こんにちは。蓄電池経済効果シミュレーションや電気料金プラン比較診断シミュレーションのエネがえるの事業開発担当をしている樋口です。
当社のAPIの活用事例としては以下のような大手メーカーや電力会社なども多数。
太陽光 蓄電池 電気代削減シミュレーション シャープ
昨年はエネルギー業界のAPIをテーマに記事を書きました。今回は脱炭素・CO2排出量可視化の領域のAPIサービスについてまとめ記事を書きます。
非エンジニアのため国内外事例記事と参考程度にAPIサービスのURLをまとめます。
脱炭素、カーボン・オフセットやCO2排出量の詳しいことはここでは書きません。
ただ、この領域は2050年カーボンニュートラルに向けて、IT・デジタル、SaaS・API・IoTといったテクノロジーと相性がとても良いです。ただ、まだまだ第一人者も少ないため、「技術や腕はあるけど、興味あるテーマや業界はまだない」といった技術者の方には超おすすめの領域です。
他の分野でもそうでしょうが、この分野は「GX(脱炭素)×DX(要はAPI利活用ですよね)」の領域でめちゃくちゃ需要が増えるはずですし、すでに注目したデジタル領域からの人材がどんどん来ています。
例えば、ITで有名なセールスフォースや、マイクロソフト、SAPなどもこのように。
・セールスフォース:CO2排出量可視化、日本向け来春投入/セールスフォース|電気新聞ウェブサイト
https://www.denkishimbun.com/archives/169120
・SAPPCFA(ProductCarbonFootprintAnalytics)紹介|SAPジャパンブログ
https://www.sapjp.com/blog/archives/33720
・増える「脱炭素SaaS」、CO2排出量管理をクラウドで-マイクロソフトも参入|ボクシルマガジン
https://boxil.jp/mag/a7396/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=dsa-all&gclid=EAIaIQobChMIxIrunL3s9AIVlKmWCh2gVwmEEAMYASAAEgI_VvD_BwE
それではぜひ以下まとめ記事で、なにかピント来るサービスがあれば深堀りしていただけたら幸いです。
#1.脱炭素の領域のAPIサービスのトレンド
脱炭素×API(SaaSやIoT含む)では、ざっと大きくわけて4つの領域でAPIサービスが提供されています。ダッシュボードを含むSaaSとの組み合わせが多いですが、構造的には、サービス間や企業間連携しないと脱炭素なんて進まないわけですからAPIサービスが肝になりますね。
たとえば、上記の図のようなイメージ。脱炭素やSDGsといったトレンドを背景に環境意識の高い一般消費者にオーガニックなお茶や食品を提供したいと考えるECサイトが増えるとします。そんなECサイト運営事業者は当然ながら顧客に提供する「配送や物流」を委託する事業者もカーボンゼロを志向しているかどうか?カーボンニュートラルをキーワードに事業者も選択されます。逆に配送事業者はそういったECサイト運営社に脱炭素志向の配送サービスを提供すると「選ばれやすく」なる。とはいえ、そんなCO2排出量の見える化や小口の消費者向け配送でいちいち自社でシステム開発なんてしてられない。そんな状況はいろんな業界で起きています。そんなシーンで、CO2排出量可視化を簡単にできたり、自社サービスに組み込むとカーボンオフセットをお客さん向けに簡単に提供できたりする。そんなAPIが求められています。
###1)CO2排出量の可視化・見える化・把握のために必要なサービス
###2)CO2排出量の削減・カーボンオフセット取引のために必要なAPIサービス
###3)上記の活動を報告書やIR・PRの形でレポーティングしたり報告したりするサービス
###4)企業内にとどまらず一般消費者や顧客企業を巻き込んで、カーボンゼロ野菜、カーボンゼロ配送、カーボンゼロほにゃららといった商品・サービスを作ったり、消費者に選ばせたり、共同で脱炭素へのアクションを促進させるサービス
・参考記事:企業向けにカーボンオフセットAPIを開発するスタートアップが急増中|TechCrunchJapan
https://jp.techcrunch.com/2021/02/05/2021-02-04-a-growing-number-of-startups-are-creating-apis-to-assess-and-offset-corporate-carbon-emissions/
以下からは実際に上記のような脱炭素・カーボンニュートラルの活動を支援するAPIサービスの事例です。
ものさしが「お金(増やす)」から「CO2排出量(減らす)」に変わりつつある。
それをテクノロジーで支援する領域に大きな市場(逆に言えば埋めきれないほどの解決すべき課題や問題)があるなと感じます。
今回は技術的な細かい記載はしません(というか技術者じゃないのでよくわからない。。)が、ぜひ気になったら深堀りしてみてください。
