ここはソフトエンジニアのためのコミュニティです。自分もソフトの技術者をやってきました。
最近3Dプリンタを使い始めたのですが、最初の造形で、ミスをいくつかしました。最初に分かったことを書きます。ハードウェアの畑のコミュニティだったら、恥ずかしくて、誰もこんな初歩的なことを書いたりしないと思いますけど。
まず、条件:
・プリンタは、3、4万で、AnyCubic I3 Megaという機種を購入しました。
・3D設計は、Fusion360という無料ソフトを使用しました。入門ビデオ等みましたが、いろいろ機能があってとてつもなく難しそうです。ですが、やってみたら、基本、(1)平面を決めて「スケッチ」と呼ばれる2次元形状を作成し、(2)それを奥ないし手前方向に「押し出し」操作をする、というステップを組み合わせ繰り返すことで、イメージした立体が大体作れます。「スケッチ+押し出し」を組み合わせる手順は、順番によってはうまくいかず、手順を考えるのはまるでプログラミングです。
・3Dプリンタで、熱を持つ電子パーツを収める筐体(要するにプロトタイプのパーツ収納ケースです)を作るため、熱に強いABS樹脂フィラメントというのを別途買いました。
最初の造形で分かったこと。
- 壁や支持板などは、最低2mmの厚さがないと、ペラペラになる。最初はフィラメントをケチったのと、厚さに関し参考になる情報が得られなかったので、1mmにしたらペラペラでした。2mmだと壊れそうもない感が出ます。
- 下に支えのない天井、梁状のものは、長さ3cmくらいにとどめる。このクラスの3Dプリンタは、フィラメント材料を溶かしてヘッドから少しづつ吐き出しながら、そのヘッドの位置をXYZ方向に移動させて(水平XY位置はモデルから最適なヘッド軌跡を計算し、垂直Z位置は少しづつ上へ)、溶き出た材料が自然冷却しながら固まっていく、方式をとっています。そのため、下に支えがないものは、ヘッドノズルの直下にすでに焼き付けたパーツが存在せず、空中に焼きつける状態になります。その場合、ドロッと出して急いでヘッドノズルを動かしてひもを作って、次に急いで先のひもと隣接するひもを吐き出して、...みたいなかわいらしい動きをします。その結果、下に支えがない形状が長いと、垂れさがってしまいます。長い梁は3cmくらいの間隔の柱を設けるとか、箱状のものは上部と下部を別にして、上部の蓋は上下逆さにしてプリントし、できあがってから、組み立てる、などしないとだめです。-> [2020.04.19追加] Curaという、造形モデルファイルstlを、プリンタを直接駆動するGcode(機械語みたいなもん)に変換するSlicingソフトに、ある角度以上傾斜がある場合にはそこに薄い線上の足をつける、という印刷Optionがあります。印刷後に手ではぎ取れる程度の支えです。それが便利です。
- 2~3mm程度の細かい造形を複数組み合わせるのは無理。底面のねじの出っ張りを隠すため、底面の上面に直径3mmの山を作って、底面の下面に直径2mmの谷を
掘って、などとやろうとしましたが、無理でした。このクラスの廉価な3Dプリンタではそこまでの精度は出ないようです。
- 複数パーツを後で組み合わせる場合、Fusion360で、それぞれのオブジェクトを別々にデザインにするのではなく、1つのデザイン内で複数オブジェクトを設計したほうがよい。パーツ同士の寸法を注意深く合わせたつもりでも、実際にプリントした後で組み合わせたら寸法が合わなかった、ことがありました。結局やすりやカッターのお世話になった。1つのデザインの中に複数オブジェクトを描くようにすれば、寸法合わせ検証が楽です。プリントする際は、それぞれのオブジェクトを選んで1個ずつプリントできます。また、噛み合わせは1mmくらいの誤差が出るという前提で設計したほうがいいです。