、この記事に関しても同様にマルタの鷹(1941年)を例題として取り上げてみます。
私立探偵と相方役の2人が事件を解決して、探偵の人が10枚の金貨を持って相方役の人に報酬はいくら欲しいのかと分け前を聞くとても短いワンシーンがあります。で、いくらでも相方役の人がいくらももらってもいいのですが、報酬を持っている探偵の気分によっては交渉は不成立になって撃ち合いになって不成立になる設定です。

 失敗例

私立探偵 相方
いくら欲しいんだ? (10枚の内)
8枚
NG
10枚 0枚
false2.jpeg false.JPG

 成功例

私立探偵 相方
いくら欲しいんだ? (10枚の内)
4枚
OK
6枚 4枚
success.jpg
おおむね成功ですっ☆
success.jpg
おおむね成功ですっ☆

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫) 第6章 には具体例が書かれていますが、探偵役と相方役のどちらもそうなのですが文化的背景によって判断が大いに違うということです。欧米の大学が世界中の人々を対象に実験をしていて、あるアクティブな部族であれば相方役で10枚欲しいというし、他の部族では控えめにいりませんと断ることがあるそうです。

この事象は日常生活でもありそうです。
探偵と相方とフラットな関係ではないのですが、上司と部下が2人いて10あるボリュームの仕事があった場合には役の性格や職場環境の状況によって判断が異なると思います。

もし、

  • タスクを消化する → skillがアップする

と仮定したとして、部下にskillが追い抜かれると思う、又はボリュームをとにかく消化してskillアップしたいと考えているのであれば上司は多めにタスクがないと不満に思うだろうし、一方で部下の適正が見たいや部下のスキルを伸ばせば最終的に開発現場が回って好都合だと考えていれば仮にタスクが少なくても問題がないと思う人もいると思います。(自分は後者)

そのため、10枚の金貨の受け渡ししか話をしておらず考え方はシンプルですが、色々な事例があるためAIにその役ができるかどうか難しいと思います。

どうやったら実現できそうか。

  • 役の性格・経歴(経験)は?
  • 役との関係性はフラットか?
  • 報酬の価値は役にとってどのくらい有益か?
  • 相方役(金貨をもらう方)が複数人だった場合はどのように分配できるか? ...etc

と事例の設定はいくらでも考えられそうですが、様々なパターンであっても成約が成就できる可能性のあるAIを作成するにはどうするかです。

最初のリストにある役の性格・経歴(経験)をとっても、この人と似た行動の人か又は真逆に行動する人の身体的情報から始まって、心理テストや趣味嗜好の一人当たり100以上のデータを大量に取得し、機械学習・統計を用いて傾向を取得することとなると思います。そのため、データ収集の方法からDBにデータを保存する、データを分析する方法を固める必要があります。
で、役との関係性や報酬の有益性などの事例の環境設定は様々なパターンが考えられますが、どのパターンでも対応できるようにするためにはAIにパターンを大量に学習させて役作りをさせる必要があります。

と、考えるとデータを収集することだけでも大変な事が分かると思います。

で、マルタの鷹問題をAIに解かせるだけでです。このような判断に困る問題は日常生活にはたくさんあるので最終目標のドラえもんAIを作るには途方もない手間と労力がいると思います。
そもそも、判断に困る問題は本当にいくつあるんですかね。AIが答えをすぐに出してくれれば良いのですが。:robot:

おわりに

一つの簡易的な例題を元にAI化ができるか妄想を膨らませてみたっす。自分の経験則ですがhost(探偵)役は大人の対応が必要ではないかなと思います。:smirk_cat:
そういえば、個々にゲーム理論を研究している人がいても国内のインテリジェンスで実用化しているかといえば、あってないようなものだと、断言できます。:laughing:
もしそうであれば、金貨2枚分で北方○土がとっくの昔に帰ってきているハズです。なんとも情けない。

 参考にした本

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫) 第6章

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