#2.海外事例-CO2排出量可視化やカーボン・オフセット(*)支援APIなど
##2-1.Cloverly:SustainabilityasaServiceと呼ばれるプラットフォーム
・URL:https://www.cloverly.com/
・APIポータル(開発者向け):https://apitracker.io/a/cloverly
*さすが先行してる企業だけあってAPIポータルも充実。17のAPIと4つのSDK、ライブラリ。
・運営企業:Cloverly社。米国南西部の電力・ガス大手SouthernCompany(サザン・カンパニー)が社内で立ち上げたスタートアップ
・概要:カーボンオフセットを計算するためのAPIなどを公開。ユニコーン企業でもある「Shopify」などのECプラットフォームと統合することができ、さまざまな活動の環境への影響とカーボン・オフセットを計算できる。トランザクションフィーは1件25セント前後。
・導入企業:Davines荷物の重さと倉庫から配送先までの距離等から配送にかかるCO2排出影響を計算。Davinesはこの金額を「EthioTrees」に寄付し、消費者には一律料金を請求。「環境に良いカーボンニュートラル配送のために0.30ドル(30セント)を追加」。1万件の注文を通じて、18万6000ポンド(8万4,368キログラム)のCO2をオフセット。消費者の20%が選択しているという。
※出典:ECビジネスとサスティナビリティの成功例。商品パッケージでCO2削減&追加料金を払っても選ぶ「サステナブル配送」とは
https://netshop.impress.co.jp/node/8323
##2-2.StripeClimate:世界最大のオンライン決済プラットフォームStripeによる炭素除去支援プログラム
・URL:https://stripe.com/jp/climate
・運営企業:Stripe
・サービス概要:StripeClimateは、一度APIを組み込んでおけば売上の一部を世界最先端の炭素除去プロジェクトに寄付できて、領収書・請求書に自動付与されるバッジを通じて外部にPRできるオフセットソリューション。Climeworks(DAC:CO2直接回収)、CarbonCure(CO2吸収コンクリート)等、先端的な炭素除去スタートアップにフォーカスした先端テック志向の資金提供。
・導入企業:substack、flexport、Flipcauseなど世界中のStripe決済API利用事業者
##2-3.VitalMetrics:CO2排出量計算API
・URL:https://vitalmetricsgroup.com
・運営企業:Carbon360/IRES,LLCVitalMetricsGroup
・サービス概要:Carbon360は、GHG会計スコープ1、2、および3の排出量の計算を簡単にする唯一のクラウドベースのソリューション。
・例えば?:例えば、図のような購入品ごとにCO2排出量を自動計算するYAYZY社のアプリYAYZYTrackCarbonFootprint(オープンバンキングAPIでユーザの銀行口座と連携)といったアプリがあります。この裏側でVitalMetricsのAPIサービスが使われています。要は、YAYZYのような消費者の買い物の仕方に応じて個人のCO2排出量を可視化したりそれを減らすための手段でオフセットで課金してもらって手数料徴収したりと、そういうアプリもAPIがあるおかげで簡単?に開発実装できるというわけです。
・導入企業:GoogleやMicrosoft、Disney、英国政府、米国政府などが使っているようです。
##2-4.Doconomy:クレジットカード等の決済データから消費者のCO2排出量を可視化
・URL:https://doconomy.com/api/
※開発者向けポータル:https://developer.doconomy.com/
・運営企業:Doconomy(スウェーデン Fintech スタートアップ)
・サービス概要:Doconomy は、日々の消費活動における CO2 排出量を測定・管理できるクレジットカード「 DO 」を提供。
プレミアムカード「 DO Black 」には、 CO2 排出量に応じて利用が制限される機能がプラス。 Do を使うと商品・サービスの購入がもたらす CO2 排出量が自動計算。アプリで CO2 排出量を確認し「 CO2 削減プロジェクト」への投資によりオフセットができる。また。 DO 加盟店から環境に優しい商品を購入すると、「 DO credit 」というポイントが付与され、さらなる投資もできる。カード自体も自然由来の素材やリサイクルインク利用などエコなクレジットカードを志向。
・もちろんAPIも提供しており、業界を超えて、自社商品・サービスを提供する消費者を巻き込みやすい形に変えられる各種計算ロジックを備えた複数のAPI(Lifestyle Calculator API、2030 Calculator API)を提供しています。開発者向けAPIポータルやオンライン仕様書(https://developer.doconomy.com/apis/921ffcc103b6357aef0e4f9dced30a6427d3bf8d)も提供していて、日本の事業者にはまだ見られない先進性を感じます。
・日本展開:日本のDATACLUFTさんが、Doconomyの日本展開をサポートされており、僕も注目しています。セゾンカードが日本でやるというニュースも先日出てました。
参考:決済データから消費者のCO2排出量を可視化・削減提案・オフセットができるクレジットカード|DATAFLUCT
https://datafluct.com/lp/doconomy/
#3.国内事例-CO2排出量可視化やカーボン・オフセット(*)支援APIなど
##3-1.CO2排出量算出・可視化クラウドサービス「zeroboard」
・URL:https://zeroboard.jp/
・運営企業:株式会社ゼロボード
・サービス概要:「zeroboard」は、企業内の各種ビジネスツールや、サプライヤーからのAPI連携によるデータ収集によって、サプライチェーン上のCO2排出量の算出を容易にし、削減管理や各種報告形式でのアウトプットが可能なクラウドサービス。すでに関西電力や三菱UFJ銀行など錚々たる国内大企業とも提携を発表し注目のスタートアップです。
・たとえばどんな?:事業者のCO2排出量可視化やカーボン・オフセット支援API提供だけでなく、地方自治体の小田原市とも協定し、 CO2 排出量の見える化に留まらず、CO2 排出のオフセットや環境価値の提供者に対価としてのクーポン等の提供など、地産の環境価値による新たな循環の創出・効果検証などを実証していくようです。地銀や金融機関、大手電力会社との提携でも、おそらく相当API連携等を駆使して、データ収集や、企業間のデータ連携、新サービス開発などが今後進むと想定しています。
##3-2.法人向けカーボンオフセットAPI「Sustineri」
・URL:https://sustineri.co.jp/
・運営企業:Sustineri株式会社
・サービス概要:カーボンオフセットクラウド。事業者の製品・サービスをカーボンニュートラルにがコンセプト。ウェブサービス/アプリ用CO2排出量算定+埋め合わせAPIを提供されています。商品・サービスを販売するウェブサイトに数行のコードを書くだけで、商品の販売やサービス提供に伴い排出される温室効果ガス(GHG)の排出量を算定し、簡単にカーボン・オフセット(GHGの相殺)をすることができるとのこと。
・たとえばどんな?:eコマース、自動車保険、旅行・航空などを販売するウェブサイトに数行のコードを書くだけで、商品・サービスの提供に伴うGHGを算定し、同量のGHG削減クレジットまたは再生可能エネルギー証書を購入することで、GHG排出を相殺(オフセット)し気候変動への影響をニュートラルにできるようです。
##3-3.CO2削減量を可視化するサステナビリティAPI
・URL:https://www.chaintope.com/
※CO2削減量を可視化するサステナビリティAPIの提供開始 | Chaintope
https://www.chaintope.com/2021/09/28/SuS_API/
・運営企業:株式会社chaintope
・サービス概要:上記2社とは若干タイプの異なるブロックチェーン開発プラットフォーム等を提供するchaitopeさんのサステナビリティAPIと呼ばれるサービス。パブリックブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」※1)にCO2削減量の根拠となるデータを正確に記録し、CO2削減量等のこれまで確認することが難しかった環境価値をリアルタイムで可視化できる。
※Tapyrus API:https://doc.api.tapyrus.chaintope.com/
・たとえばどんな?:本APIの最初のユーザーとして佐賀市様とAPI利用契約を締結し、佐賀市清掃工場等で運用が開始されているようです。脱炭素やカーボンニュートラルは民間企業はもちろん、さらにそれより先行して来年度より公共自治体で先行して公共施設や地域における脱炭素化が加速していくと言われていますので、DXやデジタル政府、スマートシティといった文脈でもAPI基盤やAPI利活用がキーワードとしてあがっている自治体との取り組みも今後、注目ですね。
いかがでしたでしょうか?
興味ある方はぜひ一緒に研究したり、この分野のAPIを駆使して、他のAPIと組み合わせたり、社会問題解決を志向したりとサービス開発を検討したりしましょう。
おお、こんな世界があるのかとちょっとでも興味持っていただけたら幸いです。
ぼくも2022年は上記のようなCO2排出量可視化や脱炭素系のAPIと当社のエネルギー診断APIと連携させた新サービスを考えたいなと考えてます。
家庭用だけではなく、最近は事業者・産業向けの自家消費型太陽光シミュレーション(蓄電池対応)も開発してます。いろいろ繋げていきたいなと考えてます